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新薬「オプジーボ」は「遠い夢の薬」 [現代日本の世相]

新薬オプジーボ、日本以外では「遠い夢の薬」

 読売新聞は、医療ルネサンス特集で5回にわたり新薬オプジーボについて記事を載せている。以下は1月9日の記事。

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 2016年12月上旬、オーストリア・ウィーン、世界肺癌会議があり、日本の肺がん患者団体「ワンステップ」代表、長谷川一男さん(45)は、患者支援活動に贈られる「アドボカシー・アワード」の受賞式に出席した。
 長谷川さんには、世界各国から集まる患者たちに、ぜひ聞いてみたいことがあった。オプジーボをどう思っているのか―――。だがその問いは、肩すかしにあう。・・・・・・
 「オプジーボ」は超高額新薬である。こうした超高額薬を使える国は、日本以外ほとんどないという現実を改めて認識させられた。オプジーボの薬価は日本の2割から4割に抑えられているのに、それでも使うことができない。・・・・・・
 多くの国で、「オプジーボは」は「遠い夢の薬」だ。東欧の患者からは、「通常の抗がん剤」でさえ高価で満足に使えない」と聞いた。
 米国は無保険者が15%おり、莫大な医療費を自己負担できる患者は一部の富裕層に限られる。
 英国では、高額薬について、費用対効果の観点から国立医療技術評価機構(NICE)が、厳しい審査を行う。オプジーボが肺癌治療で公的医療制度の対象にするかどうかの結論はまだ出ていない。
 ・・・・・・

 海外でのオプジーボの薬価(100㎎の薬価、厚生労働省) 
   英国:約14万円、
   ドイツ:約20万円、
   米国:約30万円
   日本:約73万円、2017年2月から約36万円になる。それでも海外より高い。
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 日本で開発された新薬「オプジーボ」が、これまでの抗がん剤とは異なり画期的な効果があったという肺がん患者の闘病記録などを含む読売新聞の特集記事を、この数日読んできた。

 また、新薬「オプジーボ」は、京都大学・本庶佑(ほんじょ・たすく)研究室が開発を牽引したこと、癌細胞のブレーキを解除して免疫を再活性化する仕組みの記事や、患者団体を結成し患者同士交流し励ましあいながら、癌と闘っている記事など、興味深く読んだ。

 ただ、1月9日の上記の記事を読み、医学や薬学上の問題ではない、ある意味より深刻な社会的要因を考えさせられた。

1)新薬「オプジーボ」は「遠い夢の薬」

 小野薬品工業の新薬「オプジーボ」が、肺癌にも効果があるということで、注目を浴びている。薬価が超高額であるとして官邸が介入し、100㎎あたり現状約73万円が、2017年2月から半額の36万円になるという。それでも超高額薬だ。患者によって異なるが、日本の場合、1か月治療すると約300万円、1年間だと約3,500万円かかる。大半は健康保険から支払われる。

 官邸が介入し半額に値下げしてもなお、海外での薬価よりも高いのは少々不思議だが、海外での価格も、けっして安いとはいえず、記事にある通り、富裕層以外には使えない高額薬なのだ。

 新薬が開発され効果があっても、高額な費用を患者が負担しない限り、実際の医療には使われないという事態が、私たちの生きる世界では「当たり前」となっている。資本が儲けることを通じて、あらゆる社会活動が行われる。「儲けること」が「治療」より優先されるという転倒した事態が起きている。

2)医療も薬も、儲ける手段!

 ここに、弱者である患者を切り捨てる世界的な社会構造が、透けて見える。
 科学者が研究し癌を撲滅する新薬を開発しても、製薬会社が莫大な富を得ることが優先される社会構造が確固たるものとして存在する。資本をもうけさせることを通じて、医療活動を含むあらゆる社会活動が行われるのが、資本主義社会。新自由主義の下で、資本の活動は規制という制限を次々に取っ払い、世界的な製薬会社がますます力を得て医療活動を支配する関係が広がりつつある。恐ろしいばかりだ。

3)日本の国民皆保険制度が狙われている!

 日本では、この超高額薬を使うことができる。国民皆保険制度によって、高額新薬も含む高額医療費の一部だけを負担すればいいからだ。日本の国民皆保険制度は世界に誇る優れた制度である。日本以外の国々の患者にとって、日本の国民皆保険は、夢のような制度なのだ。

 しかし、この保険制度は今、高額新薬を含む高額医療によって、破壊されかねない事態に直面している。

 日本以外の国では富裕層以外に高額新薬の費用を支払うことができないので、その人数は限られる。ところが、日本の国民皆保険制度は、制度がある限り支払うことができるので、世界の製薬資本にとっては、狙い撃ちする対象となる。日本の国民皆保険制度は、支払ってくれる「大きな財布」なのだ。

 日本の医療費を含む福祉予算は、年間40兆円を超えさらに増大している。財政的負担に耐えられなくなれば、破壊されてしまう。

 TPPには、世界的な製薬資本が利益を上げる権利を擁護する条項がある。TPPを推し進める安倍政権は、この優れた国民皆保険制度を護るつもりがない。極めて危険だ。

 癌で苦しむ患者を、さらに病気以上に社会的に苦しめることになる。(1月9日、記)



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