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「日韓合意」―ー どうしてこんな拙速な合意が! [元「慰安婦」問題]

どうしてこんな拙速な合意が!
1)突然の日韓合意!

 2015年12月28日、日本軍「慰安婦」問題に関する日韓両国外相間の合意が発表された。たまたま、私は記者会見を見た。韓国政府による突然の態度変更とそれによる合意であり、驚いてしまった。韓国政府はそれまでの見解を撤回し、日本政府の主張を受け入れた。韓国政府側からすれば一方的な譲歩である。
 だから、被害者側からすれば、韓国政府の裏切りである。被害者の要求を無視している。人権尊重の観点からすれば、合意はその解決を放棄している。国連人権員会の勧告を無視している。
 韓国政府にとっては「とにかく合意することが目的」であったようだ。したがって「日韓合意」は、被害者も真の解決も無視して成立した日韓両政府の「談合」(金昌禄教授)、「手打ち」(吉見義明教授)であった。

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<2月5日(金)、衆院院内集会>

2)「合意」内容はどのようにひどいか!

日本政府は法的責任を認め、賠償せよ!
 岸田外相の語った合意内容があまりにひどかった。日本政府は法的責任を認めず、10億円出すが賠償ではない、「癒しの事業」だとした。内容は、日本政府の従来の主張通りになっていた。逆に言うと、韓国政府は、「法的責任」を認めたうえで謝罪し賠償せよという、これまでの主張を放棄していた。

歴史事実の認知、研究、教育を行え!
 今回の合意では、「…当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた…」と「河野談話」と同じ表現をとりながらも、河野談話が述べた「歴史事実の認知、研究、教育」については、一言も触れなかった。この点では「河野談話」からも大きく後退した。

「最終的かつ不可逆的に解決」
 最終的かつ不可逆的に解決かどうかは、韓国政府の合意ではなく、被害者に受け入れられるかどうかにかかっている。安倍首相が「最終決着」と述べ、「合意した後、蒸し返さないように韓国政府がちゃんと責任を持て」とあたかも韓国政府や被害者に条件をつけたが、そうではなく「最終決着」に責任を持たなくてはならないのは、日本政府、安倍政権である。問題は転倒しており、責任は転嫁されている。

「平和の碑」撤去要求をやめよ!
 在韓日本大使館前の「平和の碑」や、米国等で設置される記念碑は、慰安婦問題を解決しようとしない日本政府に対するグローバルな市民の批判と行動の表現に他ならない。したがって、「平和の像」の撤去が、慰安婦問題の解決ではない。日韓両政府は問題を転倒してとらえているし、「平和の像」撤去要求は責任転嫁でもある。

*********

 「慰安婦」問題の解決に当たって、国連人権員会はこれまで何度も勧告を出してきた。また2014年、第12回アジア連帯会議は「日本政府への提言」を提出し、解決の方向を示した。
 今回の日韓合意をそれらと比べてみれば、合意内容がいかにひどいかわかる。しかも、「合意」は被害者の了解なしになされた。「合意」は解決には程遠い。「内容」においても「やり方」においても、被害者を納得させるものではないし、解決する内容でもない。今回の合意では慰安婦問題を解決することはできない。

3)日本政府から韓国政府に責任が転換された?

 合意によって日本政府が実行するのは、実質10億円を出すことだけであり、合意履行にほとんど障害はない。安倍首相が被害者に直接お詫びの手紙を出すこともない。(12月28日岸田外相が記者会見で、首相の謝罪の手紙は?という記者の質問に答えて、合意の発表とおりであると答え、特に首相の手紙を準備していないとした)
 他方、韓国政府には、様々な「責任」が生まれたことになる。合意により被害者と支援団体、国民を説得する=押し付けるのは、韓国政府の仕事になった。
 10億円を受ける財団は韓国政府が設立するのだろうが、どのように運営していくかは被害者や支援団体の意向を無視して進めることはできない。すでに反対運動は広がっている。また、日本大使館前の「平和の像」の撤去は、韓国政府が関係団体やソウル市を、そして国民を説得するのだという。

 これまで韓国政府は、日本政府の法的責任を認め、公式謝罪と賠償を求めてきた。歴史事実として記録、研究、究明、教育を主張してきた。今回の「合意」でもって、これら主張をすべて放棄した。
 「合意」では、「慰安婦」問題は絶対に解決しない。今後に禍根を残す。

4)韓国政府はどうして譲歩したのだろう?

 日韓関係が悪いことが、米国で韓国の印象に悪影響を与えかねない、と韓国政府は受け取ったのであろう。韓国政府の譲歩は、何かしら日韓関係そのものの重要性を鑑みてのものではない。米国政府、特に安全保障グループからの圧力を考慮したように見える。
 韓国の中国接近に対して、米国政府内では批判が相次いできた。2015年9月「抗日戦勝70周年式典」に朴大統領が参加し、習近平、プーチンとともに天安門上に並んだ。その姿は、韓中ロ接近を象徴するものとして受け取られ、特に米国の安全保障関係者、米軍を大きく苛立たせることになった。
 また、韓国資本家、支配層にとって、TPPが妥結したことは衝撃だった。すぐには妥結しないと予想していたのだろう。自らを除外した大規模FTAの締結に、韓国資本、支配層は孤立感を深め、朴政権に米日との関係改善、同盟強化に重心を移動するように強硬に迫ったのではないかと推測される。
 とはいえ、韓国のGDPの4分の1に相当する中国との巨大な貿易を抱える韓国にとって、中国と距離を置くことも不可能。韓国政府は、中国との関係は悪化させずに、米国の懸念を振り払うことを指向したのではないか。そのための一つの行動が、「慰安婦」問題の拙速な合意なのではないか。
 したがって、「慰安婦」合意は、決して歴史認識における日本政府の主張に影響されたわけでもなく、あえて言えば日韓関係を改善するためでもない。そのような考慮は、より「低い順位」に置かれていると思われる。
 いずれにせよ、朴政権にとって、韓米関係、安全保障、経済的利害は、被害者の人権回復より優先事項である、ということだ。

5)この先どうなるのだろうか?
 
 日韓合意は、「慰安婦」問題の解決にとって、大きな困難となった。これまで被害者の立場に立って日本政府に解決を求めていた韓国政府が、一転してその態度を変えてしまった。
 「慰安婦」問題の解決のために、日本政府の責任を追及してきたのだが、これに加えて合意した韓国政府の責任も併せて追及することになった。
 「合意」でもって「慰安婦」問題の解決とさせないこと、「合意」では決して解決にならないことを、訴え広めていくことが、人権を回復していく私たちの運動の当面の目標になった。
 韓国内では、日韓合意に反対し、韓国政府に撤回を求める激しい批判と行動がすでに起きている。
 他方、日本国内では、「合意」の意味や評価がまだ十分に浸透しておらず、人権団体、政党、市民団体のなかでどのような態度をとるべきか、必ずしも明確でないような状況があるように見える。
 2014年第12回アジア連帯会議「日本政府への提言」をあらためて本当の解決だと確認しながら、解決しない日韓合意であると訴えと広く訴えていかなくてはならない。

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