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ウクライナで何が起きているか? [世界の動き]

 ウクライナで何が起きているか? 

 1)米国がロシアを封じ込む謀略

 ウクライナで起きていることは謀略であり、新たな戦争を起こしかねない危険をはらむ。そもそも、米国がロシアを封じ込もうとする謀略が第一の要因である。そのことをまず見なくてはならない。

 2013年4月米軍は、シリア政府軍による化学兵器使用を理由にシリアへの軍事介入を試みた。(実際にシリア政府軍が使用したかどうかさえ、いまだ不明である)。その際、プーチンはシリアに化学兵器廃棄を約束させ、口実を消し、軍事介入を回避させた。ある意味、見事な外交手腕を発揮した。

 米国は、2005年の「オレンジ革命」以来、キエフ政権の背中を押して、ロシア揺さぶりを準備してきた。米国の一つの目的は、ウクライナ政府に内戦を継続させ、ロシア―ウクライナ間の対立を激化させ続け、ウクライナのNATO加盟、ミサイルMIDを配備することである。ミサイル迎撃システムをウクライナのロシア国境に配備すれば、ロシアのミサイル網を大いに「無化」にできる。
 (ジョセフ・ナイ元米国防次官補が、9月1日「琉球新報」で「中国のミサイル技術向上で中国に近い米軍在沖基地が「脆弱」になり米軍にとっての利益が減った、次第に日本の管理下に移せ」と提言している。これと似た事態を実現しようとしている)。

 1961年のキューバ危機と似ている。「米国はミサイルと軍事基地でソ連を取り囲む権利はあるが、ソ連がキューバにミサイルを設置する権利はないいう信念を当時のケネディ政権は持ち」(チョムスキー)、米国は核ミサイルをトルコに配備した。この時の「信念」をオバマも変わらず持ち続けている。大統領の肌の色は変わっても、米国は変わっていない。当時、ソ連がミサイルをキューバに配備して対抗し、世界は核戦争の崖っぷちに立ったが、踏み出す手前で妥協が成立した。ケネディ政権のキューバ侵攻計画は中断し、フルシチョフはキューバからミサイルを撤去した。
 同様の重大な危険をはらむウクライナ危機は、多くの人々が知らないうちに現在も続いている。

 2)米国の操り人形――ウクライナの政変

 前ヤヌコビッチ政権は選挙で選ばれた政権だった。反ユダヤ、反ロシアを標榜する武装したウクライナの極右民族主義者、ネオナチらが、2014年2月22日クーデターを起こし政権を簒奪した。
 キエフ暫定政権は、欧米の支持をあてにした反ロシア政策を掲げ、連邦制を望む東部ロシア系住民を軍事的に攻撃し始めた。キエフ暫定政権にはビジネスとして民間軍事会社(PMC)のアメリカ人戦闘員も加わっている。

 ロシア系住民に対する弾圧に恐怖したクリミア住民は、3月16日にロシア編入を問う住民投票で9割以上が賛成した。弾圧を避け安全ためロシア編入を選んだ。東部二州の住民も当初は分離独立の意志はなく連邦制を志向したが、キエフ政府軍による弾圧が分離独立へと追い込んだ。

 キエフ暫定政府軍によるウクライナ東部への弾圧が始まり、事実上の内戦となった。5月25日、大統領選でポロシェンコ大統領が選出されたが、事態はまったく改善しなかった。ポロシェンコ政権も欧米のマリオネットであり、内戦継続し、事態はさらに悪化した。

 そんな時に、7月17日にマレーシア航空機撃墜事件が起きた。西側のメディアが総がかりで親ロシア派が撃ち落としたのだと一斉報道した。しかし、いまだに親ロシア派が「犯行」におよんだ決定的な証拠は示されていない。それどころか、ウクライナ政府軍の仕業とする報道も出てきている(ミッシェル・チョドフスキー)。

 欧米メディアは欧米政府の意向を受け、親ロシア派とロシアの仕業と騒ぎ立て、世界に印象づけ、そして欧米諸国は証拠もないまま、「ロシア経済制裁」を実行した。日本のメディアもロシア批判を合唱し、日本政府はロシア制裁に加わった。
 このようなときになすべきは、事件を口実に戦闘や戦争を起こさないことだ。経済制裁などしてはならない。

 ロシア経済制裁は、ロシアの株価を下げ、ルーブルを減価させ、資本は逃亡しており、ロシア経済に大きな被害、影響をすでに与えている。ロシアは、中国、ブラジルなどと経済関係を深め、制裁に対応しようとしている。

 8月14日にプーチンが「ロシアは戦争を望んでいない」というメッセージを発した直後に、ポロシェンコが「ロシア軍が国境侵犯した」とキャメロン英首相に電話し、これを英国メディアが報道した。しかし、何も具体的な証拠は示されず、実態は援助物資を運ぶトラックの列が国境を越えたのであり、誤報と判明する。一国の大統領がでたらめなデマを飛ばしたことになる。米英とウクライナは、停戦を望んでおらず、「混乱」を作りだし、それに乗じて軍事的な対立を激化させる米英の戦略が明確に姿を現した瞬間だった。

 ロシアにはウクライナ方100万人近い難民がすでに流れ込んでおり、国境地帯には難民キャンプがいくつもできている。これまでロシアは、挑発にのらず自制を続け、東ウクライナへの表立った武力介入を抑制し続けてきた。
 8月下旬、事態を打開するためだろう、プーチンは難民の一部やロシア人義勇兵を武装させてウクライナ東南部に送り込み、軍事的な優位を勝ちとることにした。これもまた危険な行為である。ロシア軍も一部国境を越えた。ロシア政府は、「引き返したものの、一部ロシア軍が国境を越えて迷い込んだ」ことを認めた。ロシアのチュルキン国連大使は、「東部ウクライナにロシア義勇兵がいる」と認めている。

 キエフ政府軍は、押し戻され劣勢に立たされ始めた。ウクライナ政府軍は財政危機から装備は古く士気も低い。8月28日には親ロシア派がアゾフ海沿いの都市ノヴォアゾフスクを掌握。29日には、ドネツク州の臨時州都・マリウポリが包囲された。
 その結果、ポロシェンコは和平に応じざるを得なくなった。プーチンは軍事的攻勢をかけ、強引にロシアの主張である「停戦」を実現させたことになる。
 
 最終的には、ウクライナ大統領府が9月5日、ポロシェンコ大統領の名前で声明を出し、停戦命令を出すと発表。5日にベラルーシ・ミンスクで行われたウクライナ、東部分離派、ロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)代表による会合の結果、停戦と和平計画で合意した。ただ、停戦合意はまだ危うい基盤の上に置かれているだけで、何か起こして停戦を破壊することも大いに起こりうる。

 3)米に従うなら、リビアやイラクが近い将来のウクライナの姿

 ウクライナは、天然ガスをロシアに100%依存し、経済的にも依存関係は深い。ロシアとの関係を破壊して、エネルギー供給、ウクライナ経済をどうするのか。ポロシェンコ政権の政策に現実性はない。
 ポロシェンコ大統領は、8月24日ウクライナ独立記念日に軍事パレードを挙行し、2015年から17年にかけ、3000億円の軍備増強を行うと発表した。戦争継続の意思の表明である。しかし、ウクライナの国家財政はすでに破綻しており、IMFから融資を受けたばかりだ。借金で首が回らない国が、さらに金を借りて戦争準備をする。しかも、その相手国が、自分がエネルギーの供給を100%依存しているロシア。
 ウクライナの、ロシアへの天然ガス未払い代金は3600億円。ガス代を払わないで、その上戦争を仕掛けるとなると、供給されなくなるのは目に見えている。ウクライナの冬はきびしく、ガスなしで冬を越すことはできない。国民を意図的に破滅に追い込むことになる。ポロシェンコは、米やNATOの指示に従い、意図的に危機を作り出そうとしている。

 ポロシェンコが、民族主義を煽り、ロシアから離れ欧米と親しくなれば情況はよくなると幻想を振り撒き、自滅的な戦争遂行に国民に鼓吹するのは、米国からの「支援」と指示があるからだ。米に従えば、無理も通る、なんでも免責されると考えている。
 イスラエルや安倍政権と政治路線が似ている。ウクライナがその指示に従えば、破滅国家となり内戦となり、NATOが前面に出てくる。そして惨事便乗型資本主義=新自由主義(ナオミ・クライン)がウクライナを荒らしまわる。リビアやイラクの姿が、近い将来のウクライナの姿となる。

 4)対立は、すでに「米国・NATO対ロシア」に転化している

 停戦合意は重要である。しかしまだ解決ではない。すでに、対立は「米・NATAO対ロシア」に転化している。
 経済制裁によるロシア経済への影響はすでに起きている。
 ラスムセンNATO事務総長は、ここ数ヶ月のロシアの動きは「ウクライナの主権と領土保全の侵害である」と強く非難し、対決姿勢を変えていない。極めて危険である。
 ウクライナは、EUとの自由貿易協定(FTA)が締結されようとしている。FTAによって、ウクライナはEUと米国の大資本の経済植民地、欧米の経済的後背地化していくだろう。いずれ破綻するし、今後も内戦が起こる危険性が続く。

 「ベルリンの壁解体の時、クリントンはゴルバチョフに、NATOを東方へ拡大しないと約束したが、クリントンはこれを破り、冷戦後NATOの東方拡大を続けてきた」(チョムスキー)。今後も、「米国はミサイルと軍事基地でロシアを取り囲む権利はある」という信念(=ウクライナのロシア国境にミサイル迎撃システム配備)が、世界の人々の平和と安全に対する不安定要因、危険となり続けるだろう。
 米国の危険な行為を暴露・告発しなくてはならない、日本政府に米国の戦争政策支持をやめさせなければならない。(文責:林信治)

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