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アベノミクスは早急に転換せよ! [現代日本の世相]

アベノミクスは早急に転換せよ!

 1)アベノミクスの息切れ

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 アベノミクスは、大胆な金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」と説明されている。
 そのプランは、日銀による異次元の金融緩和により、円安に導き輸出拡大と、デフレ脱却、2%インフレ目標を実現し、個人貯蓄・企業貯蓄を投資に導き、日本経済を活性化させ、その恩恵の上に賃上げし、消費を拡大し、好循環の経済成長に導くというもの。

 金融緩和により円安と株高は実現したが、国内生産能力の低下から輸出は増えず、逆に貿易赤字が拡大し定着した。輸出企業中心に業績は急改善し最高益を上げているが、企業は国内に投資せず、もっぱら海外市場への投資、M&Aに振り向け、企業内貯蓄を増やしている。国内投資をしないため、経済成長率は上がらない。

 賃上げは、大企業中心に2%賃上げが予定されているが、2014年4月の消費税税3%増を補うものではない。しかも、賃上げは、多くの派遣やパートなど不安定雇用労働者には及ばない。円安による輸入物価上昇と消費増税は、家計の実質所得をすでに損なっている。雇用者全体の報酬改善につながっていないのが実情である。
 したがって、上場企業の業績改善、内部留保増大は、家計部門の実質購買力を犠牲にし、所得移転しただけである。
 
 円安・株高によって、一部企業の収益は増大したが、国民は貧しいままである。その現実を多くの国民は実感しつつある。

 アベノミクス第2,3の矢は、歴代政権が行ってきた政策の焼き直し

 第2の矢は、財政出動であり、災害復興を含め支出したが、ゼネコンや東京電力を救う資金となり、その効果は一過性であり、日本経済の古い体質を延命した。社会インフラ整備は、生産性向上や利便性向上のために行われるべきだが、費用・便益の十分な比較考量なく、既存の受益者への配分のために繰り返されてきた。

 第3の矢は、成長戦略と称しているが、評価するほどの中身はない。言及されているのは「労働規制の撤廃」、「法人税減税」などの反労働者政策であって、日本をいっそう格差社会にし、企業を成長させるもの。

 「15年3月期に上場企業の多くが最高益を上げそう」なのは、日本経済の一部を反映しているだけで、一国全体の姿を映す鏡にはなっていない。多くの普通の日本人が貧しくなったし、未だその過程は続いている。
 これは、アベノミクスの本質的性格である。

 2)アベノミクスの先に何が待っているか?

 日本経済の実力は、潜在成長率の低さで表現される。2010―12年度の潜在成長率は、日銀によると0%の前半台、すなわち0.3‐0.4%程度まで低下している。
 成長率は、「労働者数」、「資本投入」、「生産性向上」で測られるが、10―12年度の潜在成長率(0.3%)の寄与度を分解すると、労働投入が-0.4ポイント、資本投入が+0.1ポイント、全要素生産性(TFP)が+0.6ポイントとなる。

 労働力減少が始まってすでに15年以上の経ち、企業は国内市場に投資せず、民間純資本ストックも09年度以降、まったく増えていない。生産性向上のための大規模な資本投資は行われておらず、生産性も大きく上昇していない。
 ただ、ここへきて降ってわいてきた原油安が、日本経済に有利な要因として働きはするだろう。アベノミクスの破綻が、一時的に延長されるということだろうか。
 劇的に潜在成長率を改善させる方法は存在しないし、潜在成長率が高まっていく状況にはない。

 円安になっても輸出が増えなかったのは、企業が国内投資せず国内生産能力が低下したからだ。13年度以降、民間純資本ストックは増えておらず、日本資本は日本市場に投資する行動をとっていない。国内では軽自動車しか売れず、新車開発において「Ignore Japan、日本市場は無視」と公言している自動車会社の対応が、現在の事態を象徴的に表現している。

 いずれ民間純投資もプラスに転じ民間純資本ストックも増加してくるというアベノミクスのシナリオは、少しも現実のものとなっていない。

 それどころか、潜在成長率はいずれ明確なマイナス領域に入って行く。国民純貯蓄は09年度以降、ほぼゼロまで低下している。一国全体の資本蓄積そのものが止まり、さらに低下し、そのこと自体が民間純投資の制約となり、潜在成長率がマイナスになるだろう。そうなると、「将来の税収では、公的債務は返済不能」であることが広く市場に意識される。

 そのあと劇的な変化が生じるのではないか。
 巨額の公的債務を抱えるなかで、財政・金融政策によりデフレ脱却を目指せば、インフレ率が上昇しても、国債利払い急増を避けるため長期金利上昇を回避せねばならず、ゼロ金利政策や長期国債の大量購入をやめられなくなる。その時期も長くはもたない。

 最終的には、インフレによって公的債務の圧縮を図るところにすすむ。そこはバブルの崩壊とスタグフレーションの長い時期、ギリシャ危機のような人々にとっては苦難の長い時期が待っている。これがアベノミクスの帰結であろう。その前に転換しなければならない。

 3)安倍政治が経済を縛る

 安倍政権には、肝心のグローバル市場戦略が欠けている。中国をはじめアジアの成長力を目いっぱい取り込まない限り、成長はおぼつかない。にもかかわらず、政権の登場以来、歴史問題、「慰安婦」問題をめぐり、周辺諸国と友好的な関係を形成できない事態が続いている。他方、米国主導のブロック経済・TPP加入すれば、米国依存は一層深まりそうである。

 日本のパワーエリートは、米国権力には従わざるを得ないものの、いまだに敗戦の事実を受けいれられないでおり、中国、韓国やアジア諸国を見下している。それが日本を孤立させ、衰退に導く。

 4)アベノミクスに転換迫る

 世界金融危機の後、先進各国で、「労働分配率の低下、資本分配率の上昇」に対する政治的な反発が広がっているものの、政治を転換させる運動にまでには至っていない。先進国のなかでも安倍政権は、成長戦略では法人税の実効税率引き下げ、ホワイトカラーエグゼンプションの一部導入など、企業の資本収益率の上昇を促す施策を打ち出し、明確に資本側に立った政策を掲げている。

 それ以上に、異次元緩和を止めなければならない。日銀は10月31日の追加緩和によって長期金利が急騰する前に、市中発行額の9割に達する長期国債の購入を開始した。本格的な金融抑圧が始まったと言える。

 これまで以上に財政膨張への歯止めが利かなくなる。十分な財源もなく法人税減税が検討され、消費税増税先送りにもかかわらず、増税を財源に予定していた新規の社会保障関連支出の大半は実行される。既存の社会保障関連支出と共に、日銀が国債購入でファイナンスすることになる。継続コストはまったく感じられないから、強い常習性を持ち、必要な時に止められない。

 アベノミクスを早急に転換しなければならない。また、安倍政権は退場してもらわなければならない。  (文責:小林 治郎吉)
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