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「安倍からのミサイル供与申し出は断った」?? [フィリピンの政治経済状況]

?「安倍からのミサイル供与申し出は断った」??

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<共同記者発表を終え、握手するフィリピンのドゥテルテ大統領(右)と安倍晋三首相=12日午後4時57分、マニラのマラカニアン宮殿>
 
 安倍晋三首相は12日、フィリピンの首都マニラを訪問し、ドゥテルテ大統領と会談した。フィリピンと中国が領有権を主張する南シナ海問題で、日比政府が連携を強化していくことを安倍は主張し、今後5年間で、1兆円規模の支援を行うことも表明した。

 安倍政権は、アメリカの対中国政策に従い、日米の側にフィリピンを取り込み、南シナ海の問題で中国に対峙させようと腐心している。そのために日本外交の伝統的手法、あるいは「得意技」である経済援助を提示し、わざわざ南シナ海を巡視する巡視船も提供した。
 果たして、安倍はドゥテルテを取り込んだか?

 これには後日談がある。
 「第3次世界大戦をみたくないから、安倍晋三首相からのミサイル供与の申し出を断った――」 
 ドゥテルテ大統領がこんな「発言」をしたと、現地の日刊英字紙フィリピン・スターが15日に報じ、波紋が広がったのだ。
 報道のもとになったのは、ドゥテルテが15日、ダバオ市商工会議所の総会で行ったスピーチ英語とタガログ語で、首脳会談をしたばかりの安倍首相の名前を挙げ、「安倍には、軍事同盟は必要ではないと言ったんだ。私は外国の軍人がいない国を目指したい。・・・・・・安倍にも言ったんだ、ミサイルは必要としていないと」。 

 もちろん、日本政府はミサイルなど供与しない。明らかな間違いである。あるいはドゥテルテはわざと「ミサイル」と「言い間違えた」のかもしれない。いずれにせよ、「安倍の狙いは承知しているよ!」というメッセージのようだ。

 ドゥテルテが言いたかったことは、「支援はありがたくいただくが、日米の側に立って中国と対立し、戦争になるのは嫌だ」ということである。



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アメリカから離脱するフィリピン [フィリピンの政治経済状況]

アメリカから離脱するフィリピン

1)中比の緊張、和らぐ

 10月のドゥテルテ習近平首脳会談で南シナ海問題を、二国間交渉で平和的に解決することで合意し、状況は見事に改善した。フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海スカロボー礁(中国名:黄岩島)での両国の緊張が緩和しつつある。フィリピン漁民が操業を再開したが、中国の妨害は起きていない。

 中国外務省の華春宝・副報道局長は10月31日の記者会見で、「中比関係は全面的に改善している。このような情勢下でドゥテルテ大統領が関心を持つ問題について、中国側は中比友好に基づいて適切に処理している」と述べた。

2)どうやって、改善したか?

 ドゥテルテはどうやって中比関係を改善したか?
 ハーグ仲裁裁判所の裁定に固執せず、中国とフィリピンとの二国間交渉で(アメリカや日本の域外国を排除して)解決する姿勢で臨み、南沙諸島スカボロー礁の領有権問題を棚上げにし、他方で中比経済関係拡大を合意したからだ。
 これはまったく正しいやり方だ。南シナ海の領有権問題については、中国は常に紛争は棚上げして、共同開発を進めるという原則を提唱してきたが、ドゥテルテはこれに応じたのである。
 同時に、ドゥテルテは交渉にあたり、米比軍事同盟や米比関係の重視しない姿勢を示した。ドゥテルテが実際に、米比軍訪問協定(以下:VFA)や米比相互防衛協定(以下:EDCA)を凍結、廃棄するか、あるいはできるかは不明だが、米国との軍事同盟、米国の影響力が、南シナ海領有権問題の真の対立要因であることは間違いない。彼はそのことをよく理解している。
 VFAやEDCAの廃棄、米国の影響力の低減が実現すれば、東アジアの軍事的緊張を緩和し、さらにASEANと中国が南シナ海の非軍事化と非核化を達成するための交渉に進むことができるだろう。

3)和解を優先

 国際海洋法機関は、当事者同士の和解を最優先し、和解結果の内容が海洋法にそぐわないものであってもそれを支持することになっている。中比が交渉で合意するならば、その合意はハーグ仲裁裁判所の裁定よりも尊重されるのである。中比が合意すれば、「中国は裁定を受け入れ、埋め立てた環礁を元に戻し、南シナ海から撤退しろ」と求める日米などの主張も根拠を失う。
 そもそもハーグ仲裁裁判所の裁定は、スカボロー礁は「岩」だとし中比双方の領有を認めなかった。裁定の影の勝利者は米国であり、この地域を勝手に航行する「根拠」を強引につくった。米国政府は「航行の自由作戦」と称し、早速米海軍を航行させ、二国間問題へ強引に割り込んだ。安倍政権はこの米国戦略のお先棒を担ぎ、中国を非難し対立を煽ったのである。

4)尖閣領有権問題との対比

 改善した中比関係と、悪化したままの現在の日中関係と対比してみれば、ドゥテルテの判断と行動が、いかに画期的であるかが判明する。
 1972年、当時の田中角栄首相と周恩来首相は、尖閣諸島領有権問題を棚上げし、日中共同声明を成立させた。1978年には鄧小平と園田直外相は日中平和友好条約を締結したが、この時も尖閣問題の棚上げを再確認した。

 しかし、日本政府・外務省は2000年代になって、「尖閣諸島の領有権問題を棚上げした事実はない、尖閣は日本固有の領土である」と交渉経緯を一方的に改竄し、尖閣諸島の領有を一方的に宣言し、日中関係を悪化させた。政府外務省と日本支配層が、米国好戦派の意向に従い、中国包囲策へ計画的意図的に転換したのが事実だろう。
 日本では、東アジア共同体構想を掲げ、米中二国との友好関係を築こうとした、鳩山・小沢の政治路線はつぶされているのだ。

5)アメリカから離脱するフィリピン

 ドゥテルテは、フィリピンがアメリカの影響下からの離脱する方向に一歩踏み出した。そのことは、これまでの世界からの構造的転換でもある。
 北京での交渉の数日前、ドゥテルテは、フィリピン・マスコミに 南シナ海を巡る中国との紛争に関し、「戦争は選択肢にない、その逆は何だろう? 平和的な交渉だ」と語った。その上で、「金を持っているのは、アメリカではなく中国だ」と言い放った。下品な表現だが、ドゥテルテ特有の現実感覚を見せている。

 中国との交渉で、ドゥテルテとフィリピン企業との政府代表団は、135億ドルもの額の様々な契約に調印した。習主席は中国とフィリピンに触れ、両国のことを「敵意や対決の理由がない海を隔てた隣国」と呼んだ。

 他方で、ドゥテルテは、前任者アキノのように、ワシントンの傀儡になるつもりはないと何度も発言した。米国の影響下から離れることは、平和的な交渉を行い中国やロシアと付き合うことと一体なのだ。

 ホワイトハウスと欧米マスコミは、あけすけなフィリピン新大統領の発言を、「利害にさとい取引のための態度」として描こうとしたが、けっしてそれだけではなかった。ドゥテルテの交渉とその後の進展は、フィリピンがアメリカから離脱するプロセスの一環であり、より深い意味を持っていることを示唆している。

 ドゥテルテは、わずかな外遊と交渉で、フィリピンの大きな転換を成し遂げた。しかも、ドゥテルテの登場は、アメリカは世界の警察官であり続けることはできないと表明したトランプ新政権となり、国内重視の政策に転換する時期と重なったのである。ドゥテルテにとって幸運だったようだ。以前なら、クーデターでつぶされていただろう。

 ドゥテルテ大統領はアジア歴訪を行い、まず中国、そして日本を訪問した。間もなくロシアのプーチンとも会談する。中国を軍事的に包囲することを狙ったペンタゴンのアジア基軸に、彼は巨大な穴を開け始めたように見える。(11月16日記)
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宵越しの金を持つようになったフィリピン [フィリピンの政治経済状況]

宵越しの金を持つようになったフィリピン社会?

フィリピンで貯蓄率急増

 フィリピン経済は、7%の成長を続けており、消費が引き続き好調である。それとともに、貯蓄や投資が急速に増えている。貯蓄や投資を拡大しているのは、経済成長で増えてきた都市の中間層。投資や貯蓄という新たなマネーの動きの主役となっているという。

 フィリピン株式市場へ投資する個人顧客が増え、野村證券とフィリピン最大手銀行BDOユニバンクとの合弁証券会社など多くの証券会社がビジネスを始めた。オンライン証券口座は急速に増えており、多くは18歳~44歳の比較的若い層だそうである。18歳~44歳の年齢層は、比較的収入が安定しており、金融機関も主要顧客として狙いを定めているらしい。
 これに加え海外で働く労働者からの送金も増えており、貯蓄率の向上につながっている。

 ただし、海外で働く労働者数は、1000万人を超えてから、その増加ペースは明らかに落ちてきた。頭打ちだ。国内での中間層が増えれば、わざわざ海外で働く必要も小さくなっていく。

 そのことは、これまで手元にある金はすぐに使いきってしまうのがフィリピン人と社会の一つの傾向であったが、「宵越しの金」を持つようになった中間層が生まれつつあるらしいのだ。

 もっとも、フィリピン社会の貧困層は3割、すなわち約3,000万人に及び、この人たちには縁のない話。

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ドゥテルテ政権、アメリカとぎくしゃく? [フィリピンの政治経済状況]

ドゥテルテ政権、アメリカとぎくしゃく?
ーアメリカの影響力低下ー

1) ダバオのテロ事件

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<ドゥテルテ大統領>

 フィリピン第三の都市ダバオ中心部で9月2日夜、爆弾が爆発し14人が死亡、67人が負傷する事件が起きた。3日、アブ・サヤフが犯行声明を出した.。ドゥテルテ大統領はフィリピン全土に「無法状態宣言」を出して、犯人の逮捕、同種事件の再発防止、アブ・サヤフの壊滅に徹底的に乗り出す方針を表明した。

 6月30日の大統領就任演説で示した「過去は過去として忘れよう」というドゥテルテの新方針に基づき、7月25日には「我々は平和を求めている」と施政方針演説をおこない、反政府各組織に停戦を呼びかけ和平交渉の開始を求めた。

 この背景には、経済発展するフィリピンにとって、マニラ周辺だけではすでに限界であり、ミンダナオを含めた地方の発展が必要であるとという、ドゥテルテの判断がある。そのためには国内治安問題やテロ問題を「過去を水に流してとにかく和平にこぎつけ」る方針なのである。それは国民の多くが望むとともに、フィリピンの資本家層の要求でもある。他方で、ドゥテルテ政治の「最大の課題」である「麻薬問題解決」をテーマに、劇場型政治ショウを行い、支持率を高めるために全力投球したいとの考えがあった。

 紆余曲折があったものの新人民軍は和平交渉に応じる姿勢を示し、ノルウェーのオスロで5年ぶりに再開した交渉の末、8月26日には「無期限停戦を盛り込んだ共同声明」の発表にまで漕ぎつけた。

 これに対しアブサヤフは一向に停戦の呼びかけに応じる気配をみせず、8月26日にはミンダナオ地方のスルー州パティクルで国軍と大規模な交戦が勃発、アブ・サヤフの戦闘員19人が殺害される事態となった。アブ・サヤフは依然として外国人を含む10人以上の人質を拉致しており、前任のベニグノ・アキノ政権下では米軍と共同で掃討作戦を実施したこともある。

2)テロ事件の意味

 誤解してはならないのは、アブ・サヤフは、イスラム、およびイスラム教とは何の関係もない。アブ・サヤフ自身は、ISと関係があると自称しているが、実際にはアルカイーダやIS同様、アメリカの好戦派やCIAに育成され、雇われたテログループであり、今回のテロ事件もアメリカ政府内の好戦派の指示によるものだろうと推測される。ドゥテルテもアメリカの「意図」に気づいているだろう。これまで何度も、テロ事件を起こしてはアメリカ軍が介入してきた。彼はそのやり口をずっとダバオにいて見てきたのである。

 ドゥテルテ新政権が発足してすぐに、しかもドゥテルテがダバオに滞在しているその時を狙ってテロ事件を起こせば、新政権は何らかの対応をしなければならない。しかし、テログループを逮捕し壊滅させるのは容易ではない。したがって、テロ事件は掃討作戦実施を名目に、米軍がミンダナオに進駐する政治的理由をつくったのであり、新政権にアメリカ政府から共同掃討作戦の打診があったはずなのだ。ドゥテルテをアメリカ政府の影響下に引き込むための見え見えの策である。

 しかし、アメリカ政府の「もくろみ」は、なかなか思い通りには進んでいない。ドゥテルテに対し、影響力を行使できていない。

3)ドゥテルテによるオバマ侮蔑発言

 ドゥテルテ政権は、麻薬の密売人は即、殺しても構わないとする強引な麻薬撲滅作戦を実行して
おり、大統領就任から6月30日までに、警察によって殺害された麻薬の密売人は2,000名を超える。法律によって裁かない超法規的殺人であり、明白な人権侵害である。すでに国連やアムネスティなどから批判を受けていた。ドゥテルテ政権の無法な殺人は許されることではない。

 この件で、東アジア首脳会議(EAS)首脳会談において、オバマ大統領から批判されると察知したドゥテルテ大統領が、事前の記者会見での記者の質問に、オバマ大統領をさして「くそったれ(son of a bitch)の意見は聞かない」と発言したという。そのことで、今回の米比会談がキャンセルとなった。もちろん翌日には、フィリピン政府はオバマ大統領個人を侮蔑したのであれば後悔すると声明し、米比会談は後日開かれることになった。

 麻薬撲滅をテーマとしたドゥテルテ政権の「劇場型政治」は、今のところ国民から高く支持されており、この高支持率がドゥテルテの政治的基盤であるので、自身の政治スタイルへの批判に、我慢がならなかったのだろう。

4)ドゥテルテの発言内容

 いくつかの報道をみたが、ほとんどは「オバマ大統領へ侮蔑発言を行った」と書くだけで、発言内容を伝るものは少なかった。マスメディアのこのような姿勢は、情報操作にほかならない。探した限りでは読売新聞9月7日、ハンチングトン・ポストが発言内容の一部を伝えていた。

<ドゥテルテ大統領の発言要旨>(9月5日、ダバオでの記者会見で)

 「フィリピンは属国ではない。私はフィリピン国民だけに答えるが、彼(オバマ大統領)は、何様だ。我々が植民地だったのは遠い昔だ。私の主人はフィリピン国民だけだ。敬意がしめされなければならない。質問や声明を投げかけるだけではいけない。米国はフィリピンで多くの悪事を働いてきたが、今まで謝罪したことがない。米国は我が国を侵略し、我々を支配下に置いた。裁判なしに人を殺してきたひどい記録が皆にあるのに、なぜ犯罪と戦うことを問題視するのか。」(読売新聞、9月7日
 「私は独立国家フィリピンの大統領だ。植民地としての歴史はとっくに終わっている。フィリピン国民以外の誰からも支配を受けない。一人の例外もなくだ。私に対して敬意を払うべきだ。簡単に質問を投げかけるな。このプータン・イナ・モ(くそったれ)が。もし奴が話を持ち出したら会議でののしってやる」(The Huffington Post、9月6日)

 発言内容を見れば、「プータン・イナ・モ(くそったれ)」以外は、それほど問題ではない。むしろ、独立国家フィリピン大統領を、支配しようとするな!植民地のように扱うな!と言っており、長年にわたるアメリカによるフィリピン社会の支配に対する反発、怒りが直截に表現されている。

4)ドゥテルテ政権の外交方針、ぎくしゃくする米比関係

 前のアキノ政権は親米でアメリカ政府の言いなりだったが、ドゥテルテ大統領は米国一辺倒だった政治外交経済関係を改め、中国と関係改善し、さらなる経済発展のため中国資本の投資を呼び込みたいと、当選前に公言していた。これまでの外交方針をあらため、中国とアメリカを天秤にかけると表明したに他ならない。そして現在までのところ、確かに天秤にかけている。 

 アメリカ・オバマ政権からするならば、アキノ政権を使って南シナ海問題で国際仲裁裁判所に訴えさせ、中国へ圧力をかけるキャンペーンを行ってきたわけで、侮蔑発言をしたからと言ってドゥテルテ政権と関係を断てば、米比間の協力関係に悪影響が及びそうだし、それ以上にフィリピン政府を中国側に追いやってしまいかねない。

 ドゥテルテ大統領が、「アメリカからの投資はあまり見込めない。これからは中国だ」と公言したり、麻薬撲滅作戦での超法規的殺人へのオバマ大統領による批判に噛みつく、こういう事態が起きている。

 このようなことは、これまでなかったし、想像さえできなかった。明らかにアメリカの影響力、支配力が弱まっている。「アメリカ人はけっして好かれてはいなかった、力を持っているし金を持ってくるから、ニコニコ歓迎していたが、そうでなくなれば用はない」というわけだ。

 ドゥテルテ大統領の「反米感情」が、どこに政治的基盤を持つのか不明なところがあるし、それゆえどれほど確固としたものか、測りかねるところもある。支持できないところもある。ただ、そこに東アジアの政治経済秩序の新しい変化が現れているのも確かなようだ。(9月8日記、文責:林 信治)
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ハーグ仲裁裁判所は、仲裁ではなく対立を煽った [フィリピンの政治経済状況]

ハーグ仲裁裁判所は、仲裁ではなく対立を煽った

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<ドゥテルテ大統領>

1)審理されるべきではなかった訴訟、法的拘束力はない裁定

 ハーグ仲裁裁判所は、7月12日、中国沿岸とフィリピンの間の“九段線”の内側にある様々な島々や岩に対する、中国の主張に不利な裁定をした。これに乗じてアメリカ政府は、中国に対する“国際法の尊重”要求をもっともらしく主張した。同時にペンタゴンは、挑発的にも、ドイツ連邦共和国海軍を巻き込み、中国を排除して、国際的海軍演習“リムパック2016”をこの地域で開始した。事態は益々険悪になりつつある。
 
 ハーグ仲裁裁判所とその裁定について、虚偽の宣伝が広がっている。
 ハーグ仲裁裁判所は、紛争中の両当事者と協力して、仲裁者の選任を促進するための、国際海洋法裁判所(ITLOS)所長配下にある官僚機構にすぎない。海洋法の仲裁機関は、当事国どうしが話し合いで紛争を解決する際の仲裁のために設置された機関であって、国内裁判所とかなり異なる。法的拘束力を持たない仲裁委員会が裁定を出す過程全体がそもそも違法だ。

 中国は、仲裁過程への参加も、仲裁委員会の管轄権を認めることも拒否し続けている。
 仲裁には、対立する主張の解決を求める両当事者(中国政府とフィリピン政府)が、お互いの対立する主張を解決すべく、中立的な仲裁人に救いをもとめることに同意する必要があるが、この手続きを欠いている。

 今回の場合、一方の当事国の中国が仲裁に同意しておらず、外交的な二国間交渉の継続を望んだにもかかわらず、アキノ前大統領政権がオバマ政権の指示のもと、一方的にハーグでの仲裁を進め、7月12日、仲裁廷の特別に選ばれた5人の裁判官が、中国とフィリピン間で対立している、南シナ海の、大半が無人の島々の一部に関して裁定を出してしまったのである。

 したがって、そもそも審理されるべきではなかった訴訟であり、裁定は無効であり、法的拘束力もない。そのようなことをすべて知ったうえで、中国非難の国際的宣伝を組織し対立をつくりだすために、フィリピン政府に訴えさせ、生まれた裁定である。

2)アメリカのアジア戦略

 東アジアは世界で最も成長を続けている地域だ。それゆえ南シナ海は経済的にも軍事的にも重要である。ここは、世界の日々の海運の約半分、世界の石油海運の三分の一、液化天然ガス海運の三分の二の通路であり、世界の漁獲高の10%以上を占めている。

 アジアへのリバランス戦略を掲げるアメリカは、世界の成長地域である東アジアを不安定な状態に陥れることで、この地域に対する影響力と支配権を確保しようとしている。日韓フィリピンとの軍事同盟を強化し、中国との対立構図を作り上げ、何らかの軍事行動、経済制裁実施が可能な状態を、計画的かつ戦略的につくりあげつつある。
 
 2013年まで中国とフィリピンは、島の紛争について外交的対話をしていた。2013年にアキノ政権が、対話をやめ一方的にハーグ仲裁裁判所に正式仲裁を請求し、以来、アメリカ軍による中国を意識した行動が行われるようになった。
 
 中国の重要だが脆弱な海上補給線、中国の経済的アキレス腱こそが、まさにアメリカ政府とNATOが、標的にしているものだ。それゆえ、アキノ政権に、ハーグ仲裁手順を一方的に開始するようにさせたのである。

 アメリカ政府は中国に対して「海洋法条約を守れ!裁定に従え!」と要求するが、アメリカ自身は海洋法条約に入っていない。批准どころか署名もしていない。その理由は、もしアメリカ政府が海洋法条約に入るなら、中国と同じような裁定をアメリカが食らい、従わねばならなくなるからだ。アメリカ空母の行動海域には、誰の許しも無用である、勝手にホルムズ海峡を通過し、世界のあらゆる海を自由に航行する。

 世界の覇権国であるアメリカは、アメリカ国益に反する裁定をつきつけられて権威を落とすぐらいなら、最初から加盟しない方が良いと考え、海洋法条約に署名していない。アメリカ政府は国際法を守るつもりなどない。イラク侵攻という重大な国際犯罪を犯したが、裁かれもせず、反省もしていない。

3)フィリピン政府には、アメリカの後ろ盾

 フィリピン政府の行為にはアメリカ政府の後ろ盾がある。
  
 1992年にフィリピン上院が撤退させたアメリカ軍を、アキノ政権は6年間の大統領在位中に、スービック海軍基地とクラーク空軍基地に再び招き入れた。2014年4月には、アメリカ政府との間に新たな防衛強化協力協定を調印した。

 アメリカ軍のフィリピン基地への帰還は、中国の世界的な影響力を封じ込めるためのオバマの“アジアへのリバランス戦略の一環であり、南沙諸島、スプラトリー諸島紛争に関するハーグ仲裁を開始するアキノ政権の決定は、オバマ政権により全面的に支援された。
 
 尖閣諸島に対する安倍政権の主張を支持し緊張を高めたのと同様に、アメリカ政府は、南シナ海の紛争中の領土問題を意図的に軍事問題化しようとしている。

 南シナ海での出来事は、アメリカ政府に安倍の日本も加わって、極めて入念に計画された事件であり、海洋法に関する国際連合条約の下で演じられているこの喜劇の当事者、主要関係者が一体誰なのかを知ることが重要だ。

4)日本政府の汚い役割

 今回の裁定では、仲裁委員会の5人の相互指名という、UNCLOS条約中の法的手順を遵守していない。フィリピンは、一人の裁判官を指名し、残りの4名を中国政府ではなく、当時の国際海洋法裁判所(ITLOS)所長だった柳井俊二氏が指名した。元駐アメリカ日本大使の柳井俊二氏は、安倍晋三首相の側近の一人であり、三菱グループの顧問でもある。
  
 アメリカと日本は、今回の裁定の不備、不法、強制執行の機能がないことなど意図的に隠しながら、裁定を無視する中国を「国際法違反の極悪な国」と非難して国際信用を失墜させるキャンペーンをおこなっている。裁定が出た後、アメリカ政府は「中国は裁定に従うべきだ」と表明した。日本外務省はマスコミに対し、中国が国際法違反の極悪な国であると宣伝するよう誘導している。日本のマスコミは、外務省の宣伝機関になっている。仲裁機関の機能を意図的に無視し、「裁判所」の「判決」が出たと書き、国内裁判所と同等の絶対的な決定であるかのような虚偽の報道を行っている。

 中国政府は、安倍政権が、ワシントンのために、汚らわしい傀儡役を演じていることをよく知っている。7月15日、モンゴルでの国際会議(ASEM)で会談した李克強首相に安倍首相が、海洋法裁定を受け入れるように求めた時、李克強は激怒し、「二国間問題である、日本は決して口を出すな!」と強い口調で応えた。
 
 米国が世界を引き連れて中国を批判しようとするが、喜んで乗っているのは日本だけで、欧州や東南アジアなどその他の国々は米国に同調してはいない。EUの首脳たちも英国でさえも、誰もこの件で中国を批判する発言をしていない。アメリカの同盟国オーストラリアは「そもそも本件は海洋法の仲裁になじまない」などと対立激化を押しとどめようとしている。
 このような事情を日本のマスメディアはまったく報道しない。

5)フィリピンでは?

 新たに選ばれたフィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテが、中国との紛争をエスカレートさせようとするアメリカ政府からの圧力にどう対応するか、注目を集めている。
 なぜならば、ドゥテルテ新大統領は選挙前に、これまでの中国敵視・対米従属の国是を放棄し、中国と和解して米中双方と友好な関係を結ぶことをめざすと声明したからである。フィリピンが中国敵視・対米従属から対中協調・対米自立に転換していくのではないかという期待を抱かせた。
 ドゥテルテは、アキノ政権が拒否していた中国との直接交渉を再開すると語り、アキノとの「違い」を宣伝した。ドゥテルテ新政権は、裁定2日後の7月14日、フィデル・ラモス元大統領を特使に任命し、中国と交渉を始めた。

 海洋法機関は、当事者同士の和解を最優先し、和解結果の内容が海洋法にそぐわないものであってもそれを支持することになっている。中比が交渉で合意するならば、裁定は無効になり、「中国は裁定を受け入れ、埋め立てた環礁を元に戻し、南シナ海から撤退しろ」と求める日米などの主張も意味を失う。

 そもそもアキノが二国間交渉をやめ提訴したのに対し、再交渉に入っていることはすでに仲裁裁判所と裁定を無効にしていることを意味する。ただ、フィリピン政府は交渉で、裁定の実行を求めており、その点ではアメリカ政府の意向に従う立場を表明している。ドゥテルテ政権がこのままアメリカ政府の丸め込まれる可能性もある。ポピュリズムで当選したドゥテルテは、人気があるものの政治基盤はきわめて流動的なのだ。

 中国とフィリピンとの間での、中国と日本との間での、南シナ海や東シナ海の潮に濡れた不毛の島々を巡る意見の違いは、海洋埋蔵石油とガス獲得の問題でも、中国人漁師に、更に数百万匹の魚を獲らせようという問題ではない。

 これは、もっぱら南シナ海という東アジア諸国にとっての最も重要な経済地域・輸送路の平和と安定をいかに保つかという、安全保障にかかわる問題である。この地域で、いかに対立を拡大させず、軍事行動を起こさせないためにはどうすべきか? 対立をあおるアメリカ、便乗する日本の外交、軍事戦略をいかに止めるかという問題なのである。
 
 この点は日本国内でも同じ。東アジア地域の平和と安定こそ重要であるにもかかわらず、アメリカ政府の戦略にしたがって中国との対立は新たにつくられ煽られ、日米韓と中国の対立構図が徐々に確立整備されている。7月8日には在韓米軍への戦域高高度防衛ミサイルTHAAD配備が決定した。

 フィリピン国内では、フィリピン漁民が中国漁船に漁場から追い出された問題として、もっぱら宣伝されている。政府のみならず、野党も、左翼勢力も、フィリピン漁民支持から民族主義にあおられている面もあり、全体としてアメリカの対中国戦略に搦めとられつつあるのではないか。これら一連の動きは、極めて危険だ。ドゥテルテ政権の動向に注目が集まっている。(文責:林 信治)
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ドゥテルテ新大統領に期待できるか? [フィリピンの政治経済状況]

ドゥテルテ新大統領に期待できるか?

1)選出された理由

 フィリピンはアキノ政権下で年率6%前後の経済成長を継続してきた。その成長ぶりは、世界の成長地域である東アジアの中でも群を抜いている。しかし、経済成長はそのままフィリピンの人々の生活改善を意味しない。新自由主義の下での成長は、必ず格差を拡大する。フィリピンには取り残された多くの人々がいる。格差拡大に不満を持つフィリピン人は、アキノ政権の後継者である政治エリートの「お仲間たち」ではなく、「新味」のあるドゥテルテを新大統領に選出した。悪名高かった犯罪都市ダバオを強引な手段で「平和」な都市にしたという「実績」。あるいは、オランダに亡命中のフィリピン共産党(CPP)議長、ホセ・マリア・シソンを労働雇用担当閣僚に登用したいと提案。このようなパフォーマンスは、貧しい民衆をしてドゥテルテに期待を寄せさせたのは間違いない。もっとも「新味」があるのか、民衆の真の代表者なのかは、別問題である。

2)ドゥテルテ新大統領の基盤

 ドゥテルテ新大統領の政治的基盤はきわめて脆弱だ。彼は力強い政治運動、政治グループの支持で当選したわけではない。どこの国でも似たような現象が生まれているが、巧みなパフォーマンスで人気投票に近い選挙の勝利者になったと言える。特に効果的だったのが、既存のエリート政治家とは違うというパフォーマンスだ。
 パフォーマンスで勝利したことは、選出後、権益を享受している既存のフィリピン支配層、政府官僚からの介入とどのように折り合いをつけるかが問題である。どこの国でも同じだがフィリピンでも、フィリピン支配層は自身の利益のために政府を動かすいくつもの「手」を張り巡らせている。
 この点でドゥテルテは、フィリピン支配層や米政府との間に、特に対立を引き起こしてはいない。その調整はすでに完了しているのであろう。

3)「法人税を下げる」と公言

 ドゥテルテ新大統領は法人税を下げると公言している。新自由主義的な経済発展を構想しているし、フィリピンの支配層、とくに資本家層の代理人にほかならない。フィリピン資本家のみならず米日政府も支持する。
 また、選挙期間中、ドゥテルテは「反米発言」し、中国との関係改善を示唆したが、他方で米軍を再駐留をさせる米比新軍事協定を高く評価した。当選後、米比の安全保障体制を是認する態度を明確に示した。米政府はドゥテルテを批判せず静かに見守っている。すでに何らかの折り合いをつけているのであろう。
 また、フィリピン支配層や米国資本に、自分こそはミンダナオを開発できるとアピールし期待を集めている。ミンダナオは石油、鉱物資源が豊富であるが、過去の強引な侵略、開発は、住民の批判を浴び、MILFやNPAの勢力も根強い。ドゥテルテは、自分こそがミンダナオに和平をもたらし開発を進めることができるとアピールしている。この点もフィリピン支配層や米国政府に支持されるだろう。

 このように見れば、ドゥテルテ新政権はアキノ政権の下で達成した経済成長の上に、その路線を引き継ぎ大胆に発展させることを狙っているように見える。
 ミンダナオに和平をもたらそうとしているのは事実であろう、経済活動には和平が必要だからだ。CPPやNPA、またMILFとの和解、あるいは体制内への取り込みは、フィリピン経済のさらなる発展にとって必要になっている。治安を改善し警察・公務員の汚職をなくすことは、海外からのさらなる投資を呼び込む上で必要だ。
 ドゥテルテのパフォーマンスには、フィリピン支配層の要望が表現されていると見なければならない。
(6月24日記)

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フィリピン経済の現況 [フィリピンの政治経済状況]

マニラに「高級旋風」

 2016年には、フィリピンの一人当たりの国内総生産GDPは3,000ドルを超える見込みだ。3,000ドルは、中間層の消費が急拡大する節目とされている。しかしマニラ圏ではすでに8,000ドルを超えている。GDPは3,000億ドル(約36兆円)を超える。人口1億人なので、一人当たり3,000ドル。
 確かにマニラに、高級サービス、商品が増えた。中間層の増加を映すこのブームは今後も続くのだろうか?

 よく言うと「宵越しの金を持たない」、悪く言うと「貯金はしない、お金のある人に頼る」フィリピン人気質は、消費拡大に拍車をかけているように見える。

 様変わりなのは、一泊数万円の高級ホテルに外国人旅行者ばかりではなく、フィリピン人宿泊客が目立つことだ。マニラ湾岸に、高級ホテル「コンラッド・ホテル」開業し、SMインベストメンツ社が経営する高級ショッピング・エリアも併設するという。そればかりか、マニラ湾岸には、カジノリゾートが相次いで建設されているのだが、外国人旅行者を狙ったというのに、所得水準の上がったフィリピン人中間層が意外に多く訪れている。(日経1月12日)

フィリピン経済

 フィリピンの経済規模はこの10年で3倍に成長した。2020年にはタイと同規模になる。一人当たりGDPも、8年間で2倍強になった。マニラ首都圏では8,000ドルを超えている。
 2013年の経済成長率は、7%だった。2015年は6.5%程度。高成長である。原油安は、フィリピン経済にプラスに働く。

 フィリピン経済の強みは、増大し続ける労働人口。全人口は1億人、労働人口は4,100万人。平均年齢は23歳と実に若い。子供が多いわけで、近い将来、確実に労働人口が増える。そのため賃金が中国に比べても上昇していない。当面のあいだ、政府にとって年金や福祉予算の負担は極めて小さい。もともとそういう制度はないけれども。

 日系企業の多くは、フィリピン経済区庁(PEZA) 、経済特区に進出している。PEZAの日本案件認可件数実績も2010年代に急増した。中国の賃金上昇を受けて、フィリピンに進出企業も目立つ。
日本との貿易では、電気・電子、コンピュータ機器を含む機械類の割合が高い。
 フィリピンに進出した電子部品産業の層が厚くなってきたため、現地で部品を調達し組み立てることが可能になっている(電気・電子部品の日本からの輸入が減少している)。電気・電子産業が高度化し、部品産業、下請け企業などの「裾野」が広がっていると言える。

 自動車販売も急増している。日系自動車会社の独擅場。2015年には新車販売が30万台を超える。現在はタイとインドネシアに集中する自動車生産態勢から、将来的にはASEANの経済統合(関税低下)によるASEAN地域での生産分業と輸出をにらんでいる。

 サービス業では、ITサービス業が急増している。フィリピンは英語圏だから、コールセンターなどの音声サービス事業では、インド以上に売り上げを伸ばしている。この分野は、米国やオーストラリア企業が積極的に進出している。

 流通では、コンビニエンスストアが、マニラ首都圏で急増し、首都圏以外にも増えている。

 フィリピン経済の弱点は、インフラが整備されていないところ。経済が拡大していることもあるが、発電能力は慢性的に不足。石炭火力への依存度が高い。1990年代に民営化したが、電力不足がなかなか解消せず、電気料金が高い状態が続いている。
マニラは交通渋滞がひどく、なかなか改善されない。公共交通、高速道路、水道事業も民営化されており、企業が利益を上げる範囲でしか改善されない。そのためインフラ整備が経済成長に追いつかない。港湾施設なども不足している。

 フィリピン経済は、輸出向け電気・電子産業、サービス産業だけでなく、経済成長により都市中間層の形成と、1,000万人にものぼる海外労働者からの送金は約3.6兆円(GDPの1割を超える)もあり、国内消費市場も確実に伸びてきている。
 
 2016年5月に、大統領選挙がある。

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日米同盟の再強化とフィリピン [フィリピンの政治経済状況]

 日米同盟の再強化とフィリピン
     2015年5月3日、 ペリー・ディアス

1)日米首脳会談
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<4月29日、オバマ大統領と安倍首相>

 4月29日、日米首脳会談後の共同記者会見でオバマ大統領は、「私は、アジア太平洋地域で、大きく持続的な役割を果たしていることを確認するために、アメリカの外交政策のバランスを再調整するために働いてきた」とし、その言葉で、米国訪問中の安倍晋三首相とともに、アメリカが21世紀の太平洋戦力を維持すると述べた。日米共同ビジョン声明は、「日本との同盟を再強化と弾力的な運用は、アジアにおける米国の立場を持続可能にする」としている。この単純すぎる表現のうちに「アジアへの同盟」のすべてがある。それとも私は「日本への同盟」と言うべきだろうか?

 東シナ海と南シナ海における積極的な中国の軍拡が、隣人の間で緊張を引き起こしており、戦略的なパートナーとして勃興する中国と付き合うことがいかに重要であるか、そう考えた時に誰の海軍力が、この地域で米国の次に充実しているか? それは日本である。オバマ大統領は、「アジアへの同盟」のために、日本を引き入れ、利用しなければならないと考えたにちがいない。

 実際、南沙群島10島のうち、中国が実効支配する6つの島での干拓事業は、南シナ海での中国の支配を強化するだろう。米国の「既存の軍事的プレゼンス」に対するする侵害である。中国が南シナ海に南沙(スプラトリー)諸島周囲約200マイルに排他的経済水域(EEZ)と防空識別ゾーン(ADIZ)主張することを、ただ想像してみればいい。そうなった時、南シナ海における航行の自由を制限することになる。日本は中東からの石油輸入に大きく依存しており、南シナ海を通過する。日本にとっての最善の利益は、南シナ海の自由な航行を維持するために米国のパートナーを維持することにある。中国から切り離し米国に従順な日本に誘導することが米国の利益になる。

2)新防衛ガイドライン

 新防衛ガイドライン――1997年以来最初の改訂は日本が、弾道ミサイルに対する防衛、海上セキュリティサイバー、宇宙攻撃を含む「グローバル軍事協力」に参加することを可能にする。これらのことは、日本が第二次世界大戦後、制定した平和憲法の再解釈を、2014年内閣で閣議決定した後に、起こった。
 この閣議決定によって、日本に対しては武力攻撃がなかった場合でも、その他の国が攻撃を受けた時に、米軍とともに出動を意味する「集団的自衛権」を行使できる。これまで平和憲法の下では、アメリカが危険な状態に陥った時、軍事力を行使できなかったわけだから、これは大きな変化である。しかしそれは、周辺諸国にとっては脅威でもある。現在の日本は、米国に向かう弾道ミサイルを撃墜することができるとしている(日本政府は、技術的にではなく、政治的にそのように表現している)。
 新ガイドラインの当面の明確な目的は、中国を防ぐために第一列島ラインに沿って防衛力を強化することにある。

3)「オフショア防衛」

 アドミラル劉華清
 1986年には、中国が「沿岸防衛」から「オフショア(沖合)防衛」に海軍戦略をシフトした。提督・劉華清は、しばしば「現代の中国海軍の父」と呼ばれ、オフショア戦略を開発した。
 しかし、劉提督はその当時、中国人民解放軍海軍は「沿岸防衛」に限定される戦力しかないこと、米国に比してきわめて貧弱な海軍であることをもよく承知していた。効果的な「沖合防御」戦略を成し遂げるために、劉提督は、成し遂げられる4つの必要性を確認した。
 (1)一定時間の特定の領域内の海を掌握する能力、(2)効果的に中国のシーレーンを防衛する能力、(3)中国主張の海域の外で戦うために能力、(4)信頼にたる核抑止力を実現する機能。
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<第一、第二列島ライン>

 そして、これらの要件を満たすために、中国人民解放軍海軍は以下のタイムテーブルを提示した。
 第一期:2000年までに、黄海、東シナ海、南シナ海など第一列島ラインの内側で、対等な支配権を確立すること。
 第二期:2020年までに、中国は第二列島ラインまで対等な支配権を拡張すること。
 第三期:2050年までに、真のグローバル海軍への進化を達成すること。
 基本的には、第一期は計画に対し15年遅れており、概して中国は2075年、あるいはそれ以降も、拡大の目標を達成できない可能性がある。
 
 Chiguaリーフの構築

 中国の干拓事業が2016年までに完成する予定であり、第一列島ラインの支配確立のための途上にある。中国の目的は、第一列島ラインのうち、台湾と琉球間の宮古海峡または台湾と北フィリピン間のルソン島海峡の2つの隘路のうち、どちらか一つででも、を突破することにある。
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<Chigua環礁の埋め立て>

4)海峡の防衛

 2年前、日本は宮古島で地対艦ミサイルのいくつかのユニットを配備した。それにより戦略的に重要な宮古海峡の航行を支配できた。宮古海峡を突破する中国海軍のいかなる試みも困難であり、中国軍に重い損害を与える可能性がある。
 2014年日本政府は、台湾から100マイル以下であり、係争中の尖閣諸島から93マイルしかない日本のもっとも西側の領土、与那国島にレーダー基地を建設し始めた。レーダー基地は尖閣諸島に、日本にとってよりよい防御と監視能力を提供する。尖閣は中国もその領有権を主張している。
 日本政府の対応は、中国を一つのターゲットとしている。と同時にそれは日本政府単独の動きというより、日米同盟の再強化、日米新ガイドラインのなかで捉えられなければならない。

 ルソン島海峡は、フィリピンに属している3つの島グループを含み、幅は160マイル。海峡における島の最北端がバタネス。フィリピンから台湾を分離するバシー海峡で、海峡内の海上交通を監視するために、天然の見晴らしのよい場所を提供している。
 仮に中国が機雷で台湾海峡を封鎖した場合、日本への貿易フローはルソン島海峡へ向け直される。それは隘路である南シナ海で最も重要な大洋航路の1つになる。この地域の「緊張」と、フィリピンは無縁ではない。

5)スービック湾
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<スービック湾>
 最近米国政府は、2014年4月に署名された強化された米比防衛協力協定(以下:EDCA)に準拠して、伝えられている通り8ヵ所の軍事拠点へのアクセスをフィリピン政府に要求した ―― ルソン島4ヵ所、セブ島2ヵ所、パラワンで2ヵ所。ルソン島の4ヵ所の基地には、スービックとクラークの元米軍基地が含まれている。他の2ヵ所はラオアグ空港とバタネス島です。ラオアグ空港とバタネス島は、中国によるバシー海峡突破、またはルソン海峡の他の2つの海峡ブブヤン(Babuyan)とバリンタン(Balintang)のいずれの突破をも防止する機能を米国に提供すると推測できる。

 一方、米国は「日本との同盟」を間に合わせなければならない。米国のアジアへのリバランス戦略の中心内容だからである。新日米防御ガイドラインに署名することで、日本軍艦が東シナ海と南シナ海をパトロールする際に、アメリカ軍艦に直結していることが容易に予想される。その点において米国政府は、「日本との同盟」でよい取引を、いまだ日本側から十分に引き出してはいない。

 他方、フィリピンでは、EDCAの合憲性に疑問を呈しているフィリピン最高裁の未完了の申し立てがあり、高等裁判所が判決を出すまで、米国は待たなければならない。ちょうど1992年にフィリピン上院が米軍基地の保持を拒否した時のように、高等裁判所がEDCAを拒否した場合、フィリピンはアジア太平洋地域での米国軍事力の米国のリバランス戦略ループから抜け出ることになる。
 そのことが、フィリピン国内に置いて米軍、米国支配の傘の下により入るのか否かをめぐって政治闘争の課題になっている。
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ママパサノ(Mamasapano)の衝突 [フィリピンの政治経済状況]

 ママパサノ(Mamasapano)の衝突

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 1)マギンダナオ州ママパサノでの衝突
 2015年1月25日(日)には、ミンダナオ・ママサパノ(Mamasapano)周辺で、フィリピン政府武装勢力と地元の反政府グループ間の鋭い衝突した。戦闘では、フィリピン国家警察エリート特別行動部隊(SAF)の44人のメンバーが殺された。モロ・イスラム解放戦線(MILF)が、後に18人の反政府勢力側に死亡したと報告した。いくつかの地元の民間人も、事件の間に殺害された。
 突然の衝突と戦闘、および多数の死者と負傷者を出したことは、フィリピン政府と反政府勢力間の和解交渉を頓挫させるのではないかとの懸念を引き起こした。
 MILFだけでなく、バンサモロイスラム自由の戦士(BIFF)の両方のメンバーが反政府側の行動に関与していたと報告された。事件が起きた後、アキノ大統領はMILFとの交渉継続を決めた。
 MILFの代表はまた、地域の平和を確立するための努力は衝突によって破壊されないと表明した。それにもかかわらず、この数週間、政府軍とBIFFの反政府グループとの間で戦闘が続いている。

 2)ミンダナオ・イスラム教徒自治地域(ARMM)、マギンダナオ州
 ミンダナオ島では、歴代のフィリピン政権はキリスト教徒の政治家や住民、協力的なイスラム教徒の一族を支援して、先住のイスラムの人たちをミンダナオ西部の一地域に追いつめ、入植・開発してきた。迫害された住民は、モロ民族解放戦線(MNLF)のもと分離独立をかかげ、永年にわたる政府、入植者との戦闘が続いた。
 分離・独立を抑え込むため、コラソン・アキノ政権以降、永年にわたる交渉の末、1989年に「自治基本法」(Organic Act、Republic Act No. 6734)を成立させ、ミンダナオにミンダナオ・イスラム教徒自治地域(ARMM)を設けで自治を認めた。ARMMは4州だけで1990年11月6日に発足した。マギンダナオ州はARMMを構成する4つの州のうちの一つである。
 96年にはイスラム最大派、MNLFと歴史的な和平協定を締結し、議長のヌル・ミスアリがARMM知事に就任した。ARMMではMNLFが事実上与党化したことから、治安が急速に回復し、経済活動も活発となった。問題は解決に向かうかに見えた。ところがアロヨ政権は2001年に、ミスアリへの汚職・腐敗追及キャンペーンを繰り広げ、ミスアリ議長退任へと追い込んだ。
 これ以降、アンパトゥアン一族がARMMの利権をほぼ掌握した。アンパトゥアン一族もイスラムではある。05年には子息がARMM知事に就任し、アロヨ-アンパトゥアンによるミンダナオ中西部支配体制が完成した。
 2009年11月、知事選に出ようとしたマングダダトゥ(Mangudadatu)市長の支持者・ジャーナリスト57名が、アンパトゥアン一族の私兵によって殺される事件が起きる。
 戒厳令が敷かれ、イスラム自治権承認を剥奪し、再び「北」の中央政府が主導権を握った。

 3)開発利権が集中するミンダナオ
 ミンダナオはニッケル、銅、金、石油・天然ガスなどの鉱物資源の宝庫であり、96年のMNLFとの和平合意以降、欧米日・中東からの開発投資、政府のインフラ整備事業など、多額の資金が流入した。
 武装したイスラム勢力による戦闘をひき起こしあるいは起きたことにし、米軍やフィリピン軍が進出し住民を追い払い、そののち海外の資本が資源開発する事件が多発してきた。MNLFが解体された現在、ミンダナオの人たちはモロ・イスラム解放戦線(MILF)に一つのよりどころを求め、自身を防衛してきた。MILFは和平を求めフィリピン政府と交渉を続けている。
 今回、突然起きたマギンダナオ州ママパサノの悲劇によって、和平のプロセスが壊れるのではないか、と多くの人々が心配し、また注目している。
*************


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 ママサパノの悲劇と和平への道
 
2015年1月29日、ジョエル・タボラ

 1)ママパサノの悲劇を悼む

 アキノ大統領はミンダナオ、ママサパノ(Mamasapano)で亡くなった人のために追悼の日を呼びかけました。私たちが金曜日に半旗を掲げ追悼した時、また慈悲と思いやりのため神に祈ろうと呼びかけた時、私は、よく知られたテロリストへの逮捕令状を取り持った任務で死亡した警察官の死も哀悼されるべきと考えました。同時に私は、同じ機会に死んだMILFとBIFFのメンバーの死をも哀悼します。私は、或いはすべてのフィリピン人は、彼らに哀悼しなければなりません。服従、無知、無謀または恐れによって無鉄砲な虐殺または野蛮な暴力に追いやられた、すべてのフィリピン人を哀悼します。沈黙のなかで、私は平和を祈ります。

 私はまた、私たちの平和への道が閉ざされないことを祈ります。犠牲と痛みの伴う困難な、骨の折れる道です。しかし、それは希望の唯一の道です。

 2)戦争と暴力の原因を想い起こそう!

 私にとって、事件の道筋を辿ることは、南の人々にとって覚えているにはあまりに痛ましく、北の人々にとって認めるにはあまりにきまりが悪いことです。このことはミンダナオでの戦争と暴力事件の原因を思い出すことを意味します。
 いくつかの事例を示しましょう。ヌル・ミスアリ(当時、MNLF議長)はヤビダ(Jabiddah)虐殺をきっかけに立ち上がりました。 ヤビダ(Jabiddah)虐殺に終わったのは、サバ州におけるマルコスの無謀な冒険主義がありました。イスラム教徒と彼らの土地・ルマド・ミンダナオ(Lumad Mindanaoans)を奪い、ミンダナオ風景を変更してしまった北から入植政策の歴史もあります。「白い外国人」の「少し茶色い兄弟」のやり方を拒否したムスリムの人々を、文明化するためアメリカ人と手を携えて北から来たフィリピン人の歴史、アメリカによるバドダヨのムスリム虐殺に立ち会った「フィリピン人」の歴史もあります。

 3)ミンダナオ、虐げられてきた歴史

 ホロ(Jolo)州バド・バグサ(Bud Bagsak)。イスラム教徒は、自身のイスラム信仰、文化と独立を外国人から守るために、勇敢に戦いました。スペイン人が征服したことがなかったムスリム・スルタンの主権も一緒に、スペインがアメリカにフィリピンを譲渡したと規定しているパリ条約でした。征服し植民地化するスペインの意志を挫いた300年にわたるモロ戦争の歴史。スペイン人の到着前のフィリピンにおける成熟した文明の存在した200年。モロ・アイデンティティ、政治的主権とそれまでの発展に対して、「北」からもたらされた不正行為は、ミンダナオにおける戦争と暴力の原因でした。
 「平和への道」とは、北から来たフィリピン人が南のフィリピン人(ミンダナオ先住民)を尊重することを意味します。ミンダナオは北の人々の開発のための道具ではありません。ミンダナオは、国民経済の発達の「機会」でもなければ、フィリピン政治家による「進歩」のための道具でもありません。ミンダナオの民族、歴史、文明は、北の人々による開発のための道具ではありません。もし私たちが責任を持つ文化、政策、法律が尊重しないなら、「平和への道」を辿ることはできません。

 北の国家元首によって与えられるべき正義と尊敬の欠如に失望し、イスラム教徒がイスラム独立を要求した時がありました。独立の呼びかけは、南の非イスラム・フィリピン人の心に、ある恐怖を植え付けました。恐怖した彼らは防衛の最善の方法は、攻撃だと思い込みました。そうしてイラガス(Ilagas)のテロが始まりました。それは、黒シャツ党員とバラクーダの対抗テロを生み出しました。そしてマニリ(Manili)の虐殺とブルドン(Buldon)の戦闘をもたらしました。ミンダナオの土は、その息子や娘の血で浸されました。 MNLF、そののちMILFは、今よりはるかに厳しい情況のなかで、イスラム教徒の独立の根拠を掲げました。海外からのイスラム教徒に支持されているとして、北の国家指導者によって、ミンダナオ人たちを征服するために北から軍隊が送られました。海外からイスラム支援などありませんでしたし、できませんでした。

 4)より高いより貴い水準での、平和への道

 戦争を止めることができた唯一の道は、銃や暴力や戦争が問題を解決しないどころか、さらに銃や暴力や戦争の必要を増大させるという相互の洞察でした。そのような洞察は、「平和への道」をフィリピンにもたらすのです。当初、MNLFとのパートナーシップであり、現在はMILFとのパートナーシップです。私たちが踏み外してはならない道すじです。

 銃と戦争が平和を創り出すことができるとかつて思っていましたが、現在私たちは、立憲民主主義を共有し平和に向けた合意を作り上げ、平和、交渉、合理的な議論により共通の夢を作り上げ、より高い、立派な水準において「平和への道」へと踏み出すことに同意しました。これらの協定は「平和への道」の本質に属しています。協定は誠実に合意されたものであり、誠実さは保持されています。そうでなければ、平和は危険にさらされるのです。

 交戦が終わった1997年、停戦合意の運用ガイドラインを実行する「平和のための協定」の一つが始まりました。「警察と軍事行動と管理/実際業務の活動は、GRPによってミンダナオと国中で行われ続ける。その追跡において、GRPとMILF軍隊の間の対決的な状況は、事前の調整によって避けられる。」(第II項)これは、和平交渉(MILF)を我々の正式なパートナーとする合意です。それは、一方的に解釈したり、または無視できる合意でありません

 このような項目を合意に入れた理由は、おそらく、「平和への道」が、困難であり危険に満ちていることに、双方が気づいているからです。平和にはその敵がいます。平和へのプロセスは、政権、強力な武装した一族、恥知らずな貪欲、武器取引、外国の利益、宗教的な過激主義、地方的および全国的テロリズムさえも含む、伝統的なセンターの利益によって攻撃されます。私たちのパートナー(MILF)は、平和に対するこれらの敵を知っています。北からのどんなプランナーが企てることよりも、彼らMILFは対応する力を持っています。和平交渉が始まったからといって、平和に対する敵がやっつけられたわけではありません。和平交渉は、私たちが平和へともに歩み、平和の敵に打ち勝つことが、共通の利害であることを意味します。ミンダナオにおける平和のためのパートナーはMILFです。

 それは信頼を前提とされたパートナーシップであり、そして唯一の信頼において成長できるパートナーシップです。それは大統領の言うように、何度も負担の成果を生んだパートナーシップです。:「私たちはお互いを信頼し合い、すでに偉大な進歩を遂げてきた。私たちは一緒に仕事ができることを証明した。」

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<Mamapasanoの日常生活>

 5)政府のやり方のうちに、和平合意を壊してしまう要因が存在する

 したがって、ママパサノ(Mamasapano)という緊張状態の町で2人のテロリストの存在に対処するための1997年協定規定として、我々のパートナーがなぜ参加しなかったのかは、私には不可解です。

 この文脈では、アキノ大統領の昨夜の立場は不明確でした。大統領は、テロリスト追跡に関係する部隊は、「実行する前に大統領の認可を待つことは非実際的であるので、活動の一つ一つやすべてにおいて私の了解を得ることは必ずしも要求されない」と述べました。ここで大統領は、作戦において大統領の承認は必ずしも必要はないと言っています。大統領は、「承認した」とは言っていない。承認は彼からなされたと言っているようです。どうやら、彼は作戦を補完し協同で行ったようです。 「彼らは、2人の令状を提供し、行動をとることを決めた。」 大統領は、この特定の作戦について説明されたと認めておらず、一般的な説明を受けたと言います。「これらの説明会では、PNPは、マルワン(Marwan)とウスマン(Usman)に対する継続作戦について私に説明した……」 説明会では、彼は指示を与えていた: 「私は何度もSAF、軍事の間で、適切かつ十分な、タイムリーな調整の必要性を繰り返した」。ママサパノ(Mamasapano)の不安定な情況から、「訪問者は、この領域に入ることができない」と発言したすぐその後で、大統領は「フィリピン政府軍が静かに、慎重に入って行く必要がある……。」と言うのです。しかし、大統領はまた、ミンダナオにおける平和のためのパートナーであるMILFとの調整を、なぜ工作員に指示しなかったのでしょう? また、なぜ彼の部下は、この命令を与えていないのでしょうか? それは合意の無視だったのでしょうか?  あるいは平和のパートナーに対する不信からなのでしょうか? あるいは、ミンダナオは裏庭であり、マギンダナオはとげのないバラのベッドだと考える「北」の傲慢なのでしょうか?

 北の方法ではなく南の方法で、政府が大虐殺を防ぎ、その目的を達成したことを助けた一つのグループとの調整に、誰が失敗したのでしょうか?

 なぜ「政府とMILFとの信頼」は、汚れた評判の男が率いる秘密コマンドに、置き換えられたのでしょうか? 「平和への道」は、銀三十枚のために捨てられたのでしょうか?
 政府のやり方のうちに、和平合意を壊してしまう要因が存在します。北の傲慢な態度は存在し続けています。

 6)バンサモロ基本法が脱線してはならない

 大統領の声明にある通り、バンサモロ基本法の承認に至る和平プロセスが脱線してはならないことは、私にとって明確なことです。ママパサノで殺された人たちに対する残忍なやり方が許されることはありません。私たちはこのことに対し、目を閉じることはできません。しかし、上院議員アラン・ピーター・カエターノが無意味なことをして、責任をもっぱらMILFのせいにすることはできません。向こうみずな計画とひどい作戦の実行は、ひどい結果をもたらしました。もちろん、責任は計画を立てた者にあります。

 しかし、被害が起こましたが、バンサモロ基本法を含めるべきではありません。逆にそれはフィリピン議会の知恵を通じて、より緊急な、道すじをつくるのです。ここでは、私たちは賢い議員を必要としますし、共通の惨劇をきちんと見つめる政治家が必要です。このことは、正義からするならば、フィリピンのイスラム教徒への長年の負債なのです。私たちは敬意を持って彼ら接しなければなりません。そのことに合意しています。私たちは、みずからの自尊心で持ってこの負債に接することが必要なのです。

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石炭火力発電所の環境と健康への影響 [フィリピンの政治経済状況]

 マリベレス周辺のコミュニティについての最近のニュース

 GNパワーマリベレス発電所石炭火力について

 反核バターン運動/石炭拒否マリベレス運動

 1)背景

 マリベレスは、かつてフィリピン初の経済特区であり、現在はバタアン自由貿易地域(以下FAB:the Freeport Area of Bataan)となっています。約47社の製造業企業が現在、FAB内で稼働しています。この事情から、マリベレスの町は、生計の機会をもとめて国内外からあるいは地元から移住者が集まり住む町となり、異なる文化が集う場になっています。

 バタアン自由貿易地域内に投資した投資家利益を確保する一つの条件は、電気の安定的かつ安価な供給です。電気の安定供給は地方政府の優先課題です。地方政府は、バタアン州の堅調な経済成長にとって必要なのは、安定供給と必要なだけ十分に消費できる電気であると、信じています。

 その結果、2010年にこの小さな町は、巨大な石炭火力発電所プロジェクトの拠点になりました。石炭火力発電所は、サイス・グローバル(Sithe Global)社という米系資本が所有者であり、当初は中国系デナム(Denham capital)資本も投資していましたが、後にアラヤ財閥がデナム資本の株式を買い取りました。また、発電所は、中国国家電気機器会社が設計・建設しました。

 600メガワットの石炭火力発電所プロジェクトは、ルソン地域内のどの石炭火力発電所の運転コストよりも低いコストで運転できるように計画されました。建設地域のコミュニティには、安い電気料金による電気の供給だけでなく、雇用も約束されました。

 2012年5月に稼働し、それから2年以上が経ちましたが、発電所周辺地域のコミュニティの生活はより困難になりました。健康、公害、環境破壊、また特に海の汚染により漁師や農民の所得と生計機会の損失が増大し、石炭プラントの運転に関連して重大な懸念が表面化しています。地域の家庭には安い電気は供給されていませんし、雇用も拡大していません。

 これは、驚くべきことではありません。石炭発電所の運転は、すでにフライアッシュ、ボトムアッシュを含む数百万トンもの固体廃棄物、水銀、ウラン、カドミウム、トリウム、ヒ素などが含まれる排煙脱硫スラッジ、および他の多くの重金属を排出することを証明しました。

 そして、この効果はGNパワー社石炭火力発電所の近くの地域社会によってすでに経験されていると考えられています

 影響を受けた地域社会を下記に記します。バランガイ・バセコ(Baseco)、バランガイ・シシマン(Sisiman)、バランガイ・トップサイド(Topside)、バランガイ・アラスアシン(Alas-asin)、バランガイ・ポブラシオン(Poblacion):

マリベレス石炭火力発電所 海側から見た全景 (320x137).jpg
<海側から見たm理べレス石炭火力発電所 全景>

 2)健康問題

 2014年8月に、マリベレス保健サービス協同組合(MAHESECO)、この町のパブラシオン(Poblacion)地区中心に位置する小さなコミュニティベースの医療施設は、発熱、咳と風邪を伴い下痢の治療を必要とする患者の増大に気づきました。患者のほとんどは子供でした。この事件は、下痢やインフルエンザ大流行を宣言するようにマリベレス市政府を促しました。確かな原因はいまだわかっていません。

 同様に、バランガイ・バセコ(Baseco)で、地域社会の人々は、皮膚の発疹/傷と一緒に喘息、咳、風邪や肺炎などの呼吸器疾患に悩まされました。

 バタアン自由貿易地域(以下FAB、the Freeport Area of Bataan)の労働者のコミュニティであるサチオ・パラオ(Sitio Palao)の、おそらく420以上の世帯1,900人は、もっとも影響を受けた地域社会の一つでしょう。 サチオ・パラオは、石炭火力発電所からちょうど1キロメートル離れた地域で、家々はフライアッシュと煙が出ている大煙突に対し、50メートル平行に配置されています。

 同様に、約200人いる子どもたちのうち115人は、喘息を持っています。喘息発作は汚染によって引き起こされます。子供たちは、発電所が稼働して引き起こされた重度で慢性の喘息発作に苦しんでいます。

 2014年9月5日、厚い「霧」が、午後の早い時間にサチオ・パラオの家々に降りてきました。地元の人たちは、事件に驚き、何が起こっているか目撃するため家から出ました。その地域では視界ゼロだったからです。「霧」は厚く、皮膚に粘着性を感じさせ、不快な臭いを持っていました。

 一日が過ぎ、コミュニティの住民は下痢、喘息発作と皮膚の発疹に襲われました。その結果、バセコ(Baseco)の地域保健センターは、この期間の治療が必要となった膨大な数の患者にたいし、下痢やアメーバ症や脱水のための薬不足に陥りました。この不自然な健康状態の異変は、近隣すべての自治体が、下痢やインフルエンザの流行を宣言するよう市政府に促すことになりました。

 下痢、アメーバ赤痢、嘔吐、胃の痛みは、子供と大人にとって慢性的な問題となっているのです。サチオ・パラオの人口のおよそ半分は、石炭火力発電所の運転以来、これらの疾患に悩まされ続けてきました。
 幼い子どもたちは、空気中のウィルスや細菌に弱い免疫システムと低い抵抗力のまま成長しています。
 地元の人々は、自治体のすべての水、土地や空気が汚染物質で汚染されており、病気は大気中の飛んでくる灰と炭塵/スラッジによって引き起こされると考えています。雨が降ることで空気中の炭塵粒子で酸性雨となり、雨のあと地上から立ち昇ってくる暖かい蒸気、または“alimuom”となり、地元のコミュニティの人たちにみられる胃痛と下痢を引き起こすのです。また、乾季でさえ、炭塵は皮膚アレルギーやヘイズ周囲の黒ずみを引き起こすと信じられています。

 これらの健康上の問題は、人間だけではなく、ペットから、とりわけ牛、雄鶏、鶏、豚、ヤギなどの家畜や、地域社会にいるすべての動物に現れています。2014年になって10月の時点で、10頭以上の牛が死にました。20頭以上の飼育しているヤギが、口内炎もしくは発疹を引き起こしており、食べることが難しくなった動物は弱ってしまっています。そのうちいくつかのケースは、食糧(草)によって引き起こされたと疑われています。雄鶏も影響を免れませんでした。バランガイで競合する雄鶏の幾人かのブリーダーは、彼らの雄鶏が襲われた病気の流行に文句を言われています。風邪や動物が最終的に弱体化する病気は、現在では主要な関心事となっています。時間とともにビタミンや抵抗構築薬を投与していますが、彼らも気づいているように、今日では不十分であるようです。

 3)環境問題(公害)

 発電所が運転を開始してから、発電所の近くに住む地域の人たちは、異変を感じてきたことが確認されています。雨の降る兆候が少しもないのにヘイズやスモッグで囲まれ、一日じゅう暗くなっているのです。
 雨が降ると、雨水は黒い色となり、いやな臭いがします。石炭火力発電所ができるずっと以前は、雨水をため大切に利用していました。とりわけサチオ・パラオは水が乏しく、住民は水を確保するのに苦労していました。そのため、雨水は、清掃、洗濯、入浴やさらには料理など、コミュニティの人々は自分たちの生活に利用してきました。今では、雨水はすでに汚染されており、石炭火力発電所開発者は給水システムを建設せず、放置したため、コミュニティでの生活は、悲惨なものになっています。

 住民うち幾人かは、殺虫剤の匂いを嗅ぐと片頭痛をひき起こします。住民にとって、建設に伴う爆破による大地が揺れや騒音公害(爆破音)は、日常茶飯事のことと考えられています。

 4)経済/生活への影響

 マリベレス住民にとって主要な収入源の一つは漁業です。バランガイ・バセコ(Baseco)、シシマン(Sisiman)、トップサイド(Topside)、そしてポブラシオン(poblacion)の住民は、日々の収入源を漁業に依存しています。したがって、気候変動と海の温暖化は、漁業とマリベレス町の人々に、大きな影響をもたらしています。

 石炭火力発電所の稼働は、発電所が温排水を直接海へ流すため、海水温を上昇させます。「赤潮」とその他の有毒汚染は長年にわたって、石炭発電所の運転の主要な影響の一つであると考えられています。これとは別に、漁師の日常の漁獲量は減少しています。

 もう一つの重要な異変は、マンゴー、kasuy、ココナッツ、バナナとsantolなどの果物農産物の収穫が減少していることです。アラスアシン(Alas-asin)地域のある住民によると、以前であればマンゴーの木からマンゴー果実を(竹の織りバスケット)3 杯収穫していたのに、今年初めからは、わずかマンゴー14個しか収穫できなかったと言います。

 これらのことに加えて、石炭港から150メートルを禁漁区域としたため、沿岸を中心に地方自治体の指定する漁業水域が減少してしまいました。ほんの数人の漁師しか、漁業用電動漁船を持っていません。小漁民のほとんどは、小さな漁船(bancasin)しか持っておらず、地方自治体の漁業水域まで行けません。石炭発電所の港近くの水域が禁漁水域と宣言されて以来、漁師たちはより遠く離れた、より危険な水域に出て、漁をしなければならなくなりました。

 5)科学研究/調査の必要性

 600MW GNパワー社マリベレス石炭火力発電所の運転による環境と健康への影響は、現時点では地域社会の最大の問題です。発電所近くに暮らしている地元の人々の直接の経験を考慮すると、石炭火力発電技術の進歩のにもかかわらず、そして政府とその弁護者からの口頭での保証にもかかわらず、この種の発電所は、いまだ石炭燃焼によって生成された大気汚染を防ぐことはできません。

 環境(大気、水、土壌)や、特に石炭発電所周辺の地元の人々対する石炭発電所の健康への影響を、測定し、文書化することを目的とした調査研究の実施が必要です。地元とはすなわち、バランガイ・アラスアシン(Alas-asin)、バセコ(Baseco)、パラオ(Palao)、シシマン(Sisiman)、トップサイド(Topside)、そしてパブラシオン(Poblacion)です。

 環境への具体的な関連、地元の人たちの健康への影響の総合的な理解を、研究調査によって文書化されなければなりません。

 反核バタアン運動(NFBM)と反石炭火力マリベレス運動(CFMM)は、政府によって検討されるエネルギー源が人々と環境に優しいものに変更すべきと考えていますし、再生可能エネルギー法の実現要求をさらに強化しなければなりません。そして石炭発電所の影響にかかわる政策立案者へ継続的に関与していかなくてはなりません。文書化された環境と健康の調査は、そのような活動の基盤となるでしょう。

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米比防衛力強化協力協定(AEDC)を拒否しよう! [フィリピンの政治経済状況]

KPD声明
防衛力強化協力協定(AEDC)を拒否しよう!
フィリピンにおける米軍、武装力展開の増大を正当化するものだ!

 フィリピンと中国の領土問題の対立を理由に、フィリピン政府が米国と防衛力強化協力協定(AEDC)を締結し、いったん追い出した米軍をフィリピンの基地とフィリピン国内に再び招き入れる政策に転換した。この事態に対し、フィリピンの人々は米軍が再びフィリピン基地や全土に常駐することを明確に拒否している。過去の経験から、フィリピンの人々は米国と米軍の支配がどのような被害をもたらすか、よく知っている。米軍の常駐を承認することは、軍事ばかりでなく、政治経済社会的に、米国支配を受け入れることにつながりかねない、その危険の方がはるかに大きいことをフィリピンの人々はよく知っており、危惧し、批判している。(編集部)

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<米比防衛力協力強化協定を締結し、握手するアキノ大統領とオバマ大統領>

 1)防衛力強化協力協定(AEDC)を拒否しよう!

 KPDは、批判的にとらえるすべてのフィリピン人に、国防次官ピオロレンツォ・バチーノが「80パーセント完了した」と最近、明確に述べた米国・フィリピン間の最新の安全保障条約(AEDC)を綿密に精査することを呼びかけます。バチーノ次官は偶然にも、2013年8月以来、フィリピン側でこの条約交渉を率いる地位についています。
 以前は軍事力交替配備増大協定(AIRP)として知られていた防衛強化協力協定(AEDC)は、相互防衛条約(MDT)と軍事力訪問協定(VFA)の一般規定を率直に実施するものであり、私たちはAEDCを単に受け入れてしまう前に、この新協定によって何が実際に行われようとしているか、きちんと調べる必要があります。

 2)新しい基地の配備計画

 ミンダナオ中心部でこの12年間にわたり米軍と協力的な安全保障の地域展開(CSL)を行い、新たな軍事基地の配置してきたフィリピン特殊共同作戦特殊部隊(JPOTFP)、高度に訓練され完全武装した600以上の問題を醸す部隊に訪問軍協定(VFA)は扉を開いたとするなら、AEDCは、私たちの領土に他の米軍軍事力と戦争マシーンを事前に配備する条項にしたがって、フィリピン軍の基地や他の地域に、米軍の軍事力を交替で配置する新しい形態を導入することになるでしょう。これは前方展開基地態勢、もしくはFOSとして知られているものです。

 協定のもう一つの不穏な面は、脅威への対応能力を紹介する米軍の薄っぺらな装いとして、市民への作戦や災害救助活動が使用されていることです。災害救助活動を理由に外国軍隊配備を正当化することは、本当に悪質であり、外国軍兵士は完全武装した殺人的な兵士である事実をフィリピン人に忘れさせ、鈍感にさせます。米軍兵士たちは、オロンガポ市のパウリーノ市長が信じたいような、遊びまわる民間人観光客では決してありません。

 3)相互の利益など存在しない

 数多くの同盟国を利用しながら、中国などの想定される敵に対し軍事力を突出させる領域・太平洋おいて唯一の支配権を確立したいと考える米国と、同様の課題・目的を私たちのような小さな国フィリピンが、持つことはありえません。
 一般的な用語でいうなら、フィリピン領土を米軍は侵略の「スプリングボード」として使ってきました。過去には、韓国とベトナムの敵と戦うために、さらにはイラクとアフガニスタンへの敵と戦うために、スービック基地やクラーク基地は、米軍の侵略とパワープレイのために使われてきました。
 イラク戦争は米国のためイラクの石油資源を確保する侵略戦争でしたが、米国が後ろだての反イラク「有志連合」に我が国が加わりその戦争に参戦したことで、中東におけるフィリピンとフィリピン国民の安全保障がどんなに脆弱になったか、もう忘れてしまったでしょうか? 米国側に立つことによって、わがフィリピン政府は、国家の安全保障、国民の安全を守るのではなく、むしろ危険にさらしています。

 米国のような身勝手な支配者に自分自身を合わせた場合、フィリピンとフィリピン国民は隣人と平和に共存することを期待できるでしょうか?
 この協定(AEDC)は、米国に一方的に有利で、フィリピンに不利なものです。
 国家としての私たちの独立と主権の代価として、我々の領土と海に外国軍隊が常駐するに任せる危険と費用は、いずれ役に立たなくなれば捨てられるのですからフィリピンが負うのであり、我々が負けると終わりでその時も捨てられるのです。資源がなくなれば終わりと同様に米国は我々の戦略的な配置を利用しているのであり、仮に利用できなくなってもそれを折り込んだ法的な他の対応策を米国は持っているのです。いずれにしても、米国には常にはっきりした勝利はだけがあるのです。

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マルコス独裁時代の戒厳令下での犠牲者の名誉回復と補償 [フィリピンの政治経済状況]

 もう一つの素晴らしく、感動的な経験
 エミリー・ファヤルド:アンバ・バーラ
 
7月4日報告


 アキノ政権は、1972年から1985年のフェルデナンド・マルコス独裁時代の戒厳令下での犠牲者の名誉回復と補償をはじめたらしい。ベニグノ・アキノの父ニノイ・アキノ上院議員はマルコス時代末期に暗殺されたから、アキノ家の政敵であったマルコスとマルコス時代の犯罪を告発することになったようです。フィリピン社会が公に人権侵害を告発するようになったことは前進です。ただし、人権侵害は決してマルコス時代に限られたものではありません。コーリー・アキノ時代にも、そののちの時代にも存在した。人々の運動は、いずれマルコス時代後から現在に至る人権侵害の告発にもつながっていくでしょう。(編集部)


 KPDが行っているキャンペーンの一つは、ベニグノ・アキノ政権による「2013年賠償と補償法」への対応です。この法律の目的は、1972年から1985年のフェルデナンド・マルコス独裁時代の戒厳令下での犠牲者を認め、名誉回復と補償することにあります。マルコス時代はフィリピン人に対する人権侵害の長い時期であり、ここバタアンでも多くの犠牲者の名誉回復が認められつつあります。

 すべての被害者は正当な請求者であり、補償を獲得する権利があること、そして警察や軍といた加害者が犯した違反のレベルに応じて補償されます。レベル1から10までに分類され、最高の違反が行方不明と殺人被害、そのほかは拷問、不法拘禁、強姦などです。そして法律の最も良いところは、悲劇的な人権侵害がフィリピンの歴史に書き込まれ、この国の学校で教えられることになっているところです。そのほかには、政府がフィリピン全土の戒厳令時の犠牲者のすべての名前を刻んだ博物館と彫像を建築することになった点です。

 この法は2013年2月に調印され、2年間だけ実施されます。つまらないことに、ベニグノ・アキノ政権は、請求者の正当性を検証する検証委員会メンバーを選ぶためにすでに1年を浪費してしまいました。

 今日、私たちの最大の課題は、「宣誓供述書」作りです。要件の一つは、必要な法的文書作成であり、語られた物語を正確に記録しなければなりません。被害者=原告/請求者にとって困難なことの一つは、多くの人たちが「宣誓供述書」の書き方を知らないことです。原告が死亡した場合には、被害者の家族の一人が原告/請求者になります。

 この前の6月21-22日、私たちはバタアン州モロンのすべての犠牲者と請求者に連絡をとり、宣誓供述書の「書き方相談」を行いました。バタアン地域は、バタアン原子力発電所が建設されていた時期から戒厳令下のあいだ、最も軍事化され弾圧された地域の一つでした。

 被害者の宣誓供述書について議論したり編集したりする時に、私たちは冷静になり詳細で正確なデータを取得する必要があります。被害事実に触れるとつい恐怖と激情のため冷静さを失うことになりがちです。被害者から人権侵害についてそれぞれ独自の物語を聞くたびに思うのは、私たちがフィリピンと地方の歴史を読み学んだことからはほど遠い、はあるかに深刻な物語があると、あらためて気づかされることです。私たち宣誓供述書作成ボランティアにとって、被害者の怖れの声を聴き、経験した拷問を正確に再現し記述することは、きわめて難しいことでもあります。私は被害者の話に関係していたし触れていたにもかかわらず、彼らを助けることができませんでした。

 私が編集に参加した宣誓供述書の一例は、マルコス時代にマルコスによって武装化した保安隊によって目の前で母と父を殺されるのを目にした一人の女性(当時は少女)の話でした。30年後、彼女は話をしながら泣きだしてしまいました。一瞬にして両親を殺された心の痛みが癒えないまま、事件後、家族はバラバラになり兄弟姉妹すべてが別れて暮らさなくてはならなくなりました。彼女はそのとき10歳だったそうです。彼女は家族の悲劇の記憶を持ち続けてきました。今に至るまで、そのトラウマ的経験に苦しみ続けているのです。私はフィリピンの現代史をあらためて知った思いがしています。

 被害者から聞き取りしていた私の同僚の一人が急に泣き出したことがありました。集団レイプされた被害者の話を聞いたのです。戒厳令下で多くの人権侵害があり拷問がありました。私たちは被害者のため同情/共感する場面に多々遭遇するのです。

 聞き取りのための二日間の活動の後、私たちはとても感情的になり、戒厳令下の被害者の痛みを伴う経験を自分の痛みと感じました。その時代に私はいませんでした、赤ん坊でさえありませんでした(私は1978年生まれです)。しかし私は痛みを感じましたし、検証委員会が要求する「重い語られた歴史」をはっきりとした映像の物語として、私の心のなかに再現することができました。被害者の心障体験に接した時、私は助けることはできませんでしたし、時には涙をたたえるだけで泣くこともできませんでした。

 被害者が自らの体験を語ることは、被害者にとって大変な苦痛なのです。被害者のうち幾人かは、今でも恐れ怯えています、すでに亡くなった人もいます。それでも被害者の物語が彼らの心の中から消えていかない限り語りつがれ、そして名誉は回復され補償されるでしょう。

 私たちは、語られた物語/歴史を、多くの人々や関係者に通知する責任があります。そして、私は自分自身に約束します、私の息子が成長したら、マルコス独裁時代の人権侵害がどのように悲劇的であったか語り伝えます。しかしもっと重要なことは、人権侵害は決してマルコス時代にだけのことではありません。すべての政権、例えばグロリア・マカパガル・アロヨ政権時代に、コーリー・アキノ政権の時代でさえも、同様の人権侵害がありました。そのことも同時に語って伝えます。民衆が自身の歴史を知り語り伝える、そうして歴史をつくる、それが私たちのやり方なのです。

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電力危機の解決は、原子力と石炭を除外すべきだ!NFBM [フィリピンの政治経済状況]

 反核バタアン運動(Nuclear Free Bataan Movement)から、声明が届きましたので掲載します。

――――――――――


 電力危機の解決は、原子力と石炭を除外すべきだ!

 反核バタアン運動(NFBM) プレス声明
 2014年7月30日

 連絡先:
 牧師モンシニョール、アントニオ・ドウマウアル反核バタアン運動(以下:NFBM)委員長,
    連絡先:Tel: 09178679242
 フランシスコ・ホンラ-NFBM事務局長、
    連絡先:Tel: 09178679242 09188974643

 
 この数年、フィリピンは、地熱発電で米国に次ぎ世界二位でした。しかし、再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力、バイオマス、地熱)は、約20万MWにすぎず、石炭のような炭素集約エネルギー発電にますます偏ってきており、さらにはバタアン原子力発電所(BNPP)の復活さえ気になるような情況です。

 前エネルギー省長官マーク•コファンコが再度登場してきています。
 差し迫った電力危機を言い訳として利用し、彼らは再び原子力推進の影響力を広めようとしています。2014年7月25日、バタアン州バガックで、モロンとバガックの住民を対象にした公開フォーラムが開催されました。(モロン、バガックともにバタアン半島西側の集落。モロンには1980年代、原発を建設したが、反対運動により稼働せず廃炉となった)

 先週月曜日、アキノ大統領の最近の演説で、アキノ政権が重大な決意をもって電力危機に臨むことを表明しました。
 反核バタアン運動(NFBM)として私たちはアキノ大統領に言いたいのです。特に実際の気候変動への影響を考慮し、解決策は石炭火力発電に大きく依存したアキノ政権のフィリピンエネルギー計画(PEP)を変更する以外にない、と。
 世界銀行、国際エネルギー機関(IEA)は、2012年3月、世界が壊滅的な温度上昇を回避する場合には、化石燃料の既知の埋蔵量の少なくとも80%は未開発のままにする必要があると警告しました。
 しかし、ここフィリピンで24基の新しい石炭火力発電所を建設中であり、二酸化炭素排出量は年52.8万トン増大します。さらにこの先2~5年の間に20基の石炭火力発電所建設が提案されています。福島における惨事はいまだ継続しているのであって、原子力災害がいかに壊滅的であるか、あたかも明らかにされていないかのように、アキノ大統領はその演説で、バタアン原子力発電所(BNPP)再生案には触れていません。

 これらの発電所は、未だ電気が通じていない270万人のフィリピン人のためではありません。ビジネスのためであり、鉱山開発のためであり、ここバタアンのように「経済の飛び地」(=外国企業が進出している経済特区)のためなのです。
 実際、フィリピンは、「ビジネスのためのよりオープン」です。他方、電力供給は民間企業が担っており、電気代は日本と同じくらいに高価なため、いまだ多くのフィリピン人は電気の無い暗闇に取り残されているのです。
 原子力技術は基本的にきわめて危険であり安全性が確保されないことが立証されており、今は危険な原子力技術にギャンブルする時期ではありません。それどころか、永久に原子力計画を放棄する時なのです。従って私たちは、「核のない世界こそ安全な世界である」という訴えを改めてここに表明します。

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フィリピンは最近、どのようにかわりつつあるのか? [フィリピンの政治経済状況]

 フィリピンは最近、どのように変わりつつあるのか?

 1)フィピンのジョリビー : フィリピン経済の好調が続く

 フィリピンを訪れた人なら、誰でも知っているだろう。ファーストフード「ジョリビー」。ハンバーガーショップだけれど、マクドナルドと違い、味付けはあくまで甘く、そして量も多くてフィリピン的だ。フライドチキンとライスのセット(野菜がまったくついていない)でとりあえず満腹になるから、ファーストフードではなく立派なランチ。ジョリビーは、フィリピンのローカルなニーズをしっかりとつかんだ。(ただし、食べ続けると我々のような年配者は野菜不足で胸焼けする。)

 今ではチェーン店網を確立し、国内実績をテコに海外展開を加速している。中華ファーストフーズ「永和大王」を買収し傘下に収め、中国出店を増やし、香港、ベトナム、シンガポール、米国、中東にも進出した。今では世界で2,800店舗を擁する。
 「ジョリビー」のにぎやかさは、フィリピン経済の好調さを象徴しているように見える。

 2)急増する人口、若いフィリピン
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<1人当たりのGDP 日経 7月5日>

 フィリピンは人口が1億人(2014年)で、全国民の平均年齢が23歳、東南アジアの中でも目立って若く、労働人口の増加が成長を押し上げる「人口ボーナス」時期が当面続く。私たちが付き合い始めた1986年頃は、6,000万の人口だった。

 国内総生産(GDP)の伸び率は2013年に7.2%。アジアでは飛びぬけており、IMFによると、2015年には「一人当たりGDP」が中間層の消費が急拡大するとされる3,000ドルを超える。2019年には4,700ドルを超えてインドネシアを追い抜くと予想されている。

 経済成長率は不安定ながらも高い成長を維持している。フィリピンはすでに農業国ではない。主要輸出品は電子部品、衣料・靴製品、木材加工品、化学製品、雑貨であり、最近ではITサービス産業、コールセンターも増えている。どれもフィリピンの労働力を利用した労働集約的な産業。他方、新自由主義的な政策により海外からの投資も相次いでいる。通信電話事業水道事業、高速道路・都市交通事業などに海外資本が進出している。

 比経済の原動力の1つが、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、業務の外部委託である。英語力と安い人件費に着目して、インターネット、通信事業を利用し、欧米企業が相次いで進出している。すでに世界一の規模となったコールセンターだけでなく、ウェブデザインや法律文書の作成など高付加価値化が進む。情報技術ITとBPOを合わせた業界の売上高は2013年に155億ドル(約1兆5700億円)と、5年前の2.5倍に膨らんだ。サービス輸出に絡む産業が拡大している。

 他方、相変わらずメイドや船員などとして海外で働く人が多く、国外在住のフィリピン人は1,000万人を突破し、海外からの送金は2013年には229億ドル(約2.3兆円)に達した。フィリピンの労働人口は4,100万人であり、四分の一が海外で働いていることになる。229億ドルは銀行を通じた正規の送金額であり、ローカルの金融業者を通じた送金や帰国時の持参などを含めればこの額の2倍、すなわち450億ドル程度(4.5兆円以上)に達すると言われており、その額は国家予算に相当する。

 このような経済の拡大による都市中間層の増大と海外からの送金によって、個人消費が着実に拡大してきた。個人消費はGDPの7割を占める。
 SMモールやジョリビーはこれを象徴している。
 
 3)格差が拡大するフィリピン社会

 ただし、この経済発展は格差の拡大でもある。
 経済成長が持続しているにもかかわらず、失業率は7%前後で高止まりしている。タイの0.7%、ベトナム2.0%、中国4.1%と比べて高い水準だ。加えて、フィリピンは全人口に占める0歳から14歳までの若年者人口の割合が35%と、中国19.1%、タイ20.2%などと比べても圧倒的に高く、今後も労働人口の増加に国内雇用の増加が追いつかない=失業率が高い状態が続く。

 都市部と地方の格差も拡大している。ルソン島中南部はマニラ経済圏としてますます拡大しつつあり、世界経済と直接結びついた近代的な経済活動が活発に行われている。他方、ミンダナオ、ルソン島北部、ビサヤの島嶼部などは伝統的経済関係が残存し、他方マニラ経済圏に労働力や原材料を供給する経済的後背地になりつつある。

 経済拡大に合わせフィリピン支配層は、その地位をよりは安定的なものにしているし、層も厚みを増した。もはやクーデターなどの政治的混乱を望まない関係が成立している。支配層が飼ってきた軍ではあるが、その役割も大きく変化しつつある。「軍人になることが出世の道」という時代は終わった。

 フィリピン国家はあくまでフィリピン支配階級の持ち物であり、福祉や教育、医療への支出はほとんどないと言っていい状態。経済成長に見合った「市民社会」はいまだ形成されておらず、フィリピン市民、労働者は無権利のままに置かれている。

 政府や軍の弾圧によって労働者や人民の利益を代表する全国的な組織や運動がなかなか成立しない状態が、20年以上続いてきた。新自由主義の導入によって、人々の無権利状態は進出してきた欧米日資本に都合よく利用され、再生産されている。その克服はなかなか容易ではない。もちろんそこに闘う人々もいる。(文責: 林 信治)

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レイテの台風被害への支援を! [フィリピンの政治経済状況]

 遅くなりましたが、11月のレイテ台風被害の支援要請をアップします。

―――――――――――
レイテの台風被害への支援を!

KPD声明    2013年11月8日

 親愛なる友人および団体のみなさん

 東部と中部ヴィサヤにおける台風ハイヤン(ローカル名:ヨランダ)の大暴れによる被害に対し、私たちは被害者救援作戦計画バヤンオペレーション(作戦計画人民レスキュー)を立ち上げています。

 この計画は、救援団体コンサーンと緊密に連携し活動しています。コンサーン(CONCERN: Center for Emergency Aid and Rehabilitation:緊急援助リハビリテーションセンター)とは、25年以上も災害時の緊急援助とリハビリ分野で一貫して活動してきた団体であり、1988年以来100万人以上の人々を支援してきました。

 セブ、ボホール、レイテ近くの地域の住民は、24日前の10月15日にマグニチュード7.2の地震に襲われており、台風によりダブルパンチに見舞われたことになります。

 ヴィサヤの地震によって放出されたエネルギーは、TNTの951.5キロトン、 796,214の雷が点滅し、ガソリンの3,016万ガロン、またはインターネットニュースサイトRapplerによるとダイナマイトの1.90億スティックに相当します。

 大地震の後、ほぼ2900の余震があり、そのうち77は人々が感じる地震でした。感じられた。歴史的遺産である教会群を含む、住宅、建築物の構造的完全性は、地震によってすでに深刻な危険にさらされており、結果として多くの陥没穴が現れています。そのあとを台風と洪水が襲ったのです。

 11月8日に、スーパー台風ハイヤンは毎時235キロ(毎時147マイル)でハウリング風をもたらす東部沿岸地域から吹いてきて、波が15メートルに達すると報告され、いくつかの場所では、400ミリメートルの雨に襲われました。この初期被害による死者は1万人を超えると予想されており、荒廃のなか生き残っている人たちには、少し食品も、電気やきれいな水もありません。清潔な服や生存のために必要な他の食べものが不足しています。

 作戦計画サギップ・バヤンを直ちに立ち上げるために、台風被災者、特に北部セブとレイテ島の3つの町にいる約5000の家族を対象とし、食品と非食品の支援の両方を集中することを期待し、私たちはあなた方のようなすべての友人や同盟団体に支援の訴えを送っています。

 危機に対応する私たちの力量は、被害者のための必要な下記の支援を、いかに早く集中できるかにかかっています。生存者が生き残るための25ドルパッケージは、準備されたパッケージの配布が始まっています。このパッケージへの支援が必要なのです。

●3日間、 6人家族のための標準食品救済パッケージ:以下の項目からなる約1000フィリピン・ペソ(USD 25)標準食品救済パッケージ
米6キロ
1/2キロの洗浄砂糖
1/2キロの干し魚
1/2キロの Mongo豆
1/2キロのヨウ素添加塩
イワシの缶詰3缶

●非食品:蚊帳、寝マット、毛布、懐中電灯やパラフィン・ランプ、ゴム長靴、飲料水、古着、など

●薬:パラセタモール錠剤とシロップ、抗生物質、抗アレルギー、咳や風邪、浄水タブレット、などのアルコール、滅菌ガーゼ、絆創膏、ベタジン消毒液などの応急処置用の医薬品

●緊急オペレーションセンターの使用のための機器:無線トランシーバ、倉庫、車両、ファックス機、コピー機、携帯電話、発電機など

 また、このアドレスに現物の寄付を送ることができます。
 マニラ: # 22ドミンゴ?ゲバラセントバランガイ、ハイウエイヒルズ、マンダルヨン市1550  女性団体Kaisa ka(カイサカ)宛て

 皆さんは、女性団体カイサカの口座を通じて、寄付を送ることができます。
口座名: Pagkakaisa ng Kababaihan para sa Kalayaan Inc.(カイサカ)
口座番号: 106930026351
SWIFTコード: BDO - BNORPHMM
ルーティング番号: 021-000089
銀行名:BDO -マンダルヨンリベルタ支店
銀行支店の住所:G / Fシエラハイツ場所ドミンゴ?ゲバラコーナーシエラマドレ通り、マンダルヨン市、フィリピン、 1550

 台風被害者を助けるため、私たちを支援ください。詳細については、当社のオフィス電話番号717‐3262までお電話ください。
 または、 # 22 - Aリベルタ通り、バランガイ、ハイウエイヒルズ、マンダルヨン市を訪ねていただき、フィデル・ファバビヤーやマリー・グスマンに接触してください。

 私たちは、すべてのスポンサー/ドナーを認識し、同じに関する簡潔なレポートを提供しなければなりません。あなた方のご支援に予めお礼申し上げます。

 謹んで、

フィデル・ファバビヤー(Fidel Fababier)
ナショナルコーディネーター、作戦計画サギップ・バヤン
モバイルフォン:+639461115073
e-mail:kpdpilipinas@gmail.com

支援団体:KPD
# 22 -Aドミンゴ?ゲバラストリート、 バランガイ、ハイウエイヒルズ、マンダルヨン市1550、フィリピン
テレファックス: (632)717 3262
Eメール: kpdpilipinas@gmail.com
ウェブサイト: www.kpdpilipinas.com

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反核運動のリーダーたちが、KPDバタアンのリーダーとして [フィリピンの政治経済状況]

バタアン労働組合連合のエミリーから、反核バタアン運動がバタアン原発を停止させたあと、さらに発展して環境問題に取り組んでいる、さらには様々な社会的課題にも取り組むようになったという報告が寄せられています。

 フィリピンの人びとの運動は、フィリピン政府や軍による政治的暗殺や、厳しい弾圧で長い間圧殺されてきました。軍による労働組合リーダー、人権活動家、ジャーナリスト、弁護士など多数の人々が暗殺されてきました。他方、1990年代はじめにフィリピン共産党が分裂し対立し、その結果で左翼運動全体が分裂・分断してしまい、一方で左翼運動に対する人々の信頼は失われ、他方で人々の自主的な運動、政治的活動がなかなか発展することができませんでした。この影響はいまだに残存しています。

 そのようななか、眼の前の課題に対し、徐々に団結し活動することができるようになりつつあるバタアン地方の一例が、報告されています。
---------
 反核運動のリーダーたちが、KPDバタアンのリーダーとして戻ってきました

 2009年、反核バタアン運動のリーダーたちが戻ってきました。もともとは、統一したバタアン原発反対運動を基礎として活動しはじめ、今では、地方全体のすべての環境問題にかかわる運動連携のリーダーとして登場してきています。反原発運動から、石炭火力発電所反対運動として発展してきています。さらにはこの先起こるであろう様々な問題に対しても同じように運動は組織されるでしょう。

 環境問題での運動を基礎にしながら、リーダーたち(その多くは中流階級です、例えば聖職者、弁護士、先生、基本的なセクター ― 労働者、農民、女性その他)が、わが国の政治的経済的状況に対して政治的に目覚め、行動しはじめています。バタアンにおける政治的組織の復活が必要であることも理解されはじめており、KPDバタアンがその担い手、受け皿になっています。
 振り返るなら、2000年前半に、KPDバタアンは設立されました。バタアン労働組合連合であるアンバ・バーラもこれに属していましたし、農民漁民や女性、都市貧民の組織も構成団体でした。しかし、アロヨ政権の時代には、政治団体に対する厳しい弾圧やリーダーへの政治的殺害などが行われました。ここバタアンでも女性運動のリーダーであるキャシー・アルカンタラさんが暗殺されました。その結果、バタアンKPDは徐々にその活動する場を奪われ、組織も弱くなっていきました。

 今日では、ダンテ・イラヤ弁護士が、バタアンKPDの議長として名乗り、私たちの政治団体のために彼の自由時間を費やしてくれています。幸いにも2人の聖職者が、 反核バタアン運動に参加し代表的なメンバーとして名を連ね、反原発運動だけでなくこの地方の環境問題のために、最高の貢献をしてくれています。
 しかし、議会に提出されている中絶法案(Reproductive Health法案)について、聖職者・教会と私たちの考えは、まったく同じではありません。この問題のもたらす混乱を恐れ、会議でまだ取り上げられていません。女性団体カイサカ・バタアンは、この議案に賛成していますが、KPDバタアンではまだ論議していません。

 KPDバタアンは10名の代表を、11月25,26,27日の第3回カイサカ総会と、11月28,29,30日のKPD総会に、送ります。
 来年始めまでには、KPDバタアンのバタアン地方変革プログラム(Provincial Chapter of KPD)ができあがるだろうと期待しています。少しずつ運動はひろがっています。デリク・カベさんを覚えていますでしょうか、環境のための連帯行動のメンバーとして働いています。以前は教員組合全国オルガナイザーをしていました。彼女は今KPDバタアンのメンバーとして一緒に働いています。私もうれしいことにその一員として活動しています。

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バタアン石炭火力発電所の運転を、止めろ! [フィリピンの政治経済状況]

 プレス・リリース
 2012年7月29日
 バタアン石炭火力発電所の運転を、止めろ!

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 フィリピン、ルソン島、バタアン州最南端の町マリヴェレスの居住者や「気候の正義のための運動家」たちは、7月29日、GN Power社の600MWマリヴェレス石炭火力発電所の試運転開始に抗議し、河川抗議キャラバン行動を行いました。(発電所建設によって土砂を流され、生活の場である川を破壊された川沿いにある集落をたどるキャラバン行動です。)

 反核バタアン運動コーディネーターのエミリー・ファヤルドによると、バタアン州の人びとは、かつてバタアン原発を拒絶したように、石炭火力発電所を拒絶すべきです。原子力エネルギーは人類に最も致命的なエネルギー源ですが、他方、石炭エネルギーは、汚染物質をまき散らし、マリヴェレス町どころかバタアン州全体の住民の健康に有害な影響をもたらします。(※フィリピンの公害物質排出基準が先進国より緩いことを利用し、投資・建設する先進国資本は、コストを削減するため脱硫措置などを備えていない石炭火力発電所を建設し運転してきました。石炭火力発電所が汚染物質をまき散らすことは、フィリピン人にとっては体験を経て形成された「常識」なのです。)

 同様に、石炭発電所は他の化石燃料よりも多くの二酸化炭素を排出すると、「気候の正義のためのフィリピン運動」は、説明しました。大気中に放出される二酸化炭素排出量が多すぎると、地球温暖化の主な原因となります。
 「マリヴェレス石炭火力発電所反対運動連合」としては、エネルギー資源としての石炭は、危険で、汚くて、長い目で見れば環境的に破壊的であるととらえています。
 かつて石炭灰は、水銀、ヒ素、鉛などの有毒ガスや化学物質を放出し、石炭火力発電所の近くに住んでいる人々のためのがんのリスクの増加に関連しました。

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 「石炭火力発電所の近くの漁村は必ず影響を受けるでしょう、というのは、石炭火力発電所は冷却用に1分間225,000ガロンの水を必要としますし、飲料水と地下水は発電所が発する有毒化学物質によって汚染されるでしょう。発電所は住民の給水への影響について説明していません。」と、反マリヴェレス石炭火力発電所の呼びかけ人の一人であるダンテ・ラフォルテーサは指摘しました。
 マリヴェレス石炭火力発電所は、マリヴェレス町にとって必要な水を供給するダムの真後ろに建設されています。
 「住民の生活と福祉にとって危険な『おもちゃ』を持ち込まないように! 私たちにとって、石炭発電所の運転よりは、再生可能な手段を追求するほうがずっとマシです。」と、ラフォルテーサはつけ加えました。

 抗議キャラバンはシシマン・バランガイ(Barangay Sisiman)から出発し、午後1時に石炭火力発電所の煙突を見渡す場所に至りました。抗議キャラバンは町庁舎ホールに向かい、庁舎前でショートプログラムを持ちました。午後6時、2012年12月までに本格運転となる石炭発電所を止めるために戦う住民の意志の象徴として、竹の松明に火を灯し行進しました。

 担当者:
 エミリー・ファヤルド:反核バタアン運動コーディネーター、 09321532511
 ダンテ・ラフォルテーサ:マリベレス石炭火力発電所反対呼びかけ人 – 09489843020
 ケヴィン・ユ:運動家、気候正義のためのフィリピンの運動-09175213356

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バタアン石炭火力発電所に反対! [フィリピンの政治経済状況]

石炭火力発電所に反対!

 5月27日、反石炭火力キャンペーン

 エミリ―から、レポートが送られてきました。
 フィリピンでは、バタアン原発はすでに停止しており、反核バタアン運動(NFBM)は、マリベレス石炭火力発電所建設に反対する運動を取り組んでいます。
 発電所は、マニラ湾を隔ててマニラの反対側(西側)のバタアン半島先端です。ちょうど、第二次世界大戦中の要塞であったコレヒドール島がくっきり見えるところに建設中です。
 ―――――――――――――

 こんにちは!
 今回は、マリベレス石炭火力発電所建設・稼働反対運動について報告します。

 1)現在の闘い

 バタアン原発反対闘争の後、反核バタアン運動(Nuclear Free Bataan Movement:以下NFBM)は、バタアンでは反原発運動ではなく、石炭火力発電所建設反対のキャンペーンを行ってきました。しかし、なかなか困難な情況にあります。この地域における最初の石炭火力発電所であるにもかかわらず、そして人々に情報を広めていくのが最重要の課題であるにもかかわらず、バタアンの人びとはこのプロジェクトを知りません。

 GNパワーマリベレス石炭火力発電所を推し進めているのは、米国と中国です。このプロジェクトは、市民と選挙で承認される必要があル問題です。米国GN電力マリベレス石炭火力発電所が投資し、中国国家電力設備会社、およびNEPCが契約を請け負い建設しています。
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<バタアン石炭火力発電所>

 発電所の位置は、フィリピン・ルソン島マニラ湾向かいのバタアン半島の先端、バタアン州マリベレス町アシンのシチオ・ヂギニン・バランガイです(バランガイとは、フィリピンにおける集落の意味)。マリベレスの街に降りて行くジグザグ道路の手前です。
 粉々にされた「きれいな」石炭を使用する発電所と宣伝しています。二基ありますが、ともに出力は600メガワット、計1200メガワット。
 上の写真はシシマン・バランガイから、1㎞以下の距離。
 
 2)発電所建設で環境破壊! 住民生活も破壊
 私たちはシチオ・ヂンギニン(Sitio Dinginin:発電所そばの住民コミュニティ)を訪れました。約100家族が住んでおり、主に零細な漁業で暮らしてきました。発電所の建設のせいで、すなわち、土地の発破や掘削による騒音、土や石の流出、発電所の建設廃棄物によって、魚は地域からいなくなってしまいました。サンゴは破壊されています。漁民はもはや魚を孵化させることができなくなりました。漁師が網をあげると魚の代わりに鉄の棒がかかります。というのは鉄の棒を海に捨てるからなのです。今では漁師の妻たちは、市場で魚を買い求めなければならなくなりました。

 発電所建設のさらなるダメージは、工事でできた泥が、地区の川に捨てられていることです。大きな嵐や豪雨がくれば、泥は川へと流れるでしょう。住民たちが知っていることは、川は埋まってしまい、もう川ではなくなりつつあります。悲しいことに、彼らの小さなボートは通れなくなりました。
120711 泥に埋まったヂンギニン集落の川 (320x240).jpg
<泥に埋まったヂンギニン集落の川>

 GN電源管理会社のとった行動は、漁師たちに、「泥」を移動するための費用に当たる「給与」を与えたことと、土嚢に泥を詰めて置いたことでした。彼らは、一部の泥を除去しはしましたが、もはや川は以前の川ではありません。

 クリスチャンが川に立っている写真を見てください、彼の立っている下には数千の土嚢が積まれています。
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 発電所建設プロジェクトは80%完了しました。悲しいことに、この地域に暮らす人々は、発電所の稼働によってどのような悪影響があるかまったく知らされていません。バタアン州の80%の人びとは、石炭火力発電所とは何か? コミュニティへの影響は何か? 即ち、環境に対し、健康に対し、そしてこの地域の総人口の34%を占める漁民の仕事に対し、どのような影響があるか? 知りません。

 当プロジェクトは、「パブリックアクセプタンスのための公聴会」を開いていませんので、バタアンの人々は、公的には知る機会がないのです。推進側は、国民に周知していません。

 下記の写真に、二つの小さな男の子の背景に発電所の煙突が見えます。場所はシチオ・ヂンギニンです。私が写真を撮ろうとすると、二人の少年は喜んだ表情を見せてくれました。彼らは健康な子供です。しかし、発電所のすぐそばに住んでいるので、煙突からの有毒で危険飛灰と煙の曝露のため、近い将来、健康を害するのではないかと心配しています。
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<ヂンギニンの子供たち、後ろに発電所の煙突が見える>

 3)私たちはどのように闘うのか?
 発電所はほぼ2012年には稼働する予定です。私たちの反石炭火力発電所運動は、すでに、緊急の事態に直面しています。

 政府から地方政府、バランガイ職員に至るまで、当局は石炭火力発電プロジェクトにとても協力的です。現大統領であるノイノイ・アキノの事務所、エネルギー省アルメンドラス長官は、特に協力的です。というのは、エネルギー省のエネルギープログラムは、フィリピン各地域に多くの石炭火力発電所を建設することから成っているからです。
 私たちは、ここマリベレスで大きな反対側を構築する必要があります。私たちが、異なるいくつもの組織からなるフォーラムとして反対運動を維持するために心がけていることは、いろんな組織や連合体、その他の団体の特に役員たちに、彼らの構成メンバーに問題を共有してもらうことです。それが実現するなら、情報は広がり、運動の広がりにとって大きな助けとなるでしょう。

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<海から見た石炭火力発電所> 

 最新の動きとして、それぞれ異なる教会に働きかけ、信者の人たちに、7月27日を石炭火力発電所のために被害を受けている人々のために祈る日として、「統一の祈り」をささげよう!と提案しています。 

 二次的闘争として、石炭火力発電所の会社に対する訴訟を提起しようとしています。もちろん、私たちにとって一次的には大衆運動の構築です、法廷闘争は二次的闘争です。「環境保護のための法律」があるのでので、これを利用することは戦線を広げ闘争を長引かせるうえで私たちにとって大きな助けになるでしょう。

 7月29日には、発電所はテスト運転を開始しますが、同時にこの日に、私たちは反マリベレス石炭火力発電所を訴える大衆行動を予定しています。教会での祈り、大規模なキャンペーンとなることを願っています。

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ギブン・グレイス・セバニコに正義を! [フィリピンの政治経済状況]

 ギブン・グレイス・セバニコに正義を!
 暴力行為によるすべての女性犠牲者に正義を!

 緊急リリース
 2011年10月14日
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 カイサカは、フィリピン・ロスバノス大学学生、ギブン・グレイス・セバニコ(Given Grace Cebanico)さんに対するレイプと殺害を非難します。ギブン・グレイス・セバニコさんは、2011年10月11日火曜日の朝にフィリピン・ロスバノス大学キャンパスの高水位運河に捨てられましたが、その前に縛られ、テープで固定され、レイプされそして撃ち殺されていました。ギブンさんは、3週間弱前に19回目の誕生日を迎えたばかりでした。

 ギブンさんの残忍な殺害の動機はまだ公式に認定されていませんでしたが、the Scene of Crime Operatives (SOCO)当局は予備証拠から即時の実行を示していると報告しています。

 様式化され計算された性的暴行の性質は、フィリピン女性が当面しているジェンダー問題におけるさまざまな要因の絡まった脆弱さを浮かびあがらせます。フィリピンでは、女性に対する暴力は、どこでもいつでもどんな女性にも起こり得るのです。特に経済的に疎外されている人たちには余計そのような傾向があります。
 
 カイサカは、女性に対する暴力行為を犯す人々が免責され続けている現状を非難します、そしてギブンさんと彼女の家族のために正義を要求します。実際のところ、カイサカは、国の労働力輸出政策によってフィリピン人の人間性が奪われ商品に変換されており、そのことがフィリピン女性に対する暴力を広範囲に広める風潮を準備していると指摘します。

 ギブンさんは、名門大学のコンピューターサイエンスを学ぶ、明るい優秀な学生でありましたが、その命は痛々しいほど短く切り取られました。 彼女の死は悲劇です、激しい憤りを禁じえません。私たちは、女性がさらされるすべての形式の暴力に対する妥協しない立場をとります、そのために、裁判制度および国家は、すべてのフィリピン女性が十分な支持を要望できる手段としてみなさなければなりません。

 今こそ、ギブンさんに正義を!
 女性に対する暴力行為を無視する風潮を終わりにしよう!
 今こそ、女性の権利を全面的に保護しよう!
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米比相互防衛条約を廃止しよう! [フィリピンの政治経済状況]

 1992年、フィリピンから米軍基地を撤去させました。9月16日はその20周年でした。
 クラーク空軍基地、スービック海軍基地を撤去させ、現在ではクラーク、スービックとも特別経済区となり、多くの外国資本企業が進出し操業しています。
 しかし、米比軍相互訪問協定(VFA)および米比相互防衛条約(MDT)を根拠に、現在でも米軍が自由にフィリピン国内に駐留し、軍事行動を行っています。
 フィリピンでは、米比軍相互訪問協定(VFA)、米比相互防衛条約(MDT)の廃棄を求め、平和団体が活動しています。
 「Scrap VFA運動」の声明を以下に紹介します。


 米比相互防衛条約を廃止しよう!
 米比軍相互訪問協定を破棄しよう!
 
November 24, 2011

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 スービック海軍基地撤去19周年のこの日、VFA(米比軍相互訪問協定:Visiting Forces Agreement)廃棄のため共闘する40以上の組織の連合は、VFA廃棄だけでなく1951年の米比相互防衛条約(以下:MDT)も終わらせるという要求を強調し、「ジョギングによる抗議運動」をはじめました。

 「私たちは1992年に米軍基地を最終的に閉鎖することに成功し、外国基地と軍隊を領域から締め出す条項を憲法に入れました。しかし、米軍はこの10年間ここフィリピンに居座りました。米国政府とフィリピン政府は、米比相互防衛条約がその根拠であると主張しています。 したがって、私たちは米比相互防衛条約を廃止しなければなりません。」
 これは、KPD事務局長であり、スクラップVFA運動のスポークスマン1人、チェスター・アンパロの声明です。
 この連合のメンバーたちは、基地を撤去させた「素晴らしき12人の上院議員」を顕彰することで、基地条約の拒否から20周年であったこの前の9月16日を祝いました。
 「基地条約を拒絶し、1992年に最終的に米軍基地を閉じたことは、我が国の歴史の重大なエピソードでした。 私たちは、フィリピンの主権を主張し実現できることを証明しました。この時だけは、私たちの領土で米軍が訓練を行うことにノーと言いました。ベトナムで村ごと虐殺し、1990‐1991年のイラクではほとんどすべてを破壊した殺害機械の開発、戦争資材の備蓄にも、私たちはノーと言いました。」と、アンパロはさらに説明しました。

 アンパロによると、「米軍隊の活動すべき次の舞台はアジア太平洋である」とヒラリー・クリントン米国務長官がすでに発表しており、したがってこの問題は政府からの緊急の積極的な返答を必要としています。 KPDと「スクラップVFA!運動」はフィリピンが、米国の戦いの駒にもなっているだけでなく、本格的な戦争の土俵になることを、警告します。

 「ジョギング抗議運動」は、ラジャ・スライマン公園から米国大使館の前まで行います。グループは垂れ幕を広げ、「米軍は出ていけ! 米比相互防衛条約を廃棄しよう! VFAを終わらせよう!」と訴えます。

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2011フィリピンピースサイクルの声明 [フィリピンの政治経済状況]

2011フィリピンピースサイクルに際して、3月4日記者会見を開催し、方針を明らかにしました。
Central声明を下記に紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーー
 人々の安全と平和なアジアのために、肩を組もう!
 
2011年3月4日、声明


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<3月4日、マニラ、2011フィリピンピースサイクルの記者会見で>

 世界経済は、荒れ狂う経済恐慌への対応に苦慮しているにもかかわらず、他方IMFは、社会的保護、社会サービス、労働者の保護と利益から手を抜いて、代わりに緊縮財政と増税という解決を課しています。

 この経済恐慌で、米国は最も被害を受けた国の一つです。 しかし、おもな対応、支出は、ウォールストリートを救うためのものでしたが、そのことは市場をより一層締めつけ狭くし、回復の低迷、大量解雇をもたらしました。

 自身の経済的利益を確実にするために、米国は軍事的支配を統合することを望んでいます。施設や準備協定、アクセス協定に基づく「既存の、使い古された」ネットワークを介して、アジア、中東、ヨーロッパ、およびアフリカにおける戦略的なルートや資源をめぐるその軍事的支配を統合したがっているのです。 そのことは、アジアの国々で以下のようなウェブで指摘されるような結果をもたらしました。

 ・ この地域で、ASEAN(東南アジア諸国連合)を利用し、安全と経済政策を課すこと

 ・ 領土紛争に一歩足を踏み入れることになった、いわゆるスプラトリー、パラセル、さらには中国に向けられた挑発の開始としての尖閣/Diaoyu。

そして
 ・ 軍隊がこの地域に展開する呼び水となったアフガニスタンにおける対立、タイとマレーシアのケース

 戦争挑発の米国に、信頼をよせて「国際的な平和調停者」または「グローバルな警察官」の役割を期待することはできません! 米国にこんなことを期待するのは、この領域でさらなる緊張と不安定を激化させるだけでしょう。

 これまでの米国とフィリピンとの関係、あるいは日本とフィリピンとの関係のような、長い間この領域で考えられてきた「ジュニア・パートナー」の関係は、不公正で不平等なパートナーシップであり、むしろ人民と人民の連帯という本当の関係にとって代わるべきだと私たちはピースサイクルは、確信しております。

 わたしたちは、真の平和と人々の安全のための権利擁護を強化するために一緒に働く必要があります。
 今年のイベントは、この趣旨を反映したものとなるでしょう。日本とフィリピンの支持者・参加者らは、ともに活動し、サイクリングし、経験を交換するでしょう。
 一緒に、肩を組もう。

 主催者:
 KPD(Kilusan para sa Pambansang Demokrasya)
 三多摩ピースサイクルネットワーク日本
          #22-A リベルタード通りバランガイ、ハイウエイ聖丘、マンダルーヨング市、フィリピン
 Tel/Fax: (+632)7173262
 E-mail: peacecycle.pilipinas@gmail.com



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アキノ大統領100日間 [フィリピンの政治経済状況]

 アキノ政権が発足して100日以上がたちました。
 当選後もアキノの人気は衰えず、支持率は70%に達しています。

 女性団体カイサカによる「アキノ政権100日」の評価が発表されています。
 アキノ政権への人気が高いことを踏まえての声明になっているように見えます。

 アキノ大統領の立場や政策はよりリベラルであって、アロヨ前政権とははっきり異なるとしながら、その多くは「言葉」にとどまっており、すなわちレトリックに終わっていると表現しています。

―――――――――――――――――
 カイサカのみるアキノ大統領100日間

記者声明 2010年10月8日、  カイサカ代表:ヴァージニア・スアレス・ピンラック弁護士

 アキノ大統領の確固たる姿勢は、女性のために輝かしい日々をもたらすと同時に、他の問題ではその立場と具体的な行動を明確にしなければなりません

 わたしたちカイサカは、在職したアキノ大統領の100日を経て、女性、特に母親にとって家族計画における大統領の立場は、愛情のこもったものであると評価しています。 アキノ大統領はまだ施政方針を明らかにしなければならなりませんが、しかしながら、女性と他の人びとに関する本当に行動を始めるべき問題において、彼の政府は、アロヨ政府とは本質的に異なっています。

 もし大統領が撤回しなければ政府に対する不安定化キャンペーンを引き立たせるというカソリック司教の警告にもかかわらず、異なった家族計画法へのアクセスと人口情報の提供を国家の義務において実施するという就任100日を経た確固たるアキノ大統領の立場は、わたしたちを勇気づけます。フィリピンで最も大きい教会のリーダーからの「強固な反対」に直面すると、多くの政治的指導者たちは後ろへ引いてしまうのです。

 しかしアキノ大統領は、いくつかの切迫した課題に関して、女性団体や他の取り残されたセクターからの多くの要求の一覧を、実行しなければなりません。

 例えば、外国軍隊の存在が、国家主権を損ない、女性とそのコミュニティ軍隊による性的暴力にさらし傷つけやすい状態の置いていることを、カイサカや他の団体・組織が何年にもわたって反対し続けていますが、大統領はこの外国軍隊駐留問題には、沈黙しています。米国軍隊が引き続き駐留する根拠となっている米比軍訪問協定(VFA)について、あるいは女性や市民に対する人権侵害についてのいくつかの報告がなされているにもかかわらず、大統領は沈黙し続けています。

 米国当局のリストによれば、第二段階にあるというフィリピンにおける人身売買の重大さにもかかわらず、大統領はインタビューを通じて声明を配布しただけで、それ以上何もしておりません。

 アキノ大統領は、ネオリベラル経済に対する規制・賦課についてどのような宣告も発していませんし、そればかりか前任者の官民パートナーシップ方式から離脱していないように思わせられます。

 アキノ大統領は、契約・派遣労働を抑えるどんな方法も採っていません。労働の契約化は、仕事から多くの女性を引き離し、より搾取的な仕事を受け入れさせて、さらには女性を傷つける人身売買に追い込みます。

 大統領は、所有するルイシタ農園(Hacienda Luisita)に対して、いまだ明確な立場を取っていません土地と農地改革の課題を明確にすべき問題です。

 大統領は、北部トライアングルにおける不法占拠者に対する狂ったような取り壊しをやめさせましたが、取り壊しの3年間モラトリアム状態にある都市貧民の要求に対しいまだ行動していませんし、都市土地開発計画を放棄していません。貧民のための包括的な住宅政策についても何らの行動を開始していません。

 健康と教育問題を明確に重視するアキノ大統領の予算再編成は勇気づけられるものではありますが、これらの問題に関する彼の総合計画は、最も実際的で実現可能なものへと変更されなければなりません。

 アキノ大統領が、国家財政の状況を改善しペソの地位を著しく安定させたと主張している一方で、世の母親たちは、家族の生活必需品に見合うためにペソを使うのがいかに難しいかという問題に直面しています。

 レトリックは長い期間にわたっては効かないことを、私たちカイサカはあなたと政府に思い至らせたいのです。

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バタアン原発計画がいまでも生きているのは、問題だ! [フィリピンの政治経済状況]

 マニラの西、バタアン半島モロンに、マルコス政権時代に計画され中止されたバタアン原発の再開が、アロヨ政権末期から浮上してきました。
 バタアン州を中心に、反核バタアン運動ネット(NFBM Network )が組織されています。
 アキノ新大統領に、原発計画再開を、中止するよう申入れしているようです。
 7月22日の記者会見での声明が送られてきましたので紹介します。
――――――――――
 記者声明
 2010年7月22日
 NFBM議長:モンシニョール・トニー・ドウマウアル  NFBM共同議長:ダンテ・イラヤ弁護士

 反バタアン原発連合は、NAPOCORの原発推進姿勢を質す!
 バタアン原発計画がいまでも生きているのは、問題だ!
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 「フィリピン・エネルギー省とナポコールは、問題の多い核武装という可能性よりむしろ、再生可能な、持続可能な資源として、電力問題の解決を検討しているはずです」

 反バタアン原発連合、反核バタアン運動ネット(NFBM-Net)によると、「ナショナル・パワー社が原子力の活用可能性のため少数グループのフィリピン人を訓練している」というニュースを伝えています。
 当グループはまた、悪化している電力危機を治すために、現政権がバタアン原発(BNPP)を再開しようとしているとして、エネルギー省レネ・アルメンドラス長官の声明を批判しました。

 フィリピン政府は、バタアン原発の再開を検討すべきでさえありません。
 反核バタアン運動ネットは、そのように考えます。
 バタアン原発は、国際原子力機関(IAEA) プロトコルに違反する断層線の近くに建設されておりあり、ナチブ(Natib)休火山が近くに存在しているのです。非常に危険です。
 IAEAは、世界中の原子力発電所の運転状態をモニターし、認可する国際機関であり、国連に付属しています。

 私たち反核バタアン運動ネットは、核エネルギーを検討することは、化石燃料依存を輸入ウランに変更すること二他ならず、したがって、核エネルギーの需要を増大させ、ウラン価格が急騰させると予想され、代替エネルギーの危機として、考慮しなければなりません。そのような点もエネルギー省に忠告しました。
 例えば、2005年5月から2008年までに、ウラン価格は26ドル/lbから138ドル/lbまで400%以上、高騰しました。

 モンシニョール・トニー・ドウマウアルNFBMネット議長によると、原子力エネルギーには、多くの問題点があります。
 例えば最低30トンの放射性廃棄物が出ますが、この処理は大きな問題です。また、莫大な建設、維持運転費用、さらには寿命の来た時の廃炉費用に比べて、発電所の寿命は限られていることです。
 「発電所がいったん稼働すると、市民は癌や脳障害、発育障害、および死をも引き起こすのが明らかな放射能よって不断の危険に晒されることになります」と、ドウマウアル議長は付け加えました。

 NFBM 共同議長であるダンテ・イラヤ弁護士によると、エネルギー省のデータサイトには、7400MWの風力発電・水力発電、1200MW の地熱発電、太陽光発電のような多くの未開発の代替エネルギーが紹介されています。

「企業が注目する、より大きな利益を稼ぐ手段として、しかしそのため私たちの同胞は結局多大な犠牲を払うであろう、そのようなバタアン原発の再開、または国家核計画の復活の圧力に負けないように、私たちは、アキノ新大統領に対して、促していかなければならない。」と主張し、ドウマウアル議長は話を終えました。

連絡先
 Nuclear Free Bataan Movement-Network (NFBM-Net)
 National Secretariat at 22-A Libertad St., Brgy Highway Hills, Mandaluyong City, Philippines
 NFBM議長:モンシニョール・トニー・ドウマウアル(0917 867 9242)
 NFBM共同議長:ダンテ・イラヤ弁護士(0917 523 2683)

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フィリピン大統領選の結果について(KPD) [フィリピンの政治経済状況]

 カサナグの会が交流しているフィリピンの団体の一つであるKPD(民族民主運動)から、5月の大統領選挙の結果について声明が送られてきました。アキノ新大統領に対してどのように評価しているか、その一端がうかがえるかと思います。
 今回の選挙でアキノ新大統領やエストラ―ダ元大統領へ投票が多く集まったのは事実であり、イメージ選挙でつくられた「幻想」に、国民の多くが囚われ期待を抱いている現状は、たしかに広範に存在しているようです。フィリピン国民は、「幻想」から自由ではありません。こんな状況のなかで、アキノ新政権にどのように対処していくか、批判していくか、が当面の課題の一つのようです。

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KPD (民族民主運動)
プレスステートメント                       2010年5月16日
アキノの選挙についてのKPDの見解

主権者の意思を示せ!


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   <ピート・ピンラックKPD議長>

 国民が新しい大統領を歓迎しているこの時、KPD(民族民主運動)は、真に国民の主権を代表する変革を新政権に推進させ続けるよう、人々に呼びかけます。

 KPDは、有権者の高い投票率とノイノイ・アキノ新大統領と元大統領エストラーダ候補に投じられた投票の大きな部分は、おもにアロヨ政権に対する拒絶反応の表現であり、アロヨ政権からの虐待と処罰を取り除く叫びであると、認識しています。

 人々は今、アキノ新大統領の掲げた「良い公約」に期待しています。新政権が暮らしを改善することを期待しています。政策によってより多くの安定した就業機会がもたらされ、健康医療サービスと教育がより改善され、貧しい人々に手頃な価格の住宅が供給され、余分な裁判の執行が根絶され、すなわち生活全般が改善されることを望んでいるのです。

 しかしアキノ新大統領は、いずれ古い名前に支配された政府へと導くでありましょう。アキノ新政権といえども、マルコスやアロヨと同じように、これまで蓄積してきた権力と封建的利益誘導型政治が継続する政治的王朝にほかなりません。彼らは、権力や影響力を使い、違法な取引を通じて富をたくわえた政治家たちなのです。国益を害しても、自身のビジネス上の利益を優先する外国からの「過大な要求」を支持する一族でもあるのです。

 「アキノ新大統領がもし、アロヨ大統領の任命した最高裁長官を尊重しないならアキノは弾劾され、これら強力な政治的一族と政治ブロックの利益を損なうアキノの動きを阻止するであろう」と、二人の閣僚を通じたアロヨ大統領の警告がなされています。
 もしアキノ新大統領の公約が、仲介者詐欺としてアロヨ大統領と関与した彼女の共犯者の追及となるなら、確かに厳しい反対に直面することになるでしょう。

 したがって、緊急になすべきことは、人々が、より今までよりも用心深く、行動的になることなのです。
 私たちはアキノ新政権に対し、海外の大資本に奉仕し、国民を貧困の底に沈めたアロヨ政権の社会経済政策の針路変更を、執拗に指摘しなければなりません。
 私たちは、フィリピンの人々の利益に反した、強力な政治的一族の策略に対して警戒しなければなりません。
 真の変革は、最終的には人々の結集した意思と行動によってもたらされる結果としてのみもたらされるのです。

 ピート・ピンラック(KPD議長)、チェスター・アンパロ(KPD 書記長)

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アキノ新大統領によってフィリピンは変わるか? [フィリピンの政治経済状況]

アキノ新大統領によってフィリピンは変わるか?

1)フィリピンにアキノ新大統領
 5月10日のフィリピン大統領選では、「清廉さ」をアピールしたアキノ氏が幅広い層の支持を獲得、40%以上の得票率で圧勝した。アキノ氏にとって幸運だったのは、大統領選が始まろうとする昨年8月、母親が死去し注目を集め、大統領候補になる絶好の宣伝機会を得たことだろう。
 投票日近くなって優勢が伝えられ、地滑り的な勝利を収めたようだ。終盤には勝ち馬に乗ろうとする経済界や、約100万人の有権者を持つ有力キリスト教団体などもアキノ氏支持に回った。就任式は6月30日。任期は6年。

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  <アキノ新大統領 Asahi com.から>

 アキノ新大統領は「まずは汚職と不正利得に向き合う」と強調し、一貫して訴えてきた腐敗撲滅を最優先に取り組むことを改めて約束した。アロヨ政権の汚職疑惑追及を公約に掲げており、疑惑調査委員会の設置計画を表明した。選挙戦の演説でアキノ氏は「汚職がなくなれば貧困もなくなる」と、政府内にはびこる不正の一掃とともに貧困問題の解決を約束した。

2)ひたすら、イメージ選挙 
 今回の選挙でも変革は、争点とならなかった。
 母親のシンボルカラーだった黄色で、「汚職反対、貧困をなくそう」というイメージを大量に流した。もっとも、この点では、ほかの候補者たち、エストラ―ダ候補もビラール候補も何ら変わりはなかった。細かく比較すれば「清廉」なイメージのアキノ候補が、「一番まし」なのかもしれない。
 実際のところ、どの候補も汚職をどのようになくしていくのか、腐敗撲滅、貧困や教育問題、経済回復などを約束したが、どうやって実現するか何のプランも持ち合わせていないところをみると、比較しようがないというのが実情だろうか。
 イメージだけをふりまき、人々はイメージに振り回された選挙であった。形骸化した選挙、手続きだけの選挙の行きついた一つの姿かもしれない。

3)アキノの語るように「汚職がなくなれば、貧困もなくなる」か? 
 アキノ新大統領は選挙キャンペーン中に「汚職がなくなれば、貧困もなくなる」と語った。
 これは果たして本当だろうか?
 「汚職」はどうして発生するのか?どうすればなくなるのか?
 フィリピンでは、「汚職」は有力な「ビジネス」であり、現存のフィリピン支配層、フィリピン資本家の間に長年にわたって定着している。フィリピンサイドのみならず外資外国政府も恩恵を受けている事実を忘れてはならない。きわめて構造的である。
 「汚職・腐敗」にもいろいろあって、最も大きいのは、外国資本と一緒になった資源開発、通信事業、環境ビジネスなどのジョイントビジネスであろう。このビジネスに加わるには、国家権力を握っていなければならない。フィリピン資本家が外資に対抗できる「力」は、許認可権、税金など国家権力から由来するからだ
 国家予算は、全国民から収奪した税金であり、これを手にする権利は政権を奪取することである。選挙のたびに政治的殺人が多発するのは、この利害をめぐってである。それ以外にも大小様々な汚職、腐敗がはびこっている。

 だから、「汚職をなくす」ためには、国家予算にぶら下がっている既存のフィリピン支配層そのものを放逐しなければならず、これと結びついた外資、外国政府との関係もいったん断ち切り、関係を再編しなければならない。現存の国家機構を粉砕し、まったく別の汚職を無くすための国家機構に置き換えなければ、実行はほとんど不可能である。しかし軍や警察も国家予算にぶら下がり権益を受けている現存国家機構のひとつである。これら現存の社会関係を破壊したり一掃することは、アキノ新大統領には到底できない。アキノ家自身が所有する大農園ルイシタ・アシェンダの土地でさえ小作人に分け与えてはこなかったし、アキノ家と直接に近いコファンコ財閥の追放などできないからである。

 「汚職追放」のイメージを流すだけで、なくしていく方策を一切語らないアキノの選挙戦が、「偽りのイメージ選挙」であることを証明している。こういうイメージだけの汚職追放は、決して目新しくはなく、これまでの選挙で何回も行われた。今回もその繰り返しである。

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  <アキノ新大統領 Asahi com.から>

4)フィリピンの民主主義は遅れた段階にあるのか? 
 イメージ選挙、有名人の人気投票のような選挙では何も変わりはしない。まったくその通りであろう。
 では、「フィリピンの現状は参加民主主義ではなく、ポピュリズムや衆愚政治(デマゴーク)に陥っているとも解釈できてしまうような段階」であるのだろうか?
 フィリピンの現状は、「民主主義がいまだ定着していない」、「欧米型民主主義にはまだ至っていない遅れた段階」にあるのだろうか?

 むしろそうではなくて、昨年11月のミンダナオ大量虐殺事件によって鮮やかに透けて見えたように、ポピュリズムやイメージ選挙、「政治的殺害」がはびこる人権無視のフィリピン社会は、決して「前近代的な」「遅れている社会」であるからではない。先進国による開発を現地で実行する現代的な支配システムの末端として機能しており、日々、再生産されていると見るべきであろう。「古いもの」、「前近代」ではなく、逆に「最も新しい」、「新自由主義の生み出す新しいシステム」であって、この「新しい現状」にどのように対抗していくべきかと問題は立てられなければならないのだろう。

 別の言い方をすれば、フィリピンの民主主義(=イメージ選挙、買収選挙)は、一握りの少数者による多数のフィリピン国民に対する支配の道具に変質させられている。したがって、フィリピン社会に必要なのは「人々のための民主主義」を取り戻すことである。「人々のための民主主義」とは、多数者による少数者の支配を意味する。少数者による腐敗・汚職をさせない、実力で押さえつける民主主義を取り戻すこと、これこそフィリピン社会に必要なことであろう。

 多数のフィリピン国民の利益のために、その利益と相反して汚職・腐敗を行う少数の買弁的なフィリピン支配層をどれだけ押さえつけられるかにかかっている。汚職だけではない。貧困問題の解決、人権擁護など多くの問題の解決もまたしかりである。
 アキノ新大統領が「汚職をなくし、貧困をなくす」か、を見極める「基準」は、この一点にある。

5)運動は新しくはじまる!
 アキノ大統領は言葉だけにしても、汚職の根絶、貧困の解決、人権擁護を約束した。この「公約」を守れ!と要求していくなかで、アキノの示した公約が嘘っぱちであることを証明していくことが、フィリピンの民主主義をより人々の側に取り戻していく過程であり、その運動でありこれからはじまるであろう。私たちも民主主義を取り戻していく人々やその運動とともにありたいと願っている。(5月13日記、文責:小林治郎吉)

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フィリピン大統領選挙戦、はじまる [フィリピンの政治経済状況]

フィリピン大統領選挙戦、はじまる

1)フィリピン大統領選挙戦、はじまる
 5月10日に行われる、フィリピン大統領選挙まで3カ月を切った。
 現在、大統領選挙に立候補したのは、コラソン・アキノ元大統領の息子、ベニグノ「ノイノイ」・アキノ上院議員(自由党)、マニ・ビラ(マヌエル・ビリヤール)上院議員(国民党)、ジョセフ・エストラダ元大統領、ギルベルト・テオドロ元国防相(与党ラカス)、リチャード・ゴドン元観光部長官など8候補である。一番有力とされる候補は、アキノ上院議員とマニ・ビラ上院議員であり、両者の支持率は2~3%前後を記録しながら接戦を繰り広げている。

2)フィリピンの選挙
 今回の選挙では大統領と副大統領の外に、上院議員 12人、下院議員226人、17,500余名の地方議員を選出する。フィリピンの大統領は、6年単任制、上院議員は6年制連任、下院議員は3年制で三度まで連任可能。

 フィリピンの選挙は、昨年11月のミンダナオ・マギンダナオ州知事選にからむ大量虐殺事件のように、利権と直接結びついている。大統領や上院下院議員、州知事になることは、国家事業や認可制度、軍・警察を使い、国家予算や利権を手に入れる地位を得ることであり、賄賂を得るだけでなく外国政府・資本との「ジョイントビジネス」の機会が生まれ、自身の資本家としての事業を有利に進めることが可能となり、要するに、フィリピン支配層になることができるのである。逆に、落選すれば、在任時の汚職を追及され罪を問われ、支配層から追い払われることもある。
 そのため、選挙には支配層としての生き残りがかかっており、必死なのだ。大統領選挙では生き残るため候補者暗殺などのテロが相次いでいて、毎回100人前後の死者が出ている。

 それから、今回の選挙では、電子開票機が初めて導入されるそうだ。フィリピンでは投票から開票まで1カ月以上もかかっており、そのあいだ「不正工作」が公然と行われてきた。ただ今回導入される電子開票機は、機械納入者と斡旋者へ利益をもたらすだろうが、「不正」を解決する対策にはならず、逆に開票機を利用した新しい不正、トラブルを引き起こすのが“オチ“だろう。

3)アキノ候補とビラ候補

 有力とされるのは、アキノ氏とビラ氏の二候補である。
 故コラソン・アキノ元大統領の長男、ベニグノ・アキノ上院議員(50)が世論調査で支持率トップを走る。昨夏亡くなったアキノ大統領にならい「清潔な政治」、「汚職撲滅」を掲げている。故コラソン・アキノのイメージの利用、二番煎じを狙っている。

 人気を集めているアキノ候補ではあるが、一族が所有する大農園が攻撃の的となり、土地改革も選挙戦の争点に浮上してきた。タルラック州にある一族所有の農園「アシェンダ・ルイシタ」は、総面積約6400ヘクタールに及び、敷地内には、学校や教会もある。住民約3万4000人の大半は、同農場の労働者とその家族。
 そこで再び注目を集めているのが、2004年の「ルイシタ農園虐殺事件」。ルイシタ農園で農業労働者が賃金と待遇改善を求めて行ったストに対し、11月16日、2歳と5歳の子どもを含む14名が、フィリピン国家警察と歩兵第69大隊と歩兵第703大隊に属する兵士らの発砲によって殺害された。虐殺は、ルイシタ農園経営者と政府の指示によるゆえ、アキノ一族の責任はまぬがれない。
 フィリピンの大土地所有制は貧困の元凶だが、歴代政権はこの問題に手を着けずにきた。アキノ元大統領は88年、包括農地改革法を成立させたが、様々な抜け道をつくった。農園と農地を株式会社化した会社所有にし、土地に代わり株式の分配を認める条項を利用し、結局農民に土地を分配しなかった。

 一方、貧困地区出身ながら不動産開発で莫大な富を蓄積したマニ・ビラ候補(60)が、「貧困解消」を掲げ、テレビなどで大量のイメージ広告を流して、支持率をあげている。ビラ候補は「実家の裏庭さえ改革できない人間に、国を任せられない。土地配分こそ経済、社会発展の基礎」とアキノ候補を痛烈に批判する。
 しかしビラ候補は、「貧困解消」する社会変革のイメージは垂れ流すものの、プランは持ちあわせてはいないし、その意思もない。ビラ候補は、日比EPAに反対してきたし、左派政党「バヤンムナ」「ガブリエラ」やマルコスの息子とも連携している。政策は一貫しない。一貫しているのは「票集め」の思惑であろう。

 フィリピンでは資本家層が買弁的であり、かつ階級として「薄く」しか存在しておらず、しかも互いに対立している。そのことは資本家全体の利益を体現する確固たる政党と政党政治が、存在しない現状をつくりあげた。フィリピン政治では「政党」が役割を果たしていない。

 そのため候補者たちは、選挙ごとに即物的な「票集め」に走る。貧民地区に行き金をばらまいて投票を公然と買収する、宗教団体を丸ごと買収する、メディアでイメージ広告を流す(この点では十分にアメリカ並み・日本並みになっている)。一番手っ取り早いのは、投票された票を操作すること。

 今回のビラ候補と「バヤンムナ」「ガブリエラ」との選挙協力の目的は、ビラ候補側からすれば単に票集めであろう。左翼連合は政党リスト選挙で比較的大きな得票を得る。これまでなら中道左派・自由党のアキノ候補にすんなりと流れたであろう都市知識人層の票の獲得を、期待している。

 左翼政党「バヤンムナ」オカンポ下院議員と女性政党「ガブリエラ」のマザ下院議員はともに、ビラ候補のナショナリスタ党から上院議員候補として立候補するが、その事情は、日頃からの弾圧や選挙弾圧が厳しいため国民党の傘の下に避難する意味が強いのであろう。必ずしも「統一戦線」などを意味しないだろうし、思惑通りにはならないだろう。逆に、ビラ候補の民族主義的政策に期待したとすればそれは幻想を煽ることになる。

4)政策の違いはあるか

 アキノ上院議員、ビラ上院議員、ゴドン元観光部長官、エストラダ元大統領、テオドロ元国防相の5人は、外国人投資規制緩和措置が憲法改悪を要する事案であるにもかかわらず、みな前向きの姿勢を見せている。5人の大統領選挙候補が、グローバル競争時代を迎え、外国投資者にメディア、土地、学校などの所有を許し得るなどの一層の「外国人投資規制緩和」の意向を明らかにした。

 これまで水道や高速道路など「外資に民営化」し、儲かるものは何でも売り渡してきたが、さらに売り渡そうとしている。巨大プロジェクトなので投資できるのはほぼ外資であり、したがってより一層、フィリピンから富が吸い上げられ外へ出ていくことになる。
 すなわち、どの候補も新自由主義の「世界秩序」を受け入れることを表明しており、たいした違いはないと言えよう。誰が大統領になってもフィリピン社会は大きく変わらないこと、別の言い方をすれば、米日政府ともに誰が当選しても許容するであろうことを意味している。
 ただし、新自由主義導入のフィリピンに未来はない。

>※「リメンバー・2001年12月・ブエノスアイレス!」   新自由主義の行く末は、2001年アルゼンチンの破綻が暗示している。当時のメネム政権は、ちぎれるほど尻尾を振って米国に擦り寄り、外資導入を徹底した。その代償は大きかった。電気・ガス・水道から電話・航空・鉄道にいたるまで、売れるものは何でも売りつくしてしまった。そして売るものが何もなくなった時、政府そのものが瓦解した。  IMFは、メネム政権の経済政策を支えたカバージョ経済相をネオリベラリズムの申し子として誉めそやしたが、いよいよ国家財政が破綻するという2001年10月22日、IMF本部を訪れたカバージョは、門前払いを食わされた。その直後アルゼンチン政府は朽木が倒れるごとく崩壊した。  貧困階級は軍政時代前の6%から63%へ、国民の24%は日に1ドルの極貧生活。インフレ率は41%,必需食料品は1年間で70%の値上り、ブエノスアイレス郊外では,住民が牛肉の代わりにカエル,猫や馬車馬の肉を食べて飢えを忍んでいると報道された。  政権は崩壊しても債務は残った。債務返却のため、アルゼンチン国民は貧困と荒廃の時代を過ごしている。(鈴木頌「ラテンアメリカの政治」よりhttp://www10.plala.or.jp/shosuzki/edit/otherla/lasituation.htm) 5)「よりましな」選択は可能か  最低限でも政治的殺害問題、人権問題などを解決する「よりましな候補」を支持することはできるか、その基準で大統領候補者たちを眺めても、なかなかはっきりした答えは見つからない。政治的殺害への批判は選挙戦を通じて各候補に訴えなければならないし、「バヤンムナ」オカンポ下院議員、「ガブリエラ」マザ下院議員はそのような選挙戦を闘うようでありその努力は支持するものの、フィリピン大統領選挙と新大統領が「よりましな」フィリピン社会をもたらすかの選択さえ、難しいように見える。(文責:小林 治郎吉)
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ミンダナオ大量殺害から何がみえるか? [フィリピンの政治経済状況]

ミンダナオ大量殺害から何がみえるか?

1)ミンダナオで、57人もの大量殺害事件発生
 2009年11月23日、フィリピン南部ミンダナオ島マギンダナオ州で、知事候補の親族、ジャーナリストら57人が殺害される事件が発生した。2010年5月の州知事選の立候補届け出に向かっていたマングダダトゥ候補の車列が、アンパトゥアン一族と見られる100人以上の武装グループに襲われた。候補者本人は乗ってはいなかったが、候補者の妻ら親族のほかジャーナリストも同乗していた。犠牲者57人のうち、少なくとも20人以上は地元記者とみられている。女性やジャーナリストを乗せておれば、襲われないだろうと考えての対応だったようである。
 アンパトゥアン一族は、ミンダナオ・イスラム教徒自治地域(ARMM)知事、マギンダナオ州知事など州の要職を長年親族で独占してきた地元有力者一族であり、別の地元有力者マングダダトゥ一族による今回の知事選への立候補を、一族支配への挑戦と受けとったようだ。
 国軍と国家警察は、殺人や反乱の疑いで一族の家長、アンダル・アンパトゥアン州知事のほか、息子のARMM知事ら62人の身柄を拘束。一族の敷地などから自動小銃や迫撃砲など883丁の武器と、約43万発の銃弾を押収した。国軍や国家警察から横流しされた武器も確認された。
 地方政府の機能が失われる事態に発展したため、フィリピン政府は12月4日、戒厳令を布告し、一族の支配下にあり停止状態になっていた行政機関もすべて国軍の統制下に置かれた。国軍と国家警察は4日、アンパトゥアン一族の自宅などを捜索し、迫撃砲や機関銃など大量の武器を押収した。

2) ミンダナオとは?アンパトゥアン一族とは?
 ミンダナオ島では、歴代のフィリピン政権はキリスト教徒の政治家や協力的なイスラム教徒の一族を支援して、先住のイスラムの人たちを追いつめ、入植・開発してきた。迫害された住民は、MNLFのもと分離独立をかかげ、永年にわたる戦闘は多くの人々を苦しめた。
 他方、イスラム反政府勢力の分離・独立を抑え込むため、アキノ政権以降、永年にわたる交渉の末、ミンダナオ・イスラム教徒自治地域(ARMM)で自治を認め、96年にはイスラム最大派、MNLFと歴史的な和平協定を締結し、議長のヌル・ミスアリがARMM知事に就任した。
 問題は解決に向かうかに見えた。ところがアロヨ政権は、発足後まもなくの2001年に、ミスアリへの汚職・腐敗追及キャンペーンを繰り広げ、ミスアリ議長退任へと追い込んだ。これ以降、アンパトゥアン一族がARMMの利権をほぼ掌握した。アンパトゥアン一族もイスラムではある。05年には子息がARMM知事に就任し、アロヨ-アンパトゥアンによるミンダナオ中西部支配体制が完成した。イスラム自治権承認を、アロヨがアンパトゥアン一族を使って剥奪し、自分のものにしたと見ていいだろう。その目的は、開発利権の「奪取」である。

 2004年大統領選で劣勢だったアロヨ大統領は、マギンダナオ州イスラム自治区内で不自然なほど、対立候補の3倍以上の票を獲得した。他方、開発やインフラ整備のため膨大な政府予算を投下するなど、アロヨ政権とアンパトゥアン一族との緊密な関係は続いた。一族は、4,000人もの私兵を組織し武装し、フィリピン政府と国軍、警察の支援を受けて、地域の支配者になっていった。(参照、岩波『世界』、加治康男「フィリピンで25年ぶりに戒厳令」)

3)開発利権が集中するミンダナオ
 ミンダナオはニッケル、銅、金、石油・天然ガスなどの鉱物資源の宝庫であり、96年のMNLFとの和平合意以降、欧米日・中東からの開発投資、政府のインフラ整備事業など、多額の資金が流入した。フィリピン政府-ARMMに利権が集中し、「汚職の巣」となった。今回の知事選挙、大量殺害の背景には巨大な利権がある。地方の支配者であることは利益をもたらすのであり、大量殺人をしてまでもまもるべき利害と地位なのである。

 アンパトゥアン一族は、例外というより地方のフィリピン社会のどこにでも存在するボス政治家一族であり、このような構図はフィリピン社会各地に存在する。そしてアロヨ政権は、そのようなボス政治家たちの支持のもとに成立しているし、彼らと利益を分け合う「連合」政権でもある。アロヨはアンパトゥアン一族と同類の政治家・「同じ穴のムジナ」であり、彼らの親分筋に当たる。

4)事件を通じてフィリピンの現支配体制が透けて見えた
 アロヨ政権下では政府に批判的な活動家やジャーナリストが殺される「政治的殺害」と呼ばれる事件が頻発。国軍や警察の関与がささやかれるが、事件が解明されることはほとんどない。「有力者は罪を犯しても罰を受けない」という風潮がフィリピン社会に広がっている。アンパトゥアン一族が白昼堂々と多数を殺害する事件を起こしたのは、こうした現存の権力の暴走でもある。
 アロヨ政権が「政治的殺害」を積極的に推進し利用してきたその結果でもある。ここまで無法が広がった根本的な原因は、アロヨ政権が自らの権力維持や住民支配に、私兵集団を持つ地元ボスを利用してきたその支配システムにある。アロヨ政権のこの国内テロ支配体制こそ問題の根源であり、国内テロ支配体制をこそやめさせなければならない。

5)開発こそがその原因
 しかし同時に、アロヨ政権と州知事ファミリーらの関係とまるで相似形をなして、アメリカ政府・日本政府とアロヨ政権の関係が存立していることもまた、わたしたちは忘れてはならない。
 この無法な支配システムが生きて育つ「エネルギー」をあたえているのは、ミンダナオの天然資源にむらがる欧米日・中東からの開発投資、政府のインフラ整備事業、ODA である。資源投資の先進国資本、先進国政府も、「開発」の果実を受け取るため、この「無法な支配」を育て利用しており、その片棒を担いでいるのである。

 他方、米軍は「訪問米軍に関する地位協定(VFA)」を締結(1999)し、テロ対策と称してミンダナオに常駐している。アブサヤフ、モロ・イスラム解放戦線(MILF)、新人民軍をテロリストと勝手に「認定」している。米軍がミンダナオに常駐するためには、「テロリスト」が存在しなければならない。米軍は、テロリストとの戦闘と称して村々を焼き払い、住民を追い出して、そして開発が始まるのである。

 今回の事件によって、フィリピン社会の支配体制・その仕組みが、鮮やかに透けて見えた。「政治的殺害」がはびこる人権無視の社会は、決して「前近代的な」「遅れている社会」であるからではない。先進国による開発を現地で実行する現代的な支配システムとして機能しており、「開発」によって日々、再生産されている。「古いもの」、「前近代」ではなく、逆に「最も新しい」、「新自由主義の生み出す新しいシステム」である。(文責:玉)

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アキノが死んだ [フィリピンの政治経済状況]

アキノが死んだ

 8月にアキノ元大統領が死にました。わたしたちカサナグの会は、マルコス大統領支配に対し人々の闘いがおおっぴらに姿をあらわしつつあった1985年に活動を開始しました。そのすぐ後フィリピン人民の闘いは高揚し、マルコスを政権から追い出しました。1986年2月成立したアキノ政権はピープルズパワーが生みだした政権でした。にもかかわらず、人民の政権ではありませんでした。アキノ政権への期待が大きかっただけに、裏切られた気持ちでいっぱいになりました。ほとんどのフィリピンの人たちが、アキノ政権に幻想を抱いたのです。当時のフィリピン共産党とその影響下にある民主団体は、アキノ政権に対して「批判的支持」(クリティカル・サポート)という態度をとりました。「批判的」であったとしても、あるいは「批判的」であるという言い訳を準備しながらも、それは明らかに「支持」でした。アキノ政権に対しては、フィリピン共産党は「幻想」を抱いたばかりでなく、むしろすすんで幻想をあおるという誤りを犯しました。
 この誤りから脱却するのには、ずいぶんと時間がかかりました。まだ引きずっている面もあります。

 アキノ政権は、マルコスとは違う人物や企業を通じてフィリピンを、米国をはじめとする外国資本・政府により大っぴらに合理的に開放的に売り渡すことで資本主義世界により密接に深く加わる道を選んだのでした。それは決して変革ではありませんでした。マルコスのようなほんの一部の支配者、マルコス政権のクローニーにだけ利益が落ちるのではなく、それに代わって登場したフィリピンの資本家に広く合法的に誰しも買弁資本家となる道を開こうとしたのです。
 その後登場した、ラモス、エストラダ、アロヨの各大統領は、この性格・やり方を見事なまでに踏襲しています。アキノも含めこれまでの政権所有者は、買弁的なフィリピン支配層と外国資本・政府であって、決してフィリピン人民ではありませんでした。

 あれからすでに23年が経ちました。一時代が過ぎたと感じます。この間、社会主義体制が崩壊し、新自由主義・グローバリゼイションという名の現代的資本主義が世界を覆っています。昨年来の世界的な経済的危機は、現代的資本主義が決して万能・磐石ではないこと、決して未来を約束しないことを証明してしまいました。
 フィリピンといえば、やたら外国資本が進出し、マニラ近辺は商業化工業化が一段とすすみ商品はあふれ、その変化には眼を見張るものがあります。マニラの北と南、パンパンガとラグナに高速道路が延び、現代的に資本主義化したメトロ・マニラは、さらにさらに拡大しつつあります。これに比し、ミンダナオやビサヤ、ルソン島山岳地帯は、資本主義化のテンポはより小さく、前近代の色を濃く残しており、まるで違った時代が、同じ地上に併存しているかのようです。
 農民は農村では暮らしが立たなくなり、現在もなお都市へ流入しています。この動きが止まりません。流入する農民は、都市住民の下層である不安定雇用労働者、半失業者に階級を変えています。今なお、失業者が増大し続け、フィリピン労働者の賃金を引き下げ続けています。
 
 人々にとって、いったい何が変わったのでしょうか。以前の大土地所有制と結びついた前近代的な貧困が、スマートな新植民地主義による世界経済と直結した現代的な貧困に替わっただけであったようです。ロマン的な民族主義が成立する余地はますます狭くなりました。
 多くの人々がマニラに流入し、人口的にも経済的にも政治的にもその比重を増しています。その都市住民にしても、あるいは農民にしても、自身を代表する政治的力を持つに至っていません。そんな時期がながく続いています。
 他方、アキノ大統領の息子ベニグノ・ノイノイ・アキノ上院議員、マルコス大統領の息子ボンボンはともに、次期大統領選挙への立候補を表明しています。
 マルコスやアキノが死にましたが、大統領に昇りつめ政府の権力を握り国家予算と特権を自身のビジネスに使ったり、日米の資本・政府と結びついてジョイントビジネスに参加したりして、自身が支配的な地位につこうとするこの国のシステムは、死んでいないのです。それに群がって儲けようとする人々は、いつの時代も健在なのです。外国資本・政府の支配が大きいため、支配層である資本家層が「厚く」形成しておらず、各資本家の地位はきわめて不安定なのです。国家権力に結びつくことで、その地位もビジネスも安定するのです。
 人々にとっては、いい迷惑ですが。

 「歴史は繰り返す、一度は「悲劇」として、二度目は「喜劇」として」と言われます。期待し「幻想」を抱いたアキノ大統領に裏切られたのは「悲劇」でしたが、そのあとに続く政権交代・大統領の登場やフィリピン支配層の政治抗争は、「喜劇」であり、「茶番」です。何度、「茶番」を繰り返したことでしょう。したがって、ノイノイやボンボンに至っては、大統領になる前から何をするかはわかってしまいます。

 アキノは死んで確かに一つの時代がおわりましたが、人々にとっての新しい時代はいまなおはじまることはなく、というよりはいくつもの新しい困難を前にしているように見えます。(文責:玉)

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現代フィリピン事情 みこま [フィリピンの政治経済状況]

現代フィリピン事情 みこま

世界金融危機の影響

1)世界金融危機はフィリピンへも及んでいる
 世界金融危機はフィリピンへも及んでいます。実際には、既に金融危機から世界的な経済恐慌と呼ぶのが適切でしょうか。
 円高とドルに対するペソ安のため、円ペソの交換比率は、旅行する日本人にとっては有利になっています。08年3月訪比したとき、確か1万円を両替すると3,800ペソくらい返ってきましたが、現在だと5,200ペソくらいになるのではないでしょうか?35%くらい「増えた」勘定になります。
 フィリピン経済は、この10年、すなわち恐慌前の経済成長がそれほど大きくなかったこともあって、そしてそのことは先進国資本、「ファンド」の必ずしも最も積極的な投資先ではなかったことから、経済的な落ち込みは、幸いにしていまのところそれほど大きくないように見えます。
 フィリピンの統計はあてにならないところもあるのですが、2007年のGDP伸び率は7.2%でした。かなり高い成長率です。これにくらべ、11月27日フィリピン国家統計調整局(NSCB)が発表した2008年の国内総生産(GDP)伸び率見通しは4.1─4.8%、09年のGDP伸び率は3.7%でした。ほぼ半減するという予想です。
 この先「下方修正」もありうるのですが、日米欧に比べれば比較的高い成長率を保持しているように見えますが、成長率が半分になるわけで、その影響は大きかろうと思われます。
 しかも、その内容を見て行くと次のようなことがわかります。
 GNP拡大の最も大きな要因は、政府の支出拡大と海外からの送金増加だそうで、フィリピン経済の脆弱性は何ら解決しておりません。海外送金は、たまたま世界的な金融危機の影響を受けるというより緩和する方向に働いたと指摘され、まさしくこれこそケガの巧妙。(海外在住フィリピン人は、人口の約10%に相当する800万人を超えるそうで、あらためて驚くその異常な多さです。)

2)じわりと及ぶか、フィリピンへ
 それからもう一つ、今回知ったことなのですが、フィリピンの輸出品は何が一番多いのかということ。
 皆さんはご存知でしたでしょうか?バナナかパイナップルかと思われていませんでしたか?
 なんと、電気・電子部品だそうです。フィリピンの輸出額の6割を占めるそうです。パソコンテレビなどの電気製品ではありません、誤解のないように。その中に使われる部品です。
 電気製品は華やかな姿をしていますが、そのなかに使われる電気・電子部品は、手作業というか、労働者の手をたくさん必要とします。そこで給料の安いフィリピンで大量の電子部品が生産され輸出されるのです。しかも、フィリピン資本は極めて少なく、日本、韓国、台湾などの外国資本が大半を占めています。会社名でいうと小さなところが多いのですけれども、名の通ったところといえば、TDKだとか、ミツミ電機、SMKなどです。
 この電気・電子部品輸出は2008年に最大で10%の減少に転じる見通しが発表されました。
 それから、次いで輸出額の大きい衣類も2割の減少が見込まれるそうです。衣類もやはり縫製においてたくさんの労働力を必要とします。わたしはトリンプのマニラ郊外工場を訪問したことがありますが、多くの若い女子労働者がいました。
 したがって輸出額は2008年から2009年にかけて大きく減るようです。
 さて、この電子部品も衣料メーカーも、進出日系メーカーは受注が大きく落ち込んでおり、操業日数の短縮や人員削減などの対策すでに講じています。フィリピンでは契約労働者(日本の派遣労働者とよく似ている)の契約を更新しないという、実質的な解雇がまたひろがるようです。今号のエミリー報告にもあるように、バタアンのミツミ・フィリピンでは、労働協約改定に際し、労働条件切り下げが行われたとあります。
 この先、フィリピン社会全体に、そしてフィリピンの人たちの生活に、じわりと影響が及ぶのではないでしょうか。

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現代フィリピン事情 ふたこま [フィリピンの政治経済状況]

現代フィリピン事情 ふたこま

ミンダナオの和平はさらに遠のくか?

1)マレーシア政府はミンダナオ島の停戦監視団から全部隊撤退
 11月28日 毎日新聞によれば、マレーシア政府は27日までに、フィリピン南部ミンダナオ島のイスラム反政府組織「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」と比政府の停戦を進める国際停戦監視団(IMT)から、今月末で全部隊を撤退させる方針を固めたという。IMTの中核を占めるマレーシア部隊の完全撤退は、ミンダナオ情勢に大きな影響を与えると見られる。
 MILFと比政府は03年7月、マレーシア政府の仲介で停戦に合意し、04年からIMTが活動を開始。メンバーは現在、日本からの2人、マレーシア11人、ブルネイ10人、リビア4人の計27人。
 マレーシアはIMTに最も多くの部隊を派遣しており、和平交渉の仲介役を務めてきた。全面撤退で今後、比政府や国軍の行動はより制御されず、ミンダナオの和平はさらに遠のくのではないか。 
 戦闘が激化した8月以降も、マレーシア政府は非武装で停戦監視や復興支援を行ってきた。活動継続の条件として、国軍と戦闘状態にあるMILF指揮官の追跡中止などを比政府に求めていたが、比政府側は応じなかったことがその原因といわれている。

2)和平合意を取り戻そう
 ミンダナオにおける戦争とその被害を引き起こした責任は、第一に、和平合意を破棄した比政府と国軍にある。
 ミンダナオをフィリピン国内の経済的後背地と見立てて、住民を追い出し、資源や土地を奪ってきたこれまでの歴史にそもそもの原因が伏在している。その行為は「ミンダナオの開発、近代化」の美名で行われてきたし、ややこしいことにそこに外国資本、外国政府の利益、領土的関心が結びついていることだ。更にややこしいのは、入植したり居住しているフィリピン人キリスト教徒とイスラム教徒との対立や争いとして、とらえられ描かれ、仕立てられていることだ。
 8月にフィリピン政府が一方的に破棄した和平合意をもう一度認め合う以外に、和平を取り戻す道はない。 

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