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安倍首相、4月29日米議会で演説の意味 [世界の動き]

安倍首相、4月29日米議会で演説の意味

1)安倍首相の米議会演説、記者会見

 安倍首相は米議会での演説で、「先の大戦に対する痛切な反省」、「アジア諸国民に苦しみを与えた」と表現したが、村山談話の表現である「侵略」、「過去の植民地支配」、「お詫び」の言葉を使わなかった。
 また、オバマ大統領との会談後の28日記者会見で、慰安婦問題について、安倍首相は「人身売買の犠牲になった筆舌しがたい思いをされた方々に非常に心が痛む」と言及し、「河野談話を継承し見直す考えはない」と発言した。

2)安倍首相の二枚舌
 
 安倍首相は、「侵略であったかどうかについては、いろんな学説がある」とこれまで何度も述べ、「侵略」という歴史評価を否定しようとしてきた。また河野談話を否認するために、慰安婦問題は強制連行だけの問題と決めつけたうえで、「慰安婦の強制連行はなかった」(2007安倍第一次内閣閣議決定)と公言してきた。
 国際的批判が浴びせられれば「村山談話」「河野談話」を継承すると言ってかわし、実際には両談話を否認する政治的実績を作り上げていくのが、政権成立以来一貫した安倍政治である。
 安倍首相の本心は、「村山談話」「河野談話」の否認にあり、歴史修正主義にある。そのためには平気で二枚舌を使うことは、誰もがよく知っている。だから韓国、中国政府のみならず米政府もそれぞれに、安倍政権に対し「不信」を抱いている。

3)安倍 「慰安婦の方々は人身売買の犠牲になり心が痛む」

 この「表現」こそ、訪米に際し慰安婦問題に言及する際に安倍政権が準備してきたものだ。4月中旬にもワシントンポスト紙のインタビューで安倍は同じ発言をした。「人身売買は業者が行ったのであり、当時の日本軍、日本政府に責任はない」とする主張が背後にある。安倍首相の考えとしては一貫しているわけだ。
 もちろん、慰安婦被害は決して連行時に限られはしない。慰安婦制度自体が犯罪であって、慰安婦制度を創設し利用した日本軍に責任があることは、被害者も、国連人権委員会でも、何度も指摘している。
 訪米前に、ジャパン・ハンドラーであるアーミテージ元国務副長官が、「(安倍首相の)発言(人身売買発言)は、慰安婦問題に対する強い声明であり、何よりも誠意がある」と論評した(4月中旬、日経)。安倍首相の訪米は、より踏み込んだ日米防衛協力の強化を第一の目的としており、慰安婦問題に対してはこの「表現」で様子を見るという合意が、あらかじめ米政府内の一部とあったのだろう。もちろん、ジャパン・ハンドラーだけがアメリカではない。

4)米議会前の抗議集会と日本TVの報道

 安倍首相が演説する米連邦議会議事堂前で、慰安婦被害・李容洙さん、マイク・ホンダ下院議員たちが、抗議集会を開き、「今日は安倍首相が謝罪すべき機会だ」と慰安婦問題の解決を訴えた。米国内の慰安婦問題の解決を訴える人たちの活動をあらためて知った。

 それ以上にあきれてしまったことがある。日本のTV各局は、李容洙さんを名前ではなく、「いわゆる従軍慰安婦被害を名乗る人」と報道した。各局とも「被害を認めているわけではない」立場に立っていると言いたいのだろう。またどの局も「抗議集会には韓国系米国人が集まった」と報道した。「慰安婦問題の解決を求めるのは韓国系米国人だけ」という勝手な判断を流している。しかしマイク・ホンダ議員は日系米人である。
 こういうところは、日本のマスメディアの本当にダメなところだ、安倍政権の意向を慮っての報道に成り下がっている。

5)戦後70年談話

 安倍首相の米議会演説について、中国・韓国政府は、さっそく批判する声明を出した。韓国外務省は植民地支配や慰安婦への謝罪に言及しなかったことを「極めて遺憾に思う」と批判し、中国外務省は村山談話にある「植民地支配と侵略」への「お詫び」に触れなかったと指摘し「談話」の継承を求めた。両国とも「戦後70年談話」まで様子をみるという態度を示している。
 おそらく8月に予定されている未来志向の「戦後70年談話」は、今回の演説と同様の表現になるのだろう。であれば、中国、韓国、アジア諸国との関係改善は一向に進展しない。

6)アジアで孤立する安倍政権

 安倍政権は、韓国、中国との関係を改善することができないまま、いっそう米国への従属を深めつつある。中国が主導するアジアインフラ投資銀行に、英国など欧州諸国が参加したにもかかわらず、日本は米国の意向に従い参加しなかった。このような安倍政権の国際関係、外交方針からすれば、米国の主導するTPPに参加しさらに従属を深める道しか残らない。
 他方、フィリピン政府は、3月30日TPP参加を見送り、中国が提起する「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」とアジアインフラ投資銀行(AIIB)への交渉参加を表明した。中国との領有権問題を抱える半面、経済の結びつきを強めつつある。
 慰安婦問題は人権の問題であるけれども、すでに外交、国際関係の問題になっている。安倍政権のかたくなな政治方針によって、日本がアジアでより一層孤立する方向へと歩んでいる。
 私たちは、慰安婦問題の解決を求める。米議会演説で安倍首相はその機会を逃した。70年談話で解決の決意、方向を示さなければ、日本は国際社会のなかで信頼を失うばかりか、孤立を深めることになる。それは日本国民にとっては大きな不幸でもある。

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