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ウクライナ危機とは何か? [世界の動き]

ウクライナ危機とは何か? 何が起こっているのか?

 ウクライナで何が起こっているのか知るためには、ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』を梃子に理解することが必要である。現代の危険は新自由主義にある。

 1)ウクライナで何が起こっているのか?

 ウクライナのヤヌコビッチ政権は選挙で選ばれた合法的な政権だった。これを欧米に支援された勢力がクーデターを起こした。ウクライナの右翼保守勢力は米と直接つながっており、武器も支給されている。ヌーラント米国務副長官(ウクライナ担当)が、ヤヌコビッチ政権が倒れる前の2014年1月に、次の政府代表を誰にするか相談した会話が暴露されている[YouTubeで]公開。ヌーランド女史は、イラク戦争の時、チェイニー副大統領の外交問題主席顧問だった人物。

中央の女性が米国務副長官ヌーランド、左が極右党首チャ-ニボク、右が現在の臨時首相.png
<中央の女性が、ヌーラント米国務副長官、左が極右党首チャーニボク、右がウクライナ暫定首相>

 ヤヌコビッチ政権打倒は計画的であって、2月22日(土)に実行された。ソチ・オリンピック閉会式の前日であり、ロシアが動くことができない日が選ばれた。オリンピック閉会式には米をはじめ欧州政府代表者は理由をつけて参加していなかった。2月22日、ウクライナ議会の建物に攻撃をかけ占拠したのはネオナチの民兵だった。

 ヤヌコビッチは決して反西欧主義ではなかった。西欧との関係拡大を主張する野党勢力の主張を容れ、EU加盟を提起するに至った。しかしウクライナ議会はこれを拒否し、欧米も到底実行できない加盟条件を突きつけた。すでにヤヌコビッチ政権打倒の計画が動きだしていたからである。それも選挙によってではなく、武力によって。
 
 ヤヌコビッチ政権を倒したウクライナ暫定政権は右翼保守政権であり、スボヴォダ党、ナチを信奉するファシストも加わっている。ウクライナ民族主義には、かつて侵攻してきたナチとともに反社会主義、ユダヤ人虐殺を実行した歴史的過去がある。「ナチはウクライナをロシア支配から解放した」とする右派政治勢力が、反ロシア親西欧を掲げ、ヤヌコビッチ政権の破壊を実行した。ウクライナ暫定政権が、街頭で抗議をする「極右」を公認する段階から、武装した「極右」を認め利用することで、これまで封じ込められてきたウクライナ社会の反ユダヤ主義が社会の表層に噴出してきた。ネオナチは、暫定政権の一部、権力者となった。

 暫定政権が最初に行ったのは、ロシア語を公用語から外し、反ロシア、民族主義、排外主義を煽ったことだ。ユダヤ人への迫害も行った。このことを、米国政府、イスラエル政府は一言も非難していない。

ヒトラー式で演説をするウクライナ極右政党の党首チャーニボク.png
<ヒトラー式で演説するウクライナ極右政党党首のチャーニボク>

 ウクライナ政府はそもそも非常に腐敗して、経済的に混乱した国だということをヨーロッパは知っている。クチマ前大津領、ユーシェンコ前大統領やティモシェンコ元首相などの政治家、支配者たちのやってきた結果である。彼らは社会主義解体時に国有財産を簒奪し、金持ちになった者たちであり、国家財政を食い物にしてきた。ウクライナ国家財政はすでに破綻している。自身の悪事をごまかすために反ロシア、民族排外主義、反ユダヤ主義を煽ってきた。この者たちとアメリカのネオコンのボスたちが結びついて画策したのが今回のクーデターである。

 クリミア住民は、暫定政権のロシア住民に対する無法な住民襲撃に不安を抱いた。3月16日にクリミア自治共和国でロシア編入を問う住民投票が行われ、96.77%がロシアへの編入に賛成し、クリミアとセヴァストーポリ特別市は正式にロシアに編入されることとなった。
 ウクライナが親西欧の国となり、NATOの基地がウクライナにできる可能性をロシアは懸念した。特にクリミアは黒海艦隊がいてロシアにとってその重要性は極めて高い。
 ただ今回の投票は、住民の自発的な意志である面が強い。ロシアが強制したというより、住民が平穏な生活が保持されることを望んだというのがより適切である。(住民投票による国境線の変更は、安易に容認されるべきことではない。ただし、米国政府は非難する資格はない。コソボで自身がかつて行ったことだ。)

 欧米日のマスメディアは、クリミアのロシア編入が物事の原因であるかのような描き方をしている。日本のすべての新聞、NHKは、欧米メディアの論調をそのまま報じている。クリミア編入ではなく、その前の米欧の支持を得たウクライナ政権の不法な破壊がそもそもの原因である。

 さらに混乱は拡大し、第二幕に入っている。5月2日、オデッサの労働組合の建物に右翼勢力が火を放ち46名を焼き殺した。ウクライナ暫定政権はこれに荷担した。
 世界の反応は恐ろしいほど鈍かった。米国とヨーロッパ諸国は、オデッサの蛮行を非難するよりも、ロシアがウクライナの親ロシア派住民を支援していると非難することに熱心だった。
 オデッサの惨劇は、右派セクターが犯した犯罪であるのに、ウライナ暫定政権には、真剣な捜査に乗り出す気配がまるでない。政権に右派が加わっているからであり、この虐殺は政権の意志だからである。
 
 5月11日、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州で、自治権の拡大の是非を問う住民投票が行われた。事前に行われた各種の世論調査によると、東部住民たちの約7割は、現状維持を望み、ウクライナにとどまることを求めているとされていた。
 ところが蓋を開けてみたら様相が違った。開票の結果、ドネツク州では89%、ルガンスク州では96%が独立に賛成票を投じた。武装した右翼が人々に危害を与え、ウクライナ暫定政権が容認している事態を見て、人々はウクライナからの独立を望んだのである。これは、原因ではなく結果である。
 東部住民の大多数は、なぜ「ウクライナからの独立」を望んだのか。5月2日のオデッサの惨劇をはじめ、マリウポリ、クラマトルスクなど、東部各地での右派セクターとウクライナ軍の暴力の行使に、激しい怒りと恐怖、反発を覚えたからである。

 5月25日にはウクライナ大統領選が行われる。そもそも合法的な政権を打倒しての選挙に正当性があるか、或いは戦闘状態のなかでの選挙に対する疑問はある。いずれにしても、民族主義と対立を煽り、ウクライナ解体の方向に既成事実を積みあげていくことになるだろう。

2)新自由主義のやり口を止めよう!

 そもそも、ウクライナで何が始まっているのか? ウクライナで米欧は何をしたいのか? 新たに独立し新興の国民国家として歩んできたはずのウクライナが、突如このようにバラバラに解体していくのはなぜなのか?
 
 米欧の新自由主義が新しい世界秩序を作り出そうとしている。第二次世界大戦で確定した国境線の引き直しを画策しているのであり、きわめて危険な行為である。
 そのやり方は、ウクライナのように右翼セクターを武装させそれまでの社会システムを機能不全に陥れ、既存国家を解体し社会をバラバラに分解し対立させ、そのうえで介入し新自由主義の新秩序をつくりあげようとしている。そのためには反ユダヤ主義、ネオナチも利用するし、その行為に目をつぶる。これらすべてを、情報を統制し世界の人々が気づかないうちに実行してしまうのである。
 ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』が明確にこれを説明している。金融資本による直接支配、新自由主義による草刈り場にすることを企図している。単に、「親米政権」をつくることが問題なのではない。莫大な利益を吸い上げるシステムを移植したい、ウクライナ国民の生活や将来など何も考えていない。

 新自由主義が現代的な「文明」を破壊する「悪」として我々の前に姿を現している。この新しい戦争、混乱を利用した世界再編の戦略を理解する必要があるその上で、新自由主義の行為を批判し止めなければならない。
  (5月24日記、文責・林信治)

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