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これからは、恐慌局面 [世界の動き]

これからは、恐慌局面

1) 波乱のスタート

 2016年は年初より、株式市場は波乱のスタートである。2015年8月の急落に続く大きなショックだ。今年に入って世界の株式時価総額は8兆ドルくらい減った。リーマン・ショックが起こった08年9月でも5兆ドルくらいだった。当時以上の株価下落が発生している。
 2015年末には、「新年は株価が順調に上昇する」との見方が支配的だった。新聞各紙の掲げた経営者の年頭の見通しを見れば明らかだ。しかし、その予想はいきなり外れた。プロの経営者の見通しは外れた。株価はいきなりの下落で始まった。しかもその後、乱高下が止まらない。
 株価下落の原因は、世界経済が変曲点を迎えたからである。2008サブプライム恐慌以降、大量の金融緩和により新興国を中心に世界経済は緩やかに上昇してきたが、大量の緩和はバブルを形成し、その破綻の局面を迎えている。日本だけ見れば、ゼロ成長であった分だけ、すなわち国内投資がきわめて低調であっただけ、日本経済はバブルに至っておらず、相対的に見れば健全である。しかし、日本経済はあくまで世界経済の一部であり、その結びつきはこれまで以上に一体化している。世界経済の変曲点は、日本経済をも支配する。

2)現局面に、どのようにして到達したのか?

 2009年以降、サブプライム恐慌からの回復過程における量的緩和の規模は極めて大きかった。資本主義は恐慌とバブルを繰り返しているが、恐慌からの脱出は必ず恐慌の規模以上の金融緩和によってなされる、すなわちより大きな恐慌を準備することによって恐慌から脱出しようとする。
 現在の金融混乱は、中国経済の減速、原油安が引き金になっている。大規模な金融緩和によって大量に余った資金は、中国経済の成長をあてにして大規模に投資された。2011年ころにはすでに減速しつつあったにも関わらず、あふれる資金は原油や資源開発に投資された。シェールオイル開発を加速させ、さらに多くの資金がつぎ込まれた。その結果、資源バブルがはじけたのは、実需の後退し始めた2011年ではなく、2015年8月であった。
 原油価格が急降下した。実際の原油需要は低下していたにも関わらず、4年間にわたって資金は開発投資され続けた。これを「バブル」という。これが資本主義である。
 バブルははじけて初めてバブルとなる。はじけないうちは投資しない資本は利益を上げる機会を失う。だから、はじけるまで誰もが競って投資する。そうして、爆発力を大きくした後ではじける。資本主義はこの資本主義的過剰生産恐慌から逃れることができないし、解決する力を持たない。あとから、「あれはバブルだった」、「資産を持たない者にサブプライムローンを組むのはおかしい」と誰もが指摘し批判する。しかし、事前に指摘し、投資行動をやめる者は一人としていない。「サブプライムローン」はあれほど批判されたたが、現在は、住宅ではなく車向けにすでに復活している。
 
 その結果が、原油価格の30ドルへの低下である。「原油価格の下落」という道筋を通って、金融危機が生まれかねない情勢となった。
 原油価格の下落は、産油国の政府財政を一挙に悪化させた。そのため、サウジアラビア通貨庁、カタール、クウエートなどの湾岸諸国が蓄積したオイルマネーを、世界株式市場、債券市場に投資してきたが、これを大量に一挙に引き上げ、政府赤字を補填している。そのことで、株価は乱高下し、金融市場は動揺している。オイルマネーが金融市場から引き上げるという「流れ」は、原油価格が上昇しない限り、続きそうだ。
 オイルマネーの動きを見て、あらゆる投資家のあいだで、運用リスクを避けるため投資の引き揚げ、手控えが広がった。これが「世界経済の減速化」をもたらした。

 原油価格の低下は、米国シェールオイル資本を直撃している。全体で100兆円規模とされる開発資金の大半は高利で調達しており、ハイイールド債などとして世界中の投資信託に組み入れられすでに世界中で販売されている。「サブプライムローン」と同じ仕組みだ。原油価格の下落により、シェールオイル資本が破綻すれば、大量の不良債権が生まれる。

 大量の緩和マネーが世界市場にあふれかえっており、何かのきっかけで過剰生産恐慌を引き起こす。どのような道筋を通って起きるか特定できないが、いくつもの可能性が横たわっている。「中国経済の減速」や「原油安」は、世界経済減速(=資本主義的過剰生産恐慌)の「原因」ではなく、あくまで一つのきっかけ、道筋に過ぎない。一つのきっかけを取り除いたら、別のきっかけが現れるだろう。小さな破綻が引き金となり、一斉に資金を引き揚げる事態に陥りかねない。2016年初から、世界の金融市場は、破綻の切迫に怯えている。

3)日銀のマイナス金利

 日銀の取るべき手段が、その選択肢が、いよいよなくなってきたということだ。
 市場が不安定になっている。しかし、中央銀行によって、これを押しとどめることができない局面に入っている。

 「今回の危機を回避するには、中国の減速や新興国の債務問題、とりわけ民間企業の債務問題の解決に目途がつけば」と言われ、また、「低水準な原油価格が上昇すれば危機は回避できる」といわれる。
 表面上の経済指標を追っかけていれば、そのような「希望的観測」が生まれるのは、いつものことだ。
 確かに、原油価格が上昇すれば、原油価格下落で破産する企業がなくなり、貸し付けている資金は不良債権にならず、貸し付けている金融機関、投資信託などを購入している投資家など、破産の危機は回避できるはず、と関係者が考えるのは「手に取るようにわかる」。
 しかし、同じ理屈で別のシナリオもあるはずだ。原油価格下落でシェールオイル資本が破産し、投資している世界中の金融機関や投資家が損を確定し、一部が破産すれば、直ちに原油価格は上昇し始める、とも言えるのだ。

 どちらになるか、誰もあらかじめ決めることができない。関係者の希望によって、あるいは中央銀行の金融政策によって決まらないのが、肝心なのである。
 資本主義の無政府性であり、資本主義は過剰生産恐慌を避けることができないという「真実」を、またしても確認せざるを得ないのである。
 (2016年3月7日記、文責:小林治郎吉)

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