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「アベノミクス」とは何か? [現代日本の世相]

「アベノミクス」とは何か?

 1)「アベノミクス」の効用、すでに賞味期限切れか!
安倍晋三自民党総裁 ロイター通信より.jpg
<安倍晋三自民党総裁、ロイター通信より>

 自民党総裁・安倍晋三が、日銀による国債の無制限買取、2-3%のインフレターゲットを打ち出した。自民党政権に交代し金融緩和がすすむと予想し、市場は1ドル82円台の円安、株価は9500円台(12月7日)に上昇した。
 自分の発言で為替と株価が動いたため、安倍は「アベノミクス」と称して得意気に金融緩和発言をくり返している。
 財政赤字は増大し続け、貿易赤字で経常収支黒字は激減し、GNPは下がり続けている。経済振興策(バラマキ策)を実施しようにも、すでに財政的余裕はない、国債はすでに増発した。「残っている経済施策は、日銀の金融緩和だ」ということらしい。

 「安倍政権になれば、金融緩和する、したがって円安になる、そうすると日本の輸出企業の収益が改善する」こういう「期待」で円安となり、海外投資家が日本株を買い株価上昇が起きた。もちろんその背景には、金融危機は少し遠のいたもののなかなか改善しないユーロ経済、少し改善の兆しは見えたもののまだまだ低調であるのに株価は回復している米経済を比べて、何よりも銀行・金融機関が不良債権を抱えていない日本経済、いずれ円安となると睨み投資する機運を探っていた海外投資資金の「志向」とたまたま時期が一致した安倍発言に反応し、海外投資資金が動いたのであった。安倍発言が原因ではない。

 ただ、「期待」のみで上昇した相場である。もうすでに「アベノミクス」は賞味期限が切れかかっている。その効果は、こののち期待できそうにない。

 2)日本経済停滞原因は「円高」ではない

 そもそも安倍の描くように「円安」に誘導すれば日本経済はすべて改善するわけではない。ただ「円高が問題だ!」と誰もが言って来たので、何が問題なのか冷静な判断・認識が欠けている状況にあると言える。

 ここ数年、日本経済の力は目に見えて後退している。その象徴は、電機産業だ。例え「円安」になったとしても電機産業は以前の地位を取り戻しはしない。ソニー、パナソニック、シャープ、NECなど軒並み赤字であり、売り上げを落している。サムソンやLG、台湾中国企業がその地位を奪っている。(日立や東芝などは強電関係に重点をシフトし黒字ではある。)大手ばかりではない。電子部品産業は競争力を失った。電気産業全体が、かつての繊維産業のような「構造不況業種」になりつつある。
 これらは「円安」に戻っても回復はしないだろう。決して電機産業だけではない。他の機械産業、製造業全般に言える傾向でもある。その兆候は、これら産業において国内新規投資は極めて少ないことに現れている。新規投資が小さければ近い将来の売上は獲得できない。そのような現状であると企業経営者たちは判断しているということだ。したがって、「円安」さえ解決すればすべてが改善するわけではない。

 3)安倍の政治手法

 金融政策をいじっただけで、現在の恐慌、日本経済の停滞が改善するわけではない。ただ日銀を非難して見せるのは、安倍の政治手法である。日銀も財務省も当惑しているだろう。日銀に金融政策を強要して自己は責任を負わない、非難しておけばいい、いろんなマスメディアやネット右翼などなんでも動員して。結果の責任は負わない。
 石原前都知事とよく似ている。「尖閣都有化」を宣言し、日中国交正常化40年を狙い通り、見事に壊した。自動車産業をはじめ多くの損を被った。日本経済そのものがおかげで停滞している。石原はその結果の責任は負わない。
 「拉致問題」の時と同じ手法である。「拉致問題が解決するまで、国交を回復するな!経済制裁しろ!」こういって、「威勢のいい言葉」だけで、国内政治をリードしたが、実際には何尾しなかった。外交交渉しなかったし、できなかった。「六か国協議に期待する」という「他人」に期待するしかないのだ。むしろ意図的に、事態を進展させなかったとさえいえる。はた迷惑な話だ。

 4)本当の危険は何か?

 くり返すが、日本経済がデフレなのは、過剰生産恐慌状態にあるからだ。デフレ状態にあるのは「結果」であって、「原因」ではない。これを金融緩和して人為的にインフレ状態に持っていこうということ自体すでにおかしいし、極めて危険な事態を引き起こしかねない。
 きわめて危険な事態とは何か?
 これまで日銀はすでに金融緩和してきた。その結果、市場にはカネ余り状態が生まれている。しかし、新規事業や新規生産になかなか投資されない。日本市場では金利は低くて投資資金を得やすいのに、投資先がないためにいくら緩和しても投資がすすまない状態が続いている。他方、すでに不動産、リートなどの価格は上昇しはじめた。「バブル」の傾向は部分的に表れている。さらに金融緩和したら、QE2のように新興国に資金は流れ、新興国インフレとバブルを引き起こすだろうが、さらに日本経済をインフレ、「バブル」へとすすめるだろう。バブルと恐慌をくり返すことになる。

 2-3%のインフレターゲットを実現するために「無制限に」国債の買い取りをすれば、特に危険な事態が生まれかねない。次のバブル崩壊=恐慌がどのような様相を呈するか、その爆発を大きくすることになることを言っている。
 2-3%のインフレターゲットを実現すれば、当然のこと金利も上昇する。10年物国債金利は現在0.7%だが、仮に金利が1%上昇すれば1200兆円の国債利払いは毎年12兆円増えることになる。3%上がれば36兆円。国家財政は破綻する。価格は下がり国債を大量に抱えている銀行は一挙に損を抱えて、このルートを通じて金融不安、信用不安・恐慌に行きつく。財政は破綻する。そのツケは最終的に国民に転嫁される。これまでの恐慌よりも財政赤字が溜まっている分だけ、恐慌時の爆発は大きい。国債下落を通じた全面的な金融恐慌を招くルートはすでに確立している。

 「期待」だけで円安・株高をもたらした「アベノミクス」は、すでにこの先の効力を使い切ってしまっており、賞味期限は切れている。これを強行すれば危険な事態へと至る。

 5)どうしてこんな声が出てくるのか?

 どうしてこんな発想が出てくるのか?目先の利益しか考えていないからだ。
 経済振興策は企業へのバラマキだった。バラマキを通じなければ、誰かを儲けさせなければ、復興も復旧さえもできないという構造・関係が相も変わらない。消費税増税も勤労者層からの国家への吸い上げであり、99%から1%への所得移転だ。
 金融緩和・インフレ策も、勤労者層の金融資産が目減りするのだから、同じように1%への所得移転策である。特に60歳以上の薄く広く持つ金融資産、それは社会福祉が貧困なのでため込んだ資産である。(もちろんすべての人が持っているわけではない。60歳以上の三分の一は、資産さえ持っていない。)多くは郵便貯金であり、「ゆうちょ」は国債を買っている。さらにはこれを吐きださせたい。インフレになり金利があがれば、貯金ばかりしておられず「運用」しなければならなくなる。「オレオレ詐欺」と発想はあまり変わらない。
 これを吐きださせて、日本経済を活性化させるという発想なのである。

 「目先の利益しか考えていない」のは、原発も同じで、「石油・天然ガス輸入が増え電力会社が赤字となり、電気料金が上がるので原発はやめられない、再稼働だ」という論理。先のことは何も考えていない。

 このような思考のなかに国民はどこにもいない。国民はいつの時も黙って犠牲を受ける対象として扱われている。
 国民にとって現在に危機が何からくるのか、何が問題なのか、どうすべきなのか、少しも明らかになっていない。

 12月16日の衆院選挙は、かろうじて原発推進か、反原発かの争点とはなった。争点ができたのはよかったが、それ以外は何の争点はない。
 まもなくその日を迎える。(文責:林信治)
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