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朝日叩き、吉田所長の死の利用の仕方 [現代日本の世相]

朝日叩きと吉田所長の死の利用の仕方

 「慰安婦」問題についての最近の朝日新聞叩きは、本当にひどい。産経や読売はすでに新聞とは言えない。時の権力者にすり寄って、権力者の意向をうかがうチョウチン持ちの記事ばかりだ。

 日露戦争の折に、新聞『萬潮報(よろずちょうほう)』は当初、非戦論を唱えていた。しかし、日本社会が開戦に傾くにつれ、社主・黒岩涙香は政府や他の新聞社の批判に耐えかね、黒岩自身と『萬潮報』は主戦論に転じた。主戦論に転じた『萬潮報』は、発行部数が二倍になったそうである。( 他方、非戦論を固持した幸徳秋水、堺利彦、内村鑑三らは退社し、『平民新聞』を起こした。)

 週刊誌、週刊現代、ポスト、新潮、文春のどれをとっても、「慰安婦」はいなかった記事が毎週繰り返されるし、嫌韓、謙中の記事があふれている。安倍政権に競って自分から寄り添い、売上を増やそうとする。最近その程度が特にひどい。人権意識の欠けた記事は、日本社会をすでに大きく変えてしまっている。

 広島市北部の土砂災害地域の何軒かの留守宅に泥棒が入った。ネットでは、「その犯人は朝鮮人・韓国人だ」、「自警団をつくって警備しよう」、「警備に出かけたら目のつりあがった人物を見かけたがあれは韓国人に違いない」・・・・そんな書き込みがあふれている。

 関東大震災が起きた時、軍や警察が煽った事実もあるものの、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」、「朝鮮人が暴動を起こした」というデマがあふれるなか、普通の一般市民が朝鮮人虐殺した。その情況と驚くほどよく似ているのではないか。背筋が寒くなる。
 人権意識の欠けた、平気で人種差別を煽る、そんな社会に現代日本は急速に変わりつつある。第一の責任は、日本政府にあり、さらに太鼓持ちのマスメディアにある。

吉田調書の利用

 それから、福島第一原発元所長・吉田昌郎の「聞き取り調書」の朝日新聞報道記事をめぐっても朝日は叩かれている。

 原発が爆発する危険な状態になった時、吉田所長が運転にかかわる職員以外にあくまで放射線の少ない地域へ退避するよう命じたが、職員らは吉田所長の意図に反して福島第二原発にまで退避してしまった。この事実を、職務命令違反があったと報じた朝日新聞に、批判が集中している。吉田所長はのちに調書で、事故時は混乱していて退避場所を明確に指示しなかった、考えてみれば避難先として確かに福島第二は適切であったと述べている。
 朝日叩きキャンペーンが準備されており、取りあげられたというのが真相だろう。

 吉田調書をそもそも公表しようとしなかった政府こそまず批判されなくてはならない。政府は、みずからと東電が批判されるのを恐れたのだ。
 吉田調書以外に公表していない事実、資料は、政府内にも東電内部にも山ほどある。そのことをまず批判しなければならないだろう。
 朝日叩きは、目くらましとして利用されている。
 この政権の意図を理解した大手マスメディアは、自発的に朝日叩きに加わり、国民の目をそらさせている。

 調書を読む限り、徹底して批判されなくてはならないのは「東電」であるのは明らかだ。事故が起きて慌てふためいている姿がありありで、事故への対応態勢が全くできていない。今後のためにも、これら政府や東電の対応への批判こそ、マスメディアがまず問題にしなければならないことだ。朝日叩きで、国民の目を意図的に逸らせてはならない。
 
 ちなみに、吉田昌郎所長は食道癌で亡くなった。事故発生の半年後、2011年11月24日に入院し、2013年7月9日、58歳歿。東京電力によると被曝線量は累計約70ミリシーベルト。
 しかし吉田の食道がんは放射線による癌とは認められていない。したがって労働災害とはされていない。米山公啓・聖マリアンナ医科大学医学部第二内科元助教授は「職責からくる極度のストレスが癌の原因ではないか」と指摘しているという。あきれてモノが言えない! 本当に、そう思っているのか! 

 吉田所長の食道癌が労災でないなら、今後、東電社員が癌になったとして、誰が労災になるだろう。急性放射線障害を除けば、誰一人、労災にならないのではないか。ましてや子会社、下請社員の癌の労災などありない。
 東電社員は、この扱われ方をよく見ただろう。誰もが放射線の少ない本店勤務、原発以外の勤務場所を望むのではないか。放射線を浴びながら、決死の覚悟で事故原発の制御を行おうなどしようとしないのではないか。

 特攻隊員の死の扱われ方とよく似ている。
 みずからの命を犠牲にして働いた! 国のため、国民のため、犠牲となったと賞賛する。死者をほめたたえる、賞賛をあふれさせることで、事故の原因、責任追及を逸らさせる。死者をダシにして、本当に責任ある者が逃げおおせる。犠牲にさせた者、事故や戦争を止めなかった者の責任は、いつの間にか消えてしまう。目くらましの術だ。犠牲にされた特攻隊員、吉田所長は少しも尊重されていない。よく似た論理だ。(文責:林信治)

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