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東アジアの安定と発展のためには、中国との経済関係を深める以外にない [世界の動き]

フィリピンはTPP不参加! 
 東アジアの安定と発展のためには、
中国との経済関係を深める以外にない

 
 1)フィリピンはTPP不参加を決定!

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<ドミンゴ貿易相、フィリピン TPP不参加 を表明>

 3月30日フィリピン・ドミンゴ貿易相が、これまでのTPP参加を転換し、TPP交渉には加わらない方針を表明した。2016年6月の大統領選挙までには、法整備が整わないことを理由にしている。
 その一方で、中国が提起する「東アジア地域包括的経済連携(以下:RCEP)」の交渉に参加する。ドミンゴ貿易相は、「RCEPはTPPより合意が容易だ」とし、2015年内妥結をめざし、RCEP優先の構えも見せた。さらに、中国への接近は、インフラ投資でも目立つ。アジアインフラ投資銀行(以下:AIIB)へも参加する。

 フィリピン・シンソン公共事業道路相は、「インフラ整備の需要は強く、世界銀行やアジア開発銀行(以下:ADB)や国際協力機構(JICA)ではすべてを満たせない」と発言し、AIIBを歓迎する意向を示し、交渉参加を決めた。
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<フィリピン・シンソン公共事業道路相>

 TPPはフィリピンの主権を侵害する。またIMF、世界銀行、アジア開発銀行の融資条件も厳しい。フィリピンがTPPから距離を置き中国との関係を模索する姿勢には、東アジアにおいて、現在も将来も中国の存在は無視できないという現実的に判断がある。中国との領有権問題を抱える半面、経済的結びつきを深めることで地域の安定と共存をはかる方向に踏み出した。現実的な判断であろう。

2)米国は地位を失いつつある

 米国政府はAIIBに参加しないよう各国に呼びかけたが、失敗した。
 世界銀行、IMF、ADBであれば相手国に融資するかわりに、欧米諸国が、政治的、経済的条件を課してきた。IMFが融資したギリシャには、年金減額、福祉・教育予算削減の厳しい条件をつけた。IMFのウクライナ支援は、公共料金値上げと緊縮財政が条件だった。
 AIIBが登場すれば、それらに替わる資金源となり、欧米の影響力は無視される。それゆえオバマ政権は、同盟国が参加を控えるのを熱望していた。

 AIIBの設立メンバーは、2015年2月までは、新興国中心だった。3月中旬、英国がアメリカの要望を無視して参加表明し、続いてドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、韓国が続いて参加を表明した。欧州各国がAIIBに加入したのは、中国と協力し利益を上げる機会を放棄したくないと判断したからである。その際に欧州各国は、米国の意向を無視した。日米とカナダだけが取り残された。米国は英国をはじめとする同盟国のAIIB参加を食い止めることが出来なかった。

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<3月20日、朴クネ大統領、習近平主席と会談し、AIIBに参加を表明>

 すでに誰もAIIBの構想を止めることはできない。このことは、米国の経済外交力の低下であり、国際金融システムは大きな転換点を迎えたと言っていい。米国の影響力の低下であり、ブレトンウッズ体制の崩壊の始まりである。

 元米財務長官ローレンス・サマーズ(ハーバード大学教授)は「AIIBは世界のリーダーとしての米国の地位に打撃を与える存在」と指摘し、AIIBが中国から誕生したことは「米国が世界経済の舵を取るリーダーとしての地位を失いつつあることを示す」とも論じた。
 サマーズは「中国のAIIB設立努力と、米国による同盟国説得失敗が重なった。ブレトンウッズ体制(第2次大戦後、国際通貨基金=IMFを設立するなど米国主導の金融秩序)確立以降、これほどの出来事はなかった」と断じている。

3)日本は、米国に気兼ねしAIIBに参加しなかった

 安倍首相は、第二次安倍内閣発足時に、アジア各国を歴訪し、現実を無視した中国包囲網を説いて回った。政治的アナクロニズムであり、どこもまともに取り合わなかった。しかし安倍政権はいまだその方針を取り続けている。その結果、韓国、中国との関係を改善することができないまま、いっそう米国への従属を深めつつある。中国が主導するAIIBに、欧州諸国が参加したにもかかわらず、日本は米国の意向に従い参加しなかった。このような安倍政権の国際関係、外交方針からすれば、米国の主導するTPPに参加し、戦時法制を準備し米国の主導する戦争に参戦する=「積極的平和主義」という名の、従属を深める道しか残らない。

 AIIBへの欧州各国の参加を事前に察知できなかった日本政府は、AIIBの統治や透明性を非難し、情勢見極めを誤った官僚の言い訳を繰り返している。しかしガバナンスや透明性についての非難は自身に帰ってくる。

 IMFや世界銀行などの既存の国際金融機関では、議決権配分や首脳人事で欧米が有利になっている。IMFへの新興国の出資比率増大はIMFCで決定したにもかかわらず、米議会の反対決議により頓挫している。この点では米国に非があり、言い訳ができない。アジア開発銀行総裁は、日本人が7代にわたって総裁を務めている。AIIBの統治や透明性を批判する日本政府の主張に根拠はなく、アジア諸国を含め各国は支持しない。

4)経済関係を深めることが地域の安定につながる

 中国の側からみると、中国経済の今後の発展にとって、海外への進出、次段階への中華経済圏の拡大が必要となっている。中国国内は「資金あまり」状態にあり、他方、東アジアはインフラ需要があるものの資金が不足している。アジアへのインフラ投資と中国経済の結びつきは、次段階の中国経済発展にとって必要不可欠なのである。

 そのことは、決して敵対することではない。ともにその発展に協力し合う関係、Win-Winの関係をつくりあげることが重要だ。

 5月13日、マレーシアのマハティール元首相は、「AIIBに日本も参加すべきだ」と強調した。マハティールは「米国の存在感が低下し、中国がアジアで主導的な役割を果たすようになった。アジア域内各国は様々な紛争を抱えるが、対立を乗り越えて協調すれば米欧を上回る存在になる。米国もこの現実を受け入れる時期が来ている」と冷静に述べた。
 ASEAN加盟国は、中国と南シナ海の領有権をめぐって紛争を抱えるが、AIIBの創設メンバーとして参加する。武力ではなく、中国との経済的な共存を探る中に解決があると、ASEAN首脳は判断したのである。

 中国がAIIB設立を提唱した背景には、アジアのインフラ資金需要が年間100兆円を超えており、世界銀行やアジア開発銀行が、アジアの資金需要にこたえきれていない現実がある。中国もASEAN諸国も、豊富な資金力と技術力を持つ日本がAIIBに参加すれば、アジア諸国の成長を後押しすると判断している。

5)安倍政権はアジアと友好を! 戦時法制の撤廃を!

 5月21日安倍首相は、アジア開発銀行(ADB)を中心に、13兆円の資金を投じると表明した。あくまで、米国と共同しAIIBに対抗する路線を表明した。
 実際には、韓国、中国を含むアジア諸国との関係を改善することができないまま、いっそう米国への従属を深めつつある。米国の主導するTPPに参加しさらに従属を深める道しか残らない。5月14日、安倍政権は戦後日本の安全保障政策の大転換となる安全保障法案の閣議決定を行なった。新防衛ガイドライン、「集団的自衛権の行使」など、実質的には米国とともに武力で支配権を拡大する路線=「積極的平和主義」ことにより傾斜することになる。安倍政権の米国依存への一層の傾斜、AIIB不参加と戦時法制整備は一体である。

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<4月6日、福田元首相は習近平主席と会談し、日本がAIIBに参加賛成を表明>

 このような安倍政権の路線は、アジアでも孤立と対立をさらに深め、日本を衰退に導く。
 フィリピンと日本の関係にも重大な影響を及ぼす。フィリピンの人たちは、戦時法制準備、歴史問題、慰安婦問題での中韓との対立、AIIBへの対抗などの安倍政権の路線を不安げに見つめている。
(文責:林 信治)
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